
2018年度「世界のベストレストラン50」が日本時間2018年6月20日の早朝3時45分(現地時間19日の夕方8時45分)、スペイン・ビルバオにあるエウスカルドゥナ国際会議場で発表になりました。「グルメ界のアカデミー賞」とたとえられる華やかな表彰式も、今年で16回目です。
「ミシュラン」では、味やサービスに厳しいミシュラン審査員が星の数でレストランを評価しますが、「世界のベストレストラン50」は世界中のグルメ評論家、ジャーナリスト、シェフ、レストラン経営者から構成される1000人余りの審査員が、投票形式で「今、最も発信力のあるレストラン」に票を投じ、その開票結果によってトップの50軒が決まります。
料理のおいしさはもちろんのこと、シェフのスター性、料理を通じた発信力、時代に対する意識、トレンドなど、さまざまな着眼点から評価されるのは「世界のベストレストラン50」リストの醍醐味と言われています。
今年のリストとともに各部門賞の結果をお届けします。
目次
2018年のベストレストランはイタリアの「オステリア・フランチェスカーナ(Osteria Francescana)」
イタリアのモデナにある「オステリア・フランチェスカーナ」は、2016年に初めて優勝し、昨年2位となりましたが、2年ぶりにチャンピオンの座に返り咲きました。
オープン当初、伝統的なイタリア料理に斬新な要素を取り入れた同レストランは、地元の保守的な人々の反感を買い、閉店の危機に晒されました。 しかし、イタリア出身のマッシモ・ボットゥーラ(Massimo Bottura)氏とアメリカ出身の妻ララ・ギルモア(Lara Gilmour)氏が辛抱強く頑張った結果、今や世界中の料理人、評論家、美食家に認められ、愛されるレストランへと成長を遂げました。
また、2017年の3位で2015年の優勝者、「エル・セラー・デ・カン・ロカ(El Celler de Can Roca)」(スペイン)と、昨年4位の「ミラズール(Mirazur)」(フランス)がそれぞれ順位を一つ上げ2位、3位となりました。
昨年の優勝者、ニューヨークの「イレブン・マディソン・パーク(Eleven Madison Park)」はレストランのリノベーションで一時営業を停止したため、今年は4位に順位を落としました。
日本から3レストランが入賞、「傳」が大躍進
日本勢からは3軒が入賞。昨年の2軒より1軒増やして健闘を見せました。
日本勢の出世頭は今年の「アジアのベストレストラン50」で堂々と2位を射止めた「傳」。昨年の「世界のベストレストラン50」に初登場して45位と周囲を驚かせた長谷川シェフはさらに大きな躍進を見せ、28も順位を上げ、17位入賞となりました。また、最もランクを伸ばしたレストランに送られる「最も急上昇したレストラン賞」も合わせて受賞しました。
昨年18位の「NARISAWA」は今年もその堅実ぶりを見せ、22位に食い込みました。2017年ではリスト入りを逃した「日本料理 龍吟」は再エントリーを果たし、41位入賞となりました。
また、ベスト50入りとはなりませんでしたが、2018年のアジア20位である「レフェルヴェソンス」(東京・神宮前)は世界92位にランクインしました。
アジアの最高位は4年連続アジアのナンバー1の座に君臨しているタイの「ガガン(Gaggan)」。昨年の7位入賞に続き、今年は2つ順位を伸ばし5位入賞となっています。
国別では、日本の3軒に続き、タイが2軒、シンガポール1軒、中国1軒、トルコ1軒とアジアからの入賞レストランは計8軒です。
特別賞の受賞者たち
2018年の「生涯功績賞」は美食界におけるペルー料理の地位を確立させたペルーのガストン・アクリオ(Gastón Acurio)氏に送られました。アクリオ氏の料理人としてのキャリアは1989年のスペイン・マドリード時代に遡ります。弁護士よりも料理人としてのキャリアを選んだ氏は後にパリのコルドン・ブルー校に進み、そこで現在の妻であり、経営パートナーでもあるドイツ出身のパティシエシェフ、アストリッド・グッシェ(Astrid Gutsche)氏と出会いました。
妻と二人三脚でレストラン「アストリッド・イ・ガストン(Astrid y Gastón)」をオープンし、ペルー料理の魅力を世界に発信し続けた功績が今回認めらました。
今年7位にランクインしたペルーの首都リマにあるレストラン「マイド(Maido)」の津村ミツハル氏を含め、これまで世界で活躍しているほとんどのペルー料理人に大きな影響を与えました。
アメリカの「ブルーヒル・アット・ストーン・バーンズ(Blue Hill at Stone Barns)」(12位)のダン・バーバー(Dan Barber)氏は、「シェフズ・チョイス賞」を受賞。「シェフズ・チョイス賞」 は、同業者によって選ばれ、過去1年にわたって業界に最も顕著な貢献をしたと思われる個人に授与されます。
バーバー氏は過去10年間、食品ロスの削減、食生活の見直しについて積極的に活動し、多くの料理人に影響を与えました。最近では、種子カンパニーを立ち上げ、自らが作った美味しい野菜の種子を販売することで、地球のサステナブルな発展に貢献しています。
「世界最高の女性シェフ賞」はロンドンを本拠とするクレア・スミス(Clare Smyth)氏に送られました。クレア・スミス氏はイギリスで初めてミシュラン三つ星レストランのオーナーシェフとなった女性です。自然かつサステナブルな食材を多用し、ノースアイルランドのファームで過ごした幼少期が料理の原点と述べています。
近年人気急上昇のフランスのパティシエ セドリック・グロエ(Cédric Grole)氏は「最高のペストリーシェフ賞」を受賞。
グロエ氏は27歳の若さでパリで最も古いホテルと言われている「ホテル・ムーリス」のシェフ・パティシエに就任し、彼のシグネチャーである、フルーツを見立てたスイーツとルービックキューブケーキは世界中の人々を虜にし、まさに今世界でもっとも旬なパティシエです。
「おもてなしの技賞」は、デンマークの「ジェラニウム(Geranium)」(19位)のセーレン・レデット(Søren Ledet)氏に贈られました。レデット氏はソムリエおよび接客の最前線のマネージャーとして、厨房からホールまで大きな変革をもたらし、当該レストランを最高水準のもてなしの場へと前進させました。
スペインの「アズールメンディ(Azurmendi)」(43位)は、「サステナブルなレストラン賞」を受賞しました。同レストランは2014年にも同賞を受賞しています。「アズールメンディ」の主な活動は、800本の木の植樹や、食品廃棄物をリサイクルにして肥料にすることや、地域創生活動などが含まれます。
「ミーレ最注目賞」(The Miele One to Watch Award)はカリフォルニアの「シングルスレッド」が受賞。この賞は50選で選出外となったレストランの中から今後ランクを上げていくことが期待される世界の新興レストランを表彰するものです。「シングルスレッド」はカイル・コナートン、カティナ・コナートンが夫婦で協力し、日本のおもてなし精神に基づき運営するレストラン施設です。「農場から食卓まで(Farm-to-table)」のコンセプトと東洋哲学・文化の融合を図りました。
世界のベストレストラン50のフルリスト
- 「Osteria Francescana 」(Modena, Italy) *ヨーロッパのベストレストラン*
- 「El Celler de Can Roca」(Girona, Spain)
- 「Mirazur 」(Menton, France)
- 「Eleven Madison Park」(New York City) *北米のベストレストラン*
- 「Gaggan」(Bangkok) *アジアのベストレストラン*
- 「Central」(Lima, Peru) *南米のベストレストラン*
- 「Maido」(Lima, Peru)
- 「Arpege」(Paris, France)
- 「Mugaritz」(San Sebastian, Spain)
- 「Asador Etxebarri」(Axpe, Spain)
- 「Quintonil」(Mexico City, Mexico)
- 「Blue Hill at Stone Barns」(Pocantico Hills, New York)
- 「Pujol」(Mexico City, Mexico)
- 「Steirereck」(Vienna, Austria)
- 「White Rabbit」(Moscow, Russia)
- 「Piazza Duomo」(Alba, Italy)
- 「傳」(Tokyo, Japan) *最も急上昇したレストラン*
- 「Disfrutar」(Barcelona, Spain) *最上位の新規入賞レストラン*
- 「Geranium」(Copenhagen)
- 「Attica」(Melboure, Australia)
- 「Alain Ducasse au Plaza Athénée」(Paris, France)
- 「NARISAWA」(Tokyo, Japan)
- 「Le Calandre」(Rubano, Italy)
- 「Ultraviolet」(Shanghai, China)
- 「Cosme」(New York City)
- 「Le Bernardin」(New York City)
- 「Boragó」(Santiago, Chile)
- 「Odette」(Singapore) *新規入賞*
- 「Alléno Paris au Pavillon Ledoyen」(Paris, France)
- 「D.O.M.」(São Paulo, Brazil)
- 「Arzak」(San Sebastian, Spain)
- 「Tickets」(Barcelona, Spain)
- 「The Clove Club」(London, UK)
- 「Alinea」(Chicago)
- 「Maaemo」(Oslo, Norway) *新規入賞*
- 「Reale」(Castel Di Sangro, Italy)
- 「Restaurant Tim Raue」(Berlin, Germany)
- 「Lyle’s」(London) *新規入賞*
- 「Astrid y Gastón」(Lima, Peru)
- 「Septime」(Paris, France)
- 「日本料理 龍吟」(Tokyo, Japan)
- 「Ledbury」(London, UK)
- 「Azurmendi」(Larrabetzu, Spain) *サステナブルなレストラン賞*
- 「Mikla」(Istanbul, Turkey) *新規入賞*
- 「Dinner by Heston Blumenthal」(London, UK)
- 「Saison」(San Francisco)
- 「Schloss Schauenstein」(Fürstenau, Switzlerand) *新規入賞*
- 「Hiša Franko」(Kobarid, Slovenia) *新規入賞*
- 「Nahm」(Bangkok, Thailand)
- 「Test Kitchen」(Cape Town, South Africa) *アフリカのベストレストラン*
| 写真提供 | The World’s 50 Best Restaurants |
| 情報提供 | 大会プレスリリース |













