審査の様子

2017年5月17日〜19日、日本一おいしい日本酒を決めるコンペ「SAKE COMPETITION」の審査が行われました。6回目の開催となる今回は、海外からの22出品を含む総出品数1730点と出品酒世界最多。今年は新たにラベルデザイン部門と発泡清酒部門が加わり、7部門の審査が行われました。
「SAKE COMPETITION」の審査対象は市販酒のみ。例年1位を獲得した日本酒は即日完売となるなど、とても注目度が高いコンペです。それではさっそく、審査風景をレポートします!

市販酒のみにフォーカスした「SAKE COMPETITION」

日本酒の大規模なコンペには「全国新酒鑑評会」と「SAKE COMPETITION」の2つがあります。
歴史が古く、技術向上のために系統的な品評会として重要視されてきた「全国新酒鑑評会」では、コンペ出品を目的に技術を結集した特製の出品酒が使われるため、金賞に輝いたお酒を飲みたくても一般的な酒屋では販売されていません。
一方、「SAKE COMPETITION」では一般の人でも購入できる市販酒であることが出品条件となっています。20年以上前から「SAKE COMPETITION」の前身となる市販酒コンペを企画し、審査員もつとめる株式会社はせがわ酒店の長谷川浩一さんに少しお話をお聞きしました!


株式会社はせがわ酒店の長谷川浩一さん

●出品酒世界最多

「SAKE COMPETITION」の出品数は世界最多。年々出品数も増えています。
「日本にある蔵元の約半数が参加してくれるようになりました。しかしコンペなので、1位もあれはビリもあり、予選で落ちるとめげてしまい翌年は参加しない蔵元もあります。気持ちはわかりますが、日本酒は毎年味を変えることができるので、再チャレンジして欲しいですよね」と今後もさらに多くの参加にむけた胸の内を語ってくれました。


審査中の日本酒

●7部門で評価

「SAKE COMPETITION」の審査対象部門は「純米酒」「純米吟醸」「純米大吟醸」「吟醸」「Super Premium」に今年から「ラベルデザイン」「発泡清酒」が加わった7部門。
「ヒデ(中田英寿さん:実行委員)発案のラベル部門や発泡清酒部門も加わりました。日本酒もジャケ買いがあるし、ラベルに注目するのは面白いですよね」と、今年のコンペが今まで以上に話題となる手応えを感じている様子でした。


ラベルデザイン一覧

●順位付け

「全国新酒鑑評会」は金賞、銀賞で評価されますが、「SAKE COMPETITION」は出品酒すべてに順位がつきます。
「全国新酒鑑評会で選ばれると、ボトルに受賞ラベルを貼ることができるけれど、出品数の半分くらいが金賞になるからありがたみがないんです(笑)。だからもっと注目してもらうために、SAKE COMPETITIONは1位、2位とはっきり順位をつけるようにしました。

●出品酒の傾向変化

「SAKE COMPETITION」は市販酒が出品条件のですが、出品酒の傾向にも変化があるようです。
「最近は、爽やかなお酒が増え洗練されてきました。今まで日本酒というと辛口のイメージがありましたが、お酒の甘さと酸味が好まれるようになってきたといえますね」と語ってくれました。日本酒が世界各国の食中酒としてさらに親しまれていけば、こうした傾向もさらに変化していくかもしれませんね!


発泡清酒

審査会場は日本酒の匂いと熱気が充満!!

料理に合わせておいしい日本酒の選択基準を作るため、日本に流通している多くの日本酒を集め、同じ人間が一斉にブライドティスティングで利き酒評価する形式をとる「SAKE COMPETITION」。

審査は5月17日(予審会)と19日(決審会)の2日間で行われました。審査対象部門は「純米酒」「純米吟醸」「純米大吟醸」「吟醸」「Super Premium」に今年から「ラベルデザイン」「発泡清酒」が加わった7部門です。


ずらっと並ぶ酒とおちょこ

大きな部屋には、銘柄を隠したボトルときき酒用の蛇の目猪口がずらっと並び、審査員はそれぞれの担当部門を審査します。
予審会で400点以上を試飲した月桂冠株式会社の高垣幸男さんは「1本目と400本目とでは(自分の)コンディションが違うので、酔っぱらい具合を頭にいれてペース配分を考えて(ティスティングして)いる」とお話いただきましたが……審査する側もなかなかハードです!

一点あたりの審査はあっという間!
お猪口を手に取り、香りを確かめ、口に含み、吐き出す。時間にして5秒ほどです。
400点もあるので、テンポよく審査しないといけないことはわかるのですが、瞬時に何を評価するのでしょう!

高垣さんにティスティング時に何に着目されているのかお伺いすると、「市販酒なので<飲用適正>と<個性>をみました。飲用適正といいながら飲めないのがジレンマですが、口に含んだ時にもう一杯飲みたくなるのかということをイメージしています」とのこと。プロのティスティングに感服です!

予審会は10時からスタート。口に含んでは吐き、口に含んでは吐くというティスティング審査がお昼まで続きました。


審査風景

予審会では、決審会に向けて日本酒の数が絞り込まれます。

純米酒部門 448点から176点
純米吟醸部門 518点から173点
純米大吟醸部門 414点から158点
吟醸部門 196点から70点

決審会では、絞り込まれた中からさらにブラインドのティスティング審査が行われ、日本一おいしい日本酒が決定します。(Super Premium部門、デザインラベル部門、発泡清酒部門の計3部門は予審会日に決定。)

海外輸出を見据えた審査も!「SAKE」と書いてないラベルは話にならない

Super Premium部門の審査は、720mlで小売価格が10,000円(外税)以上というお酒が対象。海外への輸出を見据えたお酒であるかどうかも審査基準なので、外国人審査員の姿がありました。もちろん味はどれも高レベル。特徴的なのは、お酒の質に加え、外見(ラベル・方張り・ボトル・化粧箱等付属品を含むパッケージ)も評価対象となることです。


来日した審査員の方々

英国生まれ、日本酒に魅せられ来日した審査員の1人Christopher Hughesさんは「ラベルには日本語も必要だけど、これがお酒だとわかるために最低限『SAKE』という表記はないとだめですよね。何かわからないと、飲むことすらできないでしょ。そういう意味で、まだまだ海外で売るための工夫が必要ですね」と、外国人ならではのマーケティング視点を語ってくれました。

「外国人は鯉や鶴、折り紙などが好きなので、ラベルに描けばそれだけで売れると思います(笑)。また、ストーリーが好きなので、簡単で良いので蔵元の歴史が書かれていたら喜ぶでしょうね。残念ながらお米本来の味は苦手な人が多いので、フルーティーでワインのような風味があるものの方が人気だと思います」


ボトルのアップ

審査方法については、高級酒の審査にもかかわらずお猪口での試飲だったのが残念なようでした。海外で日本酒を飲む際に使われるのは、ワイングラス。実際に飲むシーンを想定して、ワイングラスに注いだ時の色や質感、そして香りの広がりも評価したかったそうです。今年から新設された発泡清酒部門は、ワイングラスでの審査だったので、Super Premium部門の今後の課題となりそうです。


Christopher Hughesさん

「SAKE COMPETITION 2017」の授賞式は6月5日!

「SAKE COMPETITION」の審査会場には、実行委員会や審査員の「おいしい日本酒を選びたい」という熱意が満ちていました。審査員の方に取材もさせていただきましたが、蔵元に対する敬意や、海外でも日本酒を評価して欲しいという願い、おいしい日本酒を飲んでもっとたくさんの人に日本酒のファンになって欲しい!という強い思いが感じられました。
「SAKE COMPETITION」で1位となったお酒は、たちまち市場から消えてしまう(売り切れてしまう)という現象がおきるのもうなずけます。
今年の結果は6月5日の授賞パーティーで発表予定。どんなお酒が選ばれるか楽しみです!

授賞式の様子についてはこちら