
家電製品は進化を続け、驚くようなイノベーションや便利さを提供してくれます。なかでも調理家電は多様化・本格化して、飲食業界のプロもうならせるような商品が登場。〝家庭用〟の範疇を越えた機能をもつアイテムも出てきました。
東京・二子玉川にある「二子玉川 蔦屋家電」は量販店とは一味違った商品をラインナップし、テーマにもとづいた展示でトータルなライフスタイルを提案する店舗です。2018年1月から3月にかけて店内を順次リニューアルし、食フロアはさらに拡大・充実しています。
今回は蔦屋家電で食フロアを担当するコンシェルジュ・武藤理佳さん(写真)に、飲食のプロや料理人におすすめする、こだわりの調理家電をご紹介いただきました。
武藤さんは最近の調理家電の特徴について「1つの用途に特化した家電製品ももちろんありますが、1台で多用途に使え、一石二鳥…三鳥と、機能が充実した商品が増えています」と言います。使いこなせば、さまざまな調理に応用できるアイテムが出てきているようです。
これまで料理人が手間暇かけて行ってきた難しい調理が簡単にできる商品や、歴史ある定番商品の進化にも注目です。
プロの料理人もほしくなる5つのアイテムを、武藤さんのコメントとともに見ていきましょう。
目次
肉や魚を驚くほどしっとり・やわらかく仕上げる低温調理器
■BONIQ(ボニーク)
「BONIQ(ボニーク)」は、簡単に「低温調理」を実現する調理器です。
タンパク質に熱を加えると、50度くらいで変化が起き、70度を超えると固くなってしまいます。肉が最もやわらかくなるのは55度から58度ほど。その温度帯をキープして加熱するのが「低温調理」です。
これまで、料理人はこの「低温調理」をするために、温度計やタイマーとにらめっこしながら厨房に張り付いていました。ボニークを使えば、温度設定をして放置しておくだけで絶妙な火入れが実現します。
水を張った鍋にボニーク本体をセットして温度と時間を設定。スタートボタンを押すと、設定温度まで水を加熱し、その温度をキープしてくれます。下味をつけた食材をフリーザーバック等に入れて空気を抜き、真空に近い状態にして、鍋の湯につけておけば、肉がしっとりやわらかく仕上がります。魚も野菜もおいしく調理でき、プリンなどスイーツ作りにも応用できます。
「お肉は種類や、ムネ・モモなどの部位によって調理に適切な温度が違います。それぞれに合った温度帯を使い分けるのが大事で、ボニークはそれが簡単に設定できます。低温調理によってお肉が本当にジューシーに仕上がり、カットした断面の色もきれいです。高価なお肉より、リーズナブルな素材をおいしく食べる用途に向いていると思います。お魚はカルパッチョにされる方が多いようですね」(コンシェルジュ 武藤さん)
参考:ボニークの調理動画
炊飯だけじゃもったいない!多用途に使える優れモノ調理器
■バーミキュラ ライスポット
「バーミキュラ ライスポット」は、鍋と専用ポットヒーターがセットになった炊飯器。
ご飯が抜群においしく炊ける!と既にかなりの知名度を誇る商品ですが、実は調理器としても優秀です。愛知県で生産されている鋳物ホーロー鍋は、蓋と鍋本体の密閉性が高いため素材の水分を逃さず、簡単に「無水調理」ができます。
鍋を加熱するポットヒーターは、ハイパワーIHコイルが鍋底を均一に加熱するため、焼き付けや炒め調理もムラのない仕上がりに。30度から95度まで1度刻みの温度設定が可能で、ローストビーフやコンフィなど、繊細な火加減や温度管理が必要な「低温調理」も、簡単に実現できます。
「鍋が大きいので塊のお肉も楽に調理できます。ポットヒーターから鍋を取り外して直火にかけることもできるので、調理の自由度が高いです。値段を見るとちょっと高いように感じますが、この鍋は素材のおいしさをとても良く引き出してくれます。本体の値段プラス、ポットヒーターの価格と考えると納得できますね」(コンシェルジュ 武藤さん)
チーズを使った新メニューを提供してみては?インパクト抜群のチーズヒーター
■アンビエンス ラクレットチーズヒーター
「アンビエンス ラクレットチーズヒーター」は、スイスのメーカーTTM社によるラクレットチーズ専用のオーブンヒーターです。
「ラクレット」とは、スイスやフランスの郷土料理の名前で、その料理に使う大きなチーズの名称でもあります。サークル型、またはスクエア型のチーズをヒーターにセットし、断面を直火で温めて溶かします。溶けたチーズをナイフなどで削いで、ジャガイモやパンに絡めて食べるのが定番。肉や魚に合わせるなど、オリジナルメニューに挑戦しても。蔦屋家電では現在店頭に展示していませんが、商品の取り寄せはできるとのこと。
「飲食店をやっているプロの方が、ラクレットをメニューに加えたいと言って買っていかれたこともあります。見た目のインパクトもありますし、ラクレットがメニューにあったらオーダーしてみたくなりますね」(コンシェルジュ 武藤さん)
圧倒的なパワーで調理の幅が広がるブレンダ―
■Vitamix(バイタミックス)
「Vitamix(バイタミックス)」は、一般の家庭用ミキサーに比べて3~5倍のパワーをもつブレンダ―。
95年以上の歴史を持つ定番商品ですが、コンパクト化や静音性の向上などの仕様変更で進化を続けています。PRO750は仕様変更した新しいモデル。2016年から日本でも販売開始になり、従来よりコンパクトながら攪拌力もパワフル。
野菜や果物の皮・種まで粉砕するため、これを使ってスムージーを作れば栄養素を丸ごと摂取できると人気ですが、バイタミックスの得意分野はスムージーだけではありません。主な機能は「混ぜる」「温める」「冷やす」「つぶす」「刻む」「砕く」「挽く」「こねる」の8つ。野菜のみじん切りや、ソース・ディップ作り、塊肉を挽くこともできます。米を挽いて米粉を作ったり、パン生地をこねることも可能。
大きさやパワーなど、ラインナップが豊富なので、用途に合わせてセレクトできます。
「他のミキサーやブレンダーと比べてパワーが格段に違います。スムージー作りで有名なブレンダ―ですが、使い方を学んで工夫することで調理に役立ち、かなり多用途に使えます。食材の下ごしらえが簡単にできたり、素材を粉砕して、摩擦熱で加熱することでスープを作ったり、コーヒー豆を挽いたり。パン生地はこれで捏ねて、発酵までもっていくこともできます」(コンシェルジュ 武藤さん)
見た目も◎アタッチメントで多用途に使えるスタンドミキサー
■キッチンエイド スタンドミキサー
「KitchenAid(キッチンエイド)」のスタンドミキサーは1919年から生産されている商品。
「混ぜる」「練る」「泡立てる」の基本機能で、お菓子作りやパン作りがぐっと楽に。独自の「プラネタリーミキシング」で、きめ細かい均一なミキシングが可能です。豊富なアタッチメントを活用すれば、肉を挽いてソーセージを作ったり、パスタを打つことも。
本体が大きいため購入を控えていた人には、小さめのサイズ(アルチザンミニシリーズ)が発売になったので手を伸ばしやすくなりました。クラシカルなデザインも魅力で、店内のお客様から見える場所に置いても映えるアイテムです。
「アメリカの家庭では昔からごく一般的に使われている家電です。アメリカ人のお客様が来店されてこの商品を見つけると、懐かしさで思わず展示品を抱きしめたりするんです。多機能で、アタッチメントも豊富。ホイッパーが特に優秀で、この機器でないとできない、ふわっふわのクリームが仕上がります」(コンシェルジュ 武藤さん)
まとめ
最新の家電は、〝家庭用〟とはいえ、プロが上手に活用すれば店のメニューの幅を広げ、調理の時短にも役立てられそうですね。「二子玉川 蔦屋家電」では商品展示に加えて、定期的に商品のデモンストレーションも行っているので、ぜひ足を運んで、実際に機器に触れてみてください。
■今回取り上げた調理家電
■取材協力
店舗名 | 二子玉川 蔦屋家電 |
住所 | 東京都世田谷区玉川1丁目14番1号二子玉川ライズ S.C. テラスマーケット |
TEL | 03-5491-8550 |
通販 | 二子玉川 蔦屋家電 通販サイト |