リーデルのグラスと大吟醸の写真

2011年からスタートした「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」。
8回目の開催となる今年は、過去最高となる263蔵元から901点の応募がありました。2月にブラインド官能テストによる審査が行われ、最高金賞46点、金賞236点が選出。
4月27日に虎ノ門ヒルズで開催された表彰式&入賞酒お披露目会では、84酒蔵から200点を超える試飲酒が勢揃い。気になる日本酒をリーデルの『大吟醸』グラスで飲みながら、蔵元と話すことができるため、一般客リピーターが多い人気イベントの様子をレポートします。

会場の様子

「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」とは?

このアワードのユニークなところは、リーデルのワイングラスを使ってブラインド官能テストで審査をする点にあります。
海外で和酒器を持つ人は少ないので、日本酒はワイングラスで飲むのが一般的です。ところが日本酒の製造技術を競う「全国新酒鑑評会」や市販酒を対象にした「SAKE COMPETITION」など、日本酒の審査ではお猪口が使われています。(注:「SAKE COMPETITION」では一部ワイングラスが使われます)

審査のため並べられたお猪口と日本酒

「利き猪口」と呼ばれるお猪口で審査されるのが一般的(「SAKE COMPETITION 2017」の審査風景:ライター撮影)

お猪口では香りが分散してしまうので、香りをとるのは難しいのだとか。一方、海外の食材と日本酒の意外なマッチングがあるように、ワイングラスで日本酒を飲むことで「香り」や「見る楽しさ」が新たに生まれます。
今年のアワードでは、新たに「プレミアム純米部門」が新設され、リーデルが新発売した口径が広い『純米』グラスでの審査がありました。その結果、今までは見えなかった魅力が引き出された日本酒が登場したそうです。

「ワイングラスでおいしい日本アワード」の実行委員を務める、酒文化研究所の山田聡昭さんは「ワイングラスで日本酒を飲むスタイルは、今後さらに自然に広がっていくでしょう」と語り、その理由を次のように話してくださいました。

「ワイングラスでどうぞ!という日本酒だったら、海外のホテルや星付きレストランでは、取引したその日から提供できますよね。お燗で飲んでください、こういう器を使って飲んでください、と言ってしまったらワンステップ入ってしまいます。世界に浸透しているワイングラスという器に(日本酒の)飲酒スタイルをフィットさせることで、ワインが独占してきた食中酒という分野に入り込むことが可能になるのです」(山田さん)

「ワイングラスで日本酒を楽しむ」というコンセプトで作られたリーデルのワイングラスが審査では使われます。

ワイングラスと大吟醸の日本酒

左からリーデルの『純米』、『大吟醸』、タンブラータイプの『大吟醸』グラス(ライター撮影)

アワードは単に品質の善し悪しを競うのではなく「ワイングラスの力を認識し、新たに見出された日本酒の魅力を広く伝えていこう」という趣旨になっています。日本酒の需要を拡大するためには「年齢の壁」「業態の壁」「国境の壁」の3つを超えることが必要で、ワイングラスが壁を超える一役を担っていると考えているのです!

アワードの将来性と発信力に蔵元が寄せる期待

審査は「ワイングラスでおいしい日本酒アワード メイン部門」「スパークリングSAKE部門」「大吟醸部門」「プレミアム純米部門」の4部門で行われました。入賞数は282点で、入賞率31.3%となっています。

  • ワイングラスでおいしい日本酒アワード メイン部門(最高金賞15点、金賞82点)
  • スパークリングSAKE部門(最高金賞3点、金賞15点)
  • 大吟醸部門(最高金賞15点、金賞75点)
  • プレミアム純米部門(最高金賞13点、金賞64点)

審査結果の詳細はこちら

「ワイングラスでおいしい日本酒アワード メイン部門」と「大吟醸部門」はリーデルの『大吟醸』グラス、「スパークリングSAKE部門」は同シャンパーニュ・ワイン・グラス、新設された「プレミアム純米部門」は、新発売の同純米グラスで審査されました。

「スパークリングSAKE部門」で最高金賞を受賞した人気酒造株式会社代表取締役の遊佐勇人さんは、日本酒をワイングラスで提供することを「演出」と表現していました。
「『ワイン』は農産物で不完全なので、ワイングラスで演出する必要があります。『日本酒』は完成品と考えているので、味で勝負。今まで(日本酒を)演出する必要性を感じていなかったのです」という遊佐さんのお話には、納得するものがあります。
ワインはソムリエが提供しますが、ワインと日本酒の提供スタイルの違いは「演出」の捉え方にも関係しそうですね。

人気酒造株式会社代表取締役の遊佐さん

「Rice Magicスパーリング純米大吟醸」が最高金賞を受賞して笑みを浮かべる、人気酒造株式会社代表取締役の遊佐さん(写真左:画像提供 酒文化研究所)

「プレミアム純米部門」で金賞を受賞した、喜久水酒造株式会社の濱島光宏さんは、第2回から継続して出品しています。
「(このアワードは)新しい試みですし、(日本酒とワイングラスの組み合わせは)おしゃれな飲み方。日本酒はフレンチやイタリアンと合わせても美味しいと、世界に向けて発信できる将来性がありますね」と、このアワードの発展に期待を寄せています。

リーデルが提案する日本酒用グラス

「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」では、審査とお披露目会でリーデルのグラスが使用されています。
その理由について、酒文化研究所の山田聡昭さんは「(ぶどうの)品種や(ワインの)産地ごとに合うグラスを開発するリーデルが、日本酒専用グラス(『大吟醸』グラス)を作りました。大手グラスメーカーが日本酒用のグラスを作ったケースはありません。そこをリスペクトしています」と話してくださいました。

今回新設された「プレミアム純米部門」で使われたのが、4月に新発売となったリーデルの『純米』グラスです。今までのグラスとの違いを、リーデルを販売するリーデル・ジャパン株式会社の庄司大輔さんが教えてくださいました。

ワイングラスで日本酒を飲む男性

飲む角度の違いを見比べてみてください。左:『大吟醸』グラスはあごが上がりお酒がスーッと入ってくる。右:『純米』グラスはあごが下がり、お酒の流れをコントロールしながら旨味を味わえる(ライター撮影)

「『大吟醸』グラスは、縦長のボウル形状で日本酒の中でも大吟醸や吟醸酒に適しています。香りが華やかで、スッキリとした味わいがスーッと入ってくる感じです。一方、『純米』グラスは米本来の旨味や香りを最大限に引き出すために、大ぶりで横長、飲みくちの口径が大きい形状となっています」(庄司さん)

『純米』グラスは、大吟醸とは異なる個性を持つ純米酒のために、約8年の歳月をかけて開発されたそうです。グラスを使いわけることでさらに香りや味わいが深くなるのを実感できる、と聞けば使ってみたくなりますね。

入賞酒お披露目会には一般参加も可能

表彰式&入賞酒お披露目会の会場は、日本酒好きな参加者と蔵元で大賑わい!自分が好きな銘柄の蔵元と話したり、最高金賞(46点)制覇に挑戦したり、参加者は思い思いのスタイルでイベントを楽しんでいました。

「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」が一番好きだという3人組

日本酒イベントの中でも「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」が一番好きだという3人組。毎年楽しみに参加しているそうです(ライター撮影)

お披露目会の参加は事前予約制で参加費(5,000円)が必要ですが、サンドイッチやチーズなど日本酒に合う軽食がつくほか、当日試飲に使用した<リーデル・オー>『大吟醸オー』グラス(2,700円)をお持ち帰りできます。
満足度が高い内容なので、「「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」には一般リピーターが多いのもうなずけます。

日本酒をワイングラスで飲むとどんな発見がある?!

「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」についてご紹介してきましたが、これまで日本酒をワイングラスで飲んだことがなかった人も、チャレンジしてみたいと思ったのではないでしょうか?
ぜひ普段の酒器とワイングラスで日本酒の味や香りの感じ方がどう変わるのか、飲み比べをするところから、楽しんでみることをおすすめします。きっと普段の酒器では感じられない日本酒の魅力に気づけるはずです!

日本酒は銘柄が多く、どの日本酒を飲んで良いかわからない方は、ぜひアワード受賞酒から試してはいかがでしょうか。「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」の公式サイトから、直接受賞酒の購入が可能です(すべての銘柄が可能というわけではありません)。

寿司や和食が世界でブームになっていますが、今後ますます日本酒も人気を高めていくはずです。海外で一般的なワイングラスで飲むスタイルと日本酒との出合い。そして「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」の今後の広がりがますます期待されます!

取材協力

HP 「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」公式サイト