
和食に欠かせない<うま味>は<umami>として海外でも広く知られるようになり、最近ではフレンチなど西洋料理にも取り入れられるようになりました。
そんな「umami」の名前がついた米国ロサンゼルス発の人気バーガーレストラン「UMAMI BURGER®(ウマミバーガー)」の日本一号店が、2017年3月青山にオープンしました。インスタ映えする商品が若い世代で話題となり、平日昼は行列ができるほど混雑する人気店になっています。
米国のソウルフードとも言えるハンバーガーに、日本人に馴染みがあるうま味がブレンドされたその味は、米国で評価されているのでしょうか?そして、日本に上陸した「UMAMI BURGER®(ウマミバーガー)」は、日本人の味覚に合うのでしょうか?
目次
知っているようで知らない<うま味>について
まず、「UMAMI BURGER®(ウマミバーガー)」の名前にも使われている<umami>についておさらいです。
<うま味>とは5つの基本味(甘味・酸味・塩味・苦味・うま味)の1つで、1908年東京帝国大学(現在の東京大学)の池田菊苗博士により名付けられました。
池田博士は昆布からうま味の主成分であるグルタミン酸を取り出しましたが、その他のうま味成分としてはイノシン酸やグアニル酸があります。グルタミン酸は昆布やハム、チーズなどに含まれ、イノシン酸は肉や魚、グアニル酸は干し椎茸や海苔に含まれています。これら3つの成分にナトリウムやカリウムが結合した塩味が、うま味物質と呼ばれています。
1985年に開催された第1回「うま味国際シンポジウム」以降、<umami>は国際的な学術用語として公式に使用されるようになりました。2013年に和食がユネスコ無形文化財として登録されると、<umami>の存在はさらに広く知られるようになります。そして池田博士がうま味成分を発見してから100年がたち、今では世界のトップシェフたちが<umami>を料理に取り入れるようになっています。
米国で最も影響力のあるバーガーの1つに選出!
2009年にロサンゼルスで誕生した「UMAMI BURGER®(ウマミバーガー)」は、現在では米国内5つの州で25店舗を展開するまでになっています。「UMAMI BURGER®(ウマミバーガー)」の特徴は、名前の通り「うま味を最大限に引き出す調理法」にあります。
例えば、牛肉、チーズ、トマト、マッシュルームなど、うま味が多く含まれる食材はローストやスチーム調理することでうま味を引き出します。また牛肉には、昆布や醤油、ホイセン(海鮮醤)、干しキノコを調合した「UMAMIマスターソース」と「UMAMIダスト」を加え、うま味が深まるように工夫されています。
うま味を追求した「UMAMI BURGER®(ウマミバーガー)」は、米国版『GQ』の「2010年のベストバーガーオブザイヤー」に選出された他、『タイム』誌の「史上、最も影響力がある17のバーガー」にも選ばれ、美味しさと落ち着いた店舗が好評となり、米国内で人気のハンバーガーレストランとなっています。
日本で第1号店をオープンするにあたり、創業者のアダム・フライシュマンは「UMAMIのルーツである日本に戻れることを大変嬉しく思います」と語り、うま味大国での出店を喜んでいました。
実際に米国サンフランシスコ店を訪問しましたが、入口に座席の案内係がいてゆったり食べるレストランで、日本のハンバーガーショップのイメージとは異なりました。
ナイフとフォークで食べるハンバーガーレストラン
2017年3月に「UMAMI BURGER 青山店」がオープンしてから半年が経ち、日本でも話題のハンバーガー店となっています。日本店のこだわりについて「UMAMI BURGER 青山店」の長岡店長に伺いました。
—「UMAMI BURGER®(ウマミバーガー)」の店長に手を挙げた理由は?
前職は、米国のドーナツ店で働いていました。ドーナツもハンバーガーも米国では食事の1つとして定着しています。しかし日本ではドーナツは、朝食やおやつのイメージが強く、ハンバーガーもファーストフードがほとんどです。
米国の「UMAMI BURGER®(ウマミバーガー)」は、ナイフとフォークでハンバーガーを食べるハンバーガーレストランを目指しています。それが面白いと思うと同時に、日本でもハンバーガーレストランを根付かせることにやりがいを感じました。
—来店するお客さまの客層、お客さまの反応は?
青山・表参道という場所には、グルメバーガー店や海外の有名バーガー店が出店し、新しいハンバーガーを受け入れてくれる雰囲気があります。平日昼は女性や若い世代が中心ですが、外国人観光客も多いです。米国の「UMAMI BURGER®(ウマミバーガー)」をご存知の方が、馴染みの味を食べに来ている感じです。
食材は日本で仕入れますが、うま味を引き出す調理方法は米国と同じです。ステーキハウスで出されるようなハイエンドの米国産のブランド牛を毎朝店で粗挽きし、手捏ねでパテにしています。基本の焼き加減はミディアムレアですが、お客様の好みに6段階の焼き加減で対応できるようにしています。
ポテトもドリンクもつかない、値段が1,000円を超えるハンバーガ―ですが、おかげさまでお客さまには好評いただいています。
SNSで発信する方が多いので、ハンバーガーをお持ちしてもしばらくは撮影タイムになるようです。
日本発のバーガーを米国の定番にしたい!
—店舗づくりのこだわりや努力していることは?
店の中心にバーカウンターがあり、お酒とハンバーガーを楽しめるような店舗にしています。米国では、家族で来店してハンバーガーに加えてサイドメニューとアルコールを注文する、まさにレストラン使いの店なのですが、まだ日本ではハンバーガーだけを注文される方が多いです。
ビールや、ワイン、カクテルも充実しているので、夜のご注文時にはアルコールをおすすめするようにしています。オープン時はレギュラーサイズのみでしたが、気軽に楽しんでいただくためにハーフサイズをご用意しました。地道ですが、フォークとナイフでハンバーガーを食べ、アルコールも一緒に楽しむようなレストランになればと思います。
—今後の展開や夢は?
2020年までに10店舗を展開する予定です。既存メニューは米国の作り方を忠実に守っていますが、今後は、日本食材を取り入れてうま味を引き出すハンバーガーがあってもいいと思います。
こちらの店長として採用された時、何をやるか報告してくれたら基本的に好きにして良いと言っていただいたので、責任も伴いますがいろいろ挑戦したいです。
うま味は和食に不可欠の味ですし、日本人はうま味を楽しむ長い歴史があります。日本の限定メニューが米国の店舗で取り上げられるようになれば、スタッフのモチベーションがあがると思います!日本は四季を意識した商品開発が盛んです。現状に満足せず、こんな美味しいハンバーガーはないと言っていただけるよう取り組んでいきたいです。
確かに、こんなハンバーガーがあっても良い!
サンフランシスコと青山の両店舗を訪れ、ハンバーガーの新領域を知った気持ちです。ハンバーガーはパテを炭火で豪快に焼いて、ワイルドな料理!そんなイメージがありますが、「UMAMI BURGER®(ウマミバーガー)」で提供されるのは、丁寧に調理した繊細なハンバーガーです。フォークとナイフでゆったり食事をしてもらうというコンセプトも新鮮です。
まだまだ「ハンバーガー=ファーストフード」の印象が根強い日本で、しかも、<umami>の本場日本で、「UMAMI BURGER®(ウマミバーガー)」はどこまでファンを増やすことができるでしょうか。他店舗展開や商品開発など、 LA発の本格バーガーが今後どんな進化を見せるのか、これからの展開に期待したいです!
店舗情報
店舗名 | UMAMI BURGER 青山店 |
営業時間 | 11:00〜22:00 (L.O.21:30) |
最寄駅 | 東京メトロ表参道駅より徒歩3分 |
電話番号 | 03-6452-6951 |
URL | http://umamiburger.jp/ |