
ワインやシャンパン(シャンパーニュ)は、ジャンルを問わず、多くの飲食店が扱っているドリンクです。すでにボトルのリサイクルは習慣化していても、コルク栓を捨てている飲食店はまだ多いのではないでしょうか。
今回取り上げる「TOKYO CORK PROJECT」は、貴重な天然資源であるコルクに着目。コルク栓を使い捨てにせず、回収して新たなデザインアイテムとしてリサイクルする事業を展開しています。この事業のリーダーがリサイクルに取り組んだきっかけや、コルク栓回収から再生アイテム制作までのプロセスとをご紹介します。
目次
仕掛け人は飲食業界出身!目の当たりにした“トレードオフ”の現状
ワインボトルのコルク栓を使い捨てずに有効活用できないか?そう発想して事業をスタートさせたのは、株式会社GOOD DEAL COMPANY代表の北村真吾さん。北村さんは、大消費都市は「再生資源の宝庫」である、という考えのもと「TOKYO CORK PROJECT」を立ち上げ、ワインのコルク栓を新たなデザインアイテムとして再利用する取り組みを進めています。
北村さんは、2019年5月に行われた「サーキュラーエコノミー」をテーマとするカンファレンスイベント「530week conference 2019」のトークセッションに登壇しました。
セッションの中で、北村さんはこの再生プロジェクトを始めたきっかけについて語りました。
「身近にあるサービスには、必ず“トレードオフ”(何かを達成するために何かが犠牲になる状態・関係)が発生しています。持続的な社会にしていくために、トレードオフを少なくすることはできないか、と考えてきました」(北村さん)
北村さんはこのプロジェクトを始める前に、外食産業で働いていました。かつて従事していた飲食店でコルク栓のゴミを1カ月間ためてから捨てるという習慣があり、1店舗でこんなにたくさん捨てるのかと、廃棄量の多さを目の当たりにしたと言います。
コルクは自然素材で、日本では生産できない希少な資源だということを知っていた北村さんは、コルク栓の使い捨てが当たり前になっている状況について疑問を感じるようになりました。
「当時はワインブームで、ワインバーや立ち飲み店が多く出店していたので、ワインを提供する外食産業が一丸となれば、外食産業の中でリサイクルができるんじゃないかと思うようになったんです」(北村さん)
2014年にリサイクル事業を開始し、今では都内約500店舗、全国で約750店ほどの飲食店がコルクの回収に協力しており、ワインのコルク栓再生事業は大きな広がりを見せています。
コルク栓リサイクルの流れ ~回収と資源化、製品はすべて国内生産
では、「TOKYO CORK PROJECT」のコルク栓リサイクルの流れを見ていきましょう。
■使用済みコルク栓の回収
消費者や飲食店、ホテル、自治体、ワインの小売店、インポーター主催のワイン試飲会などで出た使用済みコルク栓を「TOKYO CORK PROJECT」が回収します。
■コルクの仕分け、洗浄
作業所にコルクを持ち込み、プラスチック栓や金属、その他の禁忌品を取り除く作業をしてから、天然のコルク、粉砕した天然コルクを集成したもの、シャンパン(シャンパーニュ)用のコルク栓等、種類別に仕分けします。異物を丁寧に取り除き、正確に仕分けすることで再生作業が円滑になるため、この作業は重要なポイント。作業の委託先は就労支援施設。障がいのある方の就労のサポートも担っています。
■コルクメーカーに引き渡す
仕分けされたコルクをコルクメーカーに引き渡し、粉砕、成形などの加工を施して、板材などの再生素材に仕上げます。
■製品化
「TOKYO CORK PROJECT」が企画・デザインして製品を開発し、メーカーのOEMを請け負い、リサイクルコルクを国内で製品化します。
施設の什器から、スツール、コースターまで幅広い商品展開
リサイクルしたコルク材の用途として、新宿の商業施設「NEWoMan」の休憩スペース什器・キッズスペースでの利用、「TRUNK(HOTEL)」のバーラウンジの什器、そして、個人が経営する飲食店の内装に活用した例もあります。
個人で購入できるデザインアイテムも多数ラインナップ。人気アイテムは、インテリア雑誌や女性誌でも取り上げられた、スタイリッシュなスツール、STOPPER STOOL CLEAR。シャンパンコルクをモチーフにしたデザインのスツールで、座面はコルク栓およそ350個分を再生して作られています。
コースターや鍋敷き等、日常的に使える商品もあり、「TOKYO CORK PROJECT」のWebサイトやポップアップショップなどで購入できます。さらに、オリジナルアイテムの発注も相談可能。店名や社名をプリントすることでノベルティグッズとしても利用できます。
「TOKYO CORK PROJECT」のこれからのビジョン
「530week conference 2019」で、北村さんはリサイクルに対する考え方や、今後の活動についてスピーチしました。
「リサイクルというのは、再利用された資源が最終的にどう使われるかで、ソーシャルインパクトが決まってくると思います。素材開発、商品開発がニッチな領域になってしまうとインパクトが小さくなる。生活必需品のようなもので、なにか提案することができないか、それを常に課題として考えています」(北村さん)
コルクをリサイクルするシステムを作り上げ、大型商業施設の設備にまで使われるようなアイテムを仕上げた北村さん。2019年7月現在では、コルク回収の協力店舗は新規に募集していませんが、飲食店はリサイクル資源を使った製品を店に導入することで、この活動に貢献できます。
新しい什器を購入する際、またはコースターや鍋敷き等を買い替える時には、コルク栓のリサイクル資源を使った商品を選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。
■写真提供/取材協力
| 企業名 | 株式会社GOOD DEAL COMPANY |
| プロジェクト名 | TOKYO CORK PROJECT |





