
近年、世界中で社会や環境への注目が高まりつつあり、飲食業界でも「SDGs」や「サステナブル」といった言葉をよく耳にするようになりました。
全世界で取り組みが広がる中、日本でもサステナブルを追及したレストランが増えています。
しかし、サステナブルという言葉を耳にしたことはあっても、詳しい意味合いまでは理解していない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、今後ますます増えていくと予想されているサステナブルレストランについて、メリット・デメリットもお伝えしながらわかりやすく解説していきます。
そもそもサステナブルとは?
サステナブルを追及しているレストランが増えているとよく耳にしますが、そもそもサステナブルとはどのような意味合いの言葉なのでしょうか。
持続可能な社会を実現すること
サステナブルとは、人間や社会、地球環境が「持続可能な発展」をすることを意味しています。維持する(Sustain)と、できる(able)の造語から成り立っています。
サステナブルという考え方は、環境破壊が問題化した1980年代に登場しました。
当初は、温暖化、森林破壊といった地球環境の維持を目的としていましたが、このつぎに紹介するSDGsをキッカケに、さまざまな分野で使われるようになったのです。
SDGsの採択をキッカケに一気に広まる
SDGsとは「持続可能な開発目標」のことです。貧困や飢餓、環境問題や経済成長、そしてジェンダーに関する課題を解決するため、17の目標がかかげられています。
2015年の国連サミットでSDGsが採決されたことをキッカケに、サステナブルの考えは世界中に広まりました。
またサステナブルの考えは、これまでの「地球環境保護」を対象にしたものだけでなく、経済格差や人権など広い問題の解決を含めたものへと変化を遂げたのです。
サステナブル(持続可能な)未来を手に入れるために17の目標が設定され、世界中で取り組みが進められています。
17の目標の中で、飲食業との関わりが深いものとして、飢餓や健康、環境問題があげられるでしょう。
たとえば、環境問題が悪化すれば、農業に影響を及ぼします。これまで生産できていたものができなくなれば、人々の飢餓や健康に大きなダメージを与えるでしょう。
飲食業界ではこのような未来を防ぐために、さまざまな取り組みが進められています。これから紹介するサステナブルレストランも、SDGsを推進するための取り組みのひとつなのです。
サステナブルレストランとは
では、サステナブルレストランとは具体的にどのような取り組みを行っているレストランなのでしょうか。
食材への配慮
ひとつ目は、食材への配慮です。
食材を選ぶ基準はお店ごとに異なりますが、サステナブルレストランでは環境や動物にやさしい素材を選ぶことをモットーにしています。
具体的には無農薬で作られた野菜や果物、家畜の健康に配慮しストレスを最小限にする「アニマルウェルフェア」という考え方で飼育された家畜などです。
さらにサステナブルレストランでは、食材の産地にこだわり、地元でとれた食材を優先的に使用しています。地産地消を大切にする理由は、食材が新鮮であることはもちろん、輸送によるエネルギー軽減が可能になるからです。
そのほかにも、フードロスを減らすための取り組みとして、コンビニで売れ残った期限切れのおにぎりやお弁当などを家畜のエサに再利用するなどがあげられます。
労働問題への配慮
生産者の労働環境は、レストランや飲食店が選ぶ食材に大きく影響します。なぜなら、レストランや飲食店が食材を選ぶ基準を価格だけにしてしまったら、生産者に還元される利益が少なくなってしまうからです。
還元される利益が少なくなれば、生産者は必要な人員を雇えなくなり、生産性を上げるための設備投資も行えなくなってしまいます。
そのため、サステナブルレストランでは、生産者の過酷な労働環境へとつながる低価格な食材を選ばないことを大切にしているのです。
サステナブルレストランの取り組み
では、実際にサステナブルを推進しているレストランを紹介します。
サステナブルキッチンROSY
「未来をともに育てる」をコンセプトに、ここでしか食べられない身体に良いメニューを提供しています。
野菜は契約農家が農薬不使用、もしくは化学肥料不使用で生産したもの使用し、パンも食品添加物を一切使用せずオーガニック小麦を使って手作りするなど、健康や環境にこだわっているお店です。
里山transit
「地域の資源を暮らしに活かす」をコンセプトに、地域と共に歩み成長し続けていくレストランです。
地元の生産者が食材を持ち寄って、店内で調理・加工する「持参自消」や、地域の余野菜を活用した「里山リサイクル」などの取り組みを行っています。
パナソニック
パナソニックでは、社員食堂にサステナブル・シーフードを導入しました。
サステナブル・シーフードとは、水産資源や環境に配慮された「MSC認証」を取得した漁業で獲られた水産物のことです。
そのほかにも、社会と環境への影響を最小限に抑えた「ASC認証」を受けた養殖場で育った水産物もサステナブル・シーフードと呼ばれています。
パナソニックは、自社が得意とする分野での社会貢献ではなく、ほかの企業へも貢献できる取り組みとして、大きなインパクトを与えました。
サステナブルレストランのメリット・デメリット
SDGsの広がりを受けて、今後ますます増えると予想されるサステナブルレストラン。
では、サステナブルレストランにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
サステナブルレストランのメリット
サステナブルレストランのメリットをそれぞれひとつずつ解説していきます。
世間からの注目度が高まる
サステナブルレストランの数は日本ではまだ少ないため、非常に注目度が高いカテゴリーといえます。
しかし、世界ではすでにサステナブルレストランへの格付けや賞の制定が進んでいるため、日本だけでなく世界からも注目されるチャンスがあるでしょう。
ミシュランでは、サステナブルが指標になる「グリーンスター」という新たな基準が設けられ、今後の評定に大きな影響を与えると予想されています。
食材とともに料理のクオリティも上がる
地元でとれた新鮮な食材なので、素材そのものの味が良く、料理のクオリティも上がります。
さらに、新鮮な食材には余計な味付けも必要なく、素材の味を楽しんでもらえるでしょう。
人々の持続可能な社会への関心が高まる
日本では持続可能な社会に対する消費者の関心がまだまだ高いとはいえません。
しかし、より消費者に近いレストランが重要性を訴えることで、さまざまな課題を自分ごととしてとらえてもらえるようになります。
サステナブルレストランのデメリット
社会貢献に大いに役立つサステナブルレストランですが、デメリットも存在します。サステナブルを実践する際に、デメリットを理解しておかないと、取り組み自体を継続できなくなってしまいます。
サステナブルの導入を検討している経営者の方は、メリットだけでなくデメリットにも目を向けて対策を取っていきましょう。
食材調達にかかるコストが上がる
環境に配慮された食材は生産に手間がかかっている分、入手にかかるコストは高くなります。
農薬を使って大量に生産された食材の方が運送費をプラスしても安い場合があるため、経営面を考えると頭の痛い問題になるかもしれません。
状況によって手に入る食材が変わる
サステナブルによって生産される食材は、気候や出来高によって生産量が変わるため、その時々で手に入る食材が変わります。
そのとき手に入ったものを臨機応変に調理する技術が求められるため、料理人としてのスキルやアイデアが求められるでしょう
フードロスをなくすのが難しい
サステナブルに限ったことではありませんが、飲食店ではお客様の来店予想が容易ではないため、フードロスをなくすのが非常に困難です。
残ってしまった部位はスタッフのまかないに使ったり、加工用の食材に回したりするなどの工夫が必要になります。
飲食店でもすぐに始められるサステナブルな取り組み
サステナブルレストランのメリットとデメリットを理解したとき、自分のお店では継続できる見込みがないと考えてしまう方も多いのではないでしょうか。
サステナブルレストランで取り扱う食材は決して安いものではないため、すべてのメニューをいきなりサステナブルなものに変更するのはハードルが高いかもしれません。
そのため、はじめは部分的に取り入れるのもおすすめです。
たとえば、「サステナブルプレート」としてメニューの一部としてスタートすれば、食材のムダやオペレーションの困難を避けられますし、お客様の反応も見やすいのではないでしょうか。
また、飲食業界で働く方向けのニュースアプリ「ククロ」では、飲食業界におけるサステナブルな取り組みの最新情報なども配信しています。飲食業界の旬のトレンドをいち早くチェックできるので、サステナブルに関するおすすめの情報も仕入れられますよ。ぜひチェックしてみてください。
編集後記
飲食業界におけるサステナブルな取り組みと、サステナブルレストランのメリット・デメリットについて紹介しました。
しかし、コストや生産性を考えると、いきなりすべてのメニューをサステナブルなものに変えるのはリスクをともないます。
お客様の反応を見ながら、少しずつ取り入れてみてはいかがでしょうか。そして、飲食業界のトレンドがわかる「ククロ」もぜひチェックしてみてくださいね。



