一品限定の食べ放題サービスを行なうお店が、いま話題です。
消費者としては、いろんなメニューを味わえる食べ放題も楽しいものですが、お店こだわりの一品や、大好きなメニューを思う存分食べられるのも魅力的。
では、お店にとって一品食べ放題のメリットは?ずばり採算は取れているのか?
一品食べ放題を実施しているお店に、クックビズ総研編集部がお話をうかがいました。
「他にない」「面白い」「行ってみたい」…話題性で、認知度&集客アップを狙え!
競争の激しいオーバーストアの時代。まずはお店の存在を知ってもらうことが先決。お店の独自性を打ち出して話題になれば、ネットや口コミで認知度アップが図れます。
実際に来店して「行ってみたら良いお店だった!」となれば、リピーターになってもらえることも。食べ放題メニュー自体では採算が取れなくても、結果的に売上アップも夢ではありません。
食材単品から、一品料理、スイーツまで。お店の特色を打ち出した多彩な食べ放題
では実際に、どんなお店のどんなメニューで一品食べ放題を実施しているのか見てみましょう。
「納豆食べ放題定食」
納豆工房せんだい屋 池尻大橋店(東京・世田谷)
ランチタイム、780円のごはんやみそ汁などがついた定食を注文すると、8種類の納豆が食べ放題。
運営会社「せんだい」は、山梨県の自社工場で納豆を製造しており、販売促進の一環として食べ放題を行なっています。
※引用:株式会社せんだい
「クッキーバイキングカフェ」
アントステラ池袋店(東京・池袋)
880円で1時間、1ドリンク付きで約15種類のクッキーが食べ放題。池袋という人通りの多い立地で行なうことで知名度を高め、他店への波及効果を期待しているそうです。
2013年9月にオープン、2014年3月31日までの期間限定での営業でしたが、好評につき期間延長となっています。
※引用:株式会社アントステラ
ほかにも「甘エビ」「パルマ産生ハム」「ドイツ直輸入ソーセージ」「唐揚げ」「卵かけごはん」「クレープ」など、バラエティに富んだ一品食べ放題が、いろいろなお店で実施されています。
「オムライス食べ放題」のお店の方に聞く!狙いは?反響は?採算は?
「オムライス食べ放題ランチ」
Dining&Bar Q.P.R.S(大阪・心斎橋)
こちらのお店はダイニングバーですが、「オムライス食べ放題880円」が名物。
ランチタイムはこのメニューのみ。味は本格的で、1皿400グラムというボリュームに加え、サラダ・スープ付。
代表の土居さんにお話をうかがいました。
───5年前のオープン当初から実施されているそうですが、なぜオムライスなのですか?
土居さん:当店はバーがメインですが、ランチもやろうとなった時に考えたのが、少ない人数で手早く提供できるオムライスです。この辺りはオフィス街なので、会社員の方が短いお昼休みを使って来てくださいます。
品数を絞ればメニューを選ぶ手間もなく、こちらもお店に入ってこられたらすぐ準備にかかれるので効率がいいんです。
全16席のお店ですが、キッチン・ホール各1名で回せています。
───食べ放題にしようと考えたのはなぜですか?
土居さん:周りのお店で「ごはんおかわり自由」などを結構されていたので、対抗策として食べ放題を思いつきました。
───お客様の反応は?
土居さん:他にはないのでびっくりされますね。多分、「オムライス食べ放題」は今でも日本でうちだけじゃないでしょうか?
───皆さんどのくらい食べられますか?
土居さん:大体2~3回はおかわりされますね。「小さめにして」というリクエストにも対応しています。
驚いたのは、見た目普通の女性が36皿召し上がられたことです。
よく食べる男性でも、大抵4~5皿目でスピードが落ちてくるんですが、その方はスピードを落とさずに、2時間くらいでお食べになっていました。
───ずばり、採算は取れていますか?
土居さん:食べ放題では取れていないですね。うちはバーがメインなので、宣伝として割り切っています。
幸い、お客様からの口コミで広がったり、メディアにも取り上げてもらったりして。
近隣の会社員の方だけでなく、ファミリーなど一般のお客様も今では3割くらいを占めています。
───一品食べ放題の店が話題となっていることについて、どう思いますか?
土居さん:正直、採算的に厳しいですし、効率が良いといっても微妙なバランスで成り立っているので、そう増えないんじゃないかと思います。
───ありがとうございました。
宣伝効果は大いにあり!効率性・採算性のバランスを考えて、検討してみては?
一品食べ放題で期待できる効果を、まとめてみました。
話題性
インパクトある「一品食べ放題」はやはり話題性があり、大きな宣伝効果が期待できそうです。
効率性
複数メニューの食べ放題と比較してみると、料理の補充などスタッフの負担はかなり少ないと考えられます。
また時間制にすれば、お客様の回転率もアップ。店舗オペレーションの効率を上げるのにも一役買いそうです。
採算性
「Q.P.R.S」のように、宣伝効果を重視して、採算度外視で実施されているお店もあるようです。
また「甘エビ」「生ハム」などのような単品食材ならば、一品を大量に仕入れることで、コストを抑えることも可能と考えられます。
高品質なものをリーズナブルに提供でき、お客様もお得感に満足、という好循環が望めます。
新しい集客アイデアをお探しの飲食店の皆さま、「一品食べ放題」も一度ご検討されてはいかがでしょうか?
(取材・記事作成:大住)