宅弁のパネルの前に自動販売機とお弁当が置かれた写真

ランチタイムになると、職場のエレベーターやコンビニには大行列ができて、ランチを買うだけでも一苦労…そんな思いをしている社会人は多いのではないでしょうか?
そんなオフィスのランチ事情を改善するための新サービス「宅弁™」が2018年7月よりスタートしています。
この「宅弁™」は飲食店の活性化など、食に関するビジネスを展開する株式会社ぐるなび(以下、ぐるなび)と、サントリーの飲食自動販売機(以下、自販機)などの飲料サービスを行うサントリービバレッジソリューション株式会社(以下、サントリービバレッジソリューション)が共同で実施しています。

職場に設置された専用の自販機でお弁当を注文すると、お昼にお弁当が届くという新サービスの狙いや、サービスを開始後に見えてきた今後の課題などについて、ぐるなび企画開発本部の野村直基さんと、加盟店営業部門の樋口義人さんに伺いました。

*冒頭の画像は「宅弁™」の設置イメージ。自販機でオーダーすると、ランチタイムに合わせて自販機スペースにお弁当が届く。(画像提供:株式会社ぐるなび)

働く人がうれしい!職場の自販機で楽に注文できる「宅弁™」とは?

「宅弁™」は、職場の近隣のレストランから直接お弁当が届くサービスです。
サービスの利用方法はとても簡単。職場に設置された「宅弁™」仕様の自販機で、普段ドリンクを購入するのと同じように「弁当注文」ボタンを押し、電子マネーや現金で支払うだけでオーダー完了。ランチタイムにあわせて、飲食店から各職場にお弁当が宅配されます。

気になるお弁当のラインナップは、ぐるなびによって職場近隣のレストランのお弁当が曜日別にあらかじめコーディネートされています。
現在、「宅弁™」は東京都の中央区、港区、千代田区、品川区の4つのエリアで実施中ですが、順次拡大予定。2020年には1,000台の自販機を設置することを目標にしています。

パソコンを開いて資料を片手に説明している野村さんの写真

「宅弁™」などEC企画を担当している、ぐるなび企画開発本部の野村直基さん(ライター撮影)

お弁当を注文する方は、当日の朝8時から10時までに『宅弁™』の自販機でお弁当を買います。価格は一律700円(税込)です。注文すると飲み物が10円引きになるコインが出てくるので、飲み物もお得になります!(「宅弁™」仕様の自販機のみ)」(野村さん)

自販機で受付された注文データは飲食店にFAXで送られ、昼12時までに各職場の弁当置き場(自販機の隣)に飲食店がお弁当を直接届けます。お弁当を注文した人は、弁当置き場に取りに行くだけ。何かトラブルが発生した時のために、ぐるなびではコールセンターを設置しています。

日替わり弁当のメニューの画像

日替わり弁当のメニュー(画像提供:株式会社ぐるなび)

「宅弁™」の利用者にとっては、職場の自販機で朝注文するだけでお弁当が届くので、お弁当を買いに行く移動時間を省くことができ、ライチタイムをゆったり過ごすことができます。

通常デリバリーには送料や最低注文全額がありますが、『宅弁™』の宅配送料は無料です。一人からでも注文をが可能です。自販機が注文のまとめ役をしてくれるため、ユーザーは一人で気軽に利用できます。また、いつもは家からお弁当を持ってくる人が、好みの飲食店の日にはあえて『宅弁™』をオーダーするなど、利用するペースも自由です。」(野村さん)

飲食店がうれしい!気軽なデリバリー参画で収益拡大が期待できる「宅弁™」

ぐるなびは、飲食店の販促支援はもとより、飲食店が抱える課題を解決するコンサルタントとして飲食店を多角的に業務支援していますが、「宅弁™」は2000年のEC事業、2004年のデリバリー事業に続くサービスとして開始されました。

飲食店の営業を担当している樋口義人さんの写真

ぐるなび加盟店営業部門の樋口義人さん。「宅弁™」に興味を持っている飲食店は多いそうだ(ライター撮影)

現在、営業担当者が飲食店1件1件足を運び、「宅弁™」への参加を依頼しているそうです。

飲食店は、人手不足や人件費の高騰など厳しい状況下で、新たな収入源を探しています。デリバリーに参入したいと思っても、車やバイクを準備しないといけないので敷居が高いという声がありました。その点『宅弁™』は配達先が近隣企業なので、歩いて運ぶことができるので、飲食店には興味を持っていただきやすくなっています」(樋口さん)

経営資源が限られている個店経営の飲食店にとって、配達時間や配達場所があらかじめ決まっている宅配サービスは運営負担が少ない点が喜ばれていると言います。ほかにも、自販機で決済が完了しているため集金負荷がないことや、ランチタイム前に配達が完了するビジネスモデルになっているので、ランチ営業への影響が抑えられる点にも魅力を感じているようです。

飲食店の方が企業のオフィスに入るのはなかなか難しいと思います。店舗の宣伝をしようと思っても、チラシ配りやポスティングくらいしか手段がありません。ですから、『宅弁™』を利用したことをきっかけに、社員の方が直接店舗に来店するようになったという話を聞くと嬉しいですね。私たちは、飲食店のサポーターとして、飲食店に寄り添うサービスをしたいと思っています」(野村さん)

飲食店には、宅配サービスへの参画による収益拡大、さらには「宅弁™」というプラットフォームを通して認知拡大や新規顧客の獲得につなげて欲しいという思いが「宅弁™」に込められています。

企業にうれしい!「宅弁™」利用が従業員の働き方改革につながる

サントリービバレッジソリューションから「宅弁™」を打診されたのが約2年前。ちょうど高級路線のお弁当デリバリーなど、ぐるなびが企業向けの新サービスを模索していた時期でした。

デリバリー事業を拡大するにあたり、企業に存在しているお弁当ニーズを汲み取ってサービス化したいと思っていました。『宅弁™』は企業の総務部と(自販機設置など)直接やり取りが発生するので、そこで拾ったニーズから、ぐるなびの様々なコンテンツを今後ご提案できればと考えています。」(樋口さん)

「宅弁™」導入企業にヒアリングをしたところ、

  • 通常の仕出しお弁当と違い、質が高い
  • 従業員の休憩時間が増え、働き方改革への一助となっている

など好評価のコメントが多かったようです。
一方で今後へ向けての具体的な改善要望としては、

  • 商品(お弁当)のラインナップをもう少し増やしてほしい
  • 健康を意識したお弁当を導入してほしい

といった声もあるそうです。

女性従業員が多い企業では、野菜多めのお弁当を取り揃えるような、職場ごとのニーズに合うメニュー選びがこれからの課題ですね。7月にスタートして、まだまだ試行錯誤の状況です。飲食店、企業のご意見を聞きながらいろいろなプランを構築できればと思っています」(野村さん)

ぐるなび社内に設置されている自販機の前で野村さんと樋口さんが立っている写真

ぐるなび社内にも「宅弁™」自販機が設置されています(ライター提供)

ますます「宅弁™」の内容が充実すれば、導入する企業も増えてきそうです。共同事業者のサントリービバレッジソリューション株式会社は、
「オフィスビル街で、エレベーター渋滞やコンビニ・レストラン混雑に悩みを抱える法人の方々や、周囲にランチを食べる店がなくお困りの法人様をメインに考えていますが、これらに限らず、働き方改革を推進する幅広い企業様に導入いただきたいと考えています」と、コメント。
今後は、導入企業を増やすために、既に自販機で取引のある企業への「宅弁™」サービス案内や、展示会出展など、広報活動を実施強化していくそうです。

オフィスの近くに飲食店がない企業からの問い合わせが多く寄せられているそうですが、近隣の飲食店からの宅配を想定している「宅弁™」は、飲食店が少ないエリアでサービス提供が可能なのでしょうか。

確かに、飲食店探しは苦労しますね。従業員のランチの選択肢を増やしたいという思いが企業にあるので、配達網がしっかりしているお弁当屋さんをご案内する選択肢もありかと思います。遠距離への配達能力がある飲食店は、ビジネスチャンスがさらに広がることになります」(樋口さん)

自販機の台数が増えれば増えるほど、飲食店のハンドリングを担うぐるなびの業務も多くなります。「飲食店のためという信念ができないとできません」と終始語ってくれたお二人は、嬉しい悲鳴をあげる日を待ち望んでいるようでした。

今後の「宅弁™」の展開にも期待大です!

取材協力

「宅弁™」 https://delivery.gnavi.co.jp/premium/takuben/