クラフトビールが並んでいる写真

キリンビールが主催する「クラフトビールセミナー」は、クラフトビールについて楽しく学ぶことができるセミナーです。
クラフトビールについての基礎知識を学んだ後には、6種類のクラフトビールを実際に飲み比べることができる(無料)ので、クラフトビール初心者やビール好きにはピッタリの内容なのです!

「クラフトビールセミナー 」ってどんなセミナー?

スライドをプロジェクターで画面にうつしているところ

キリンビールが主催する「 クラフトビールセミナー」には、ビールメーカーの熱意が詰まっています。「世の中にいろんなビールがあるということをもっと知ってもらいたい」「ビールの美味しさ、そして楽しさをもっと広く伝えたい」といった思いが背景にあります。

この「クラフトビールセミナー」の発端は、キリンビールの一社員が飲食店を行脚して行ったセミナーでした。 セミナー内容が非常に好評だったため、全国各拠点の社員がセミナーの話し手となり、各地域の一般消費者や各エリアの飲食店・卸業者向けに自立して開催できるセミナー形式へと進化してきました。

「クラフトビール」の定義って?

最近「クラフトビール」という言葉をよく耳にすると思いますが、皆さんはどんなビールのことを指すのかご存知ですか?なんとなくわかっているつもりでも、実際に言葉で説明するとなると難しいのではないでしょうか。
「クラフトビール」の定義としては、アメリカのブルワーズアソシエーション(醸造家協会)は3つのポイントを定めています。

1つ目に伝統的であること、2つ目に小規模であること、3つ目に独立していること。

ただ現在ではクラフトビールの多様性が増し、この定義は必ずしも当てはまらなくなってきているのが現実です。

キリンビールの考えるクラフトビールの定義は「造り手の感性と創造性が楽しめるビール」です。

例えば、伝統的なスタイルにインスパイアされて生み出された新しいビールや、ユニークな製法や原材料を用いたビールも、キリンビールの定義ではクラフトビールとなります。
もちろん従来の定義にあった、伝統的な製法のビールも、小規模なブルワリーも、ユニークな原料や製法を用いたビールも、「クラフトビール」に該当します。

つまり「クラフトビール」の定義は、広がってきているといえるのではないでしょうか。

ビールに合わせてグラスを選ぼう、というイラスト

「クラフトビールセミナー 」で体験できる3つのこと

では、「クラフトビールセミナー」で体験できることを3つ、ご紹介します(取材は2018年7月)。

【アクティビティ1】クラフトビール製造の疑似体験

まず1つ目は、冷えたビール液にホップの香り・苦味を移す「ドライホッピング製法」の体験です。

ホップを掌に置いているところ

手の上にあるのが、ビールの原料である「ホップ」です。
乾燥した状態では軽く、黄緑色で、大きさはビー玉1.5個分ほど。おしゃれなドライフラワーの一種のような見た目です。 通常のビール生産の際にホップは粉砕されているそうですが、今日は元の形状がわかりやすいサンプルを用意していただきました。

ホップの真ん中を手で引き裂くように割ってみると、中には「ルクリュー」と呼ばれる黄色い粒つぶがあります。プラスチックのような脂っこい匂いがしますが、これがビールの香りの元になります。
コーヒープレスの中に湿らせたホップを入れ、そこにビールを静かに注ぎます。今回は冷えた一番搾り(500ml)です。

ホップを入れたコーヒープレス内にビールを注ぐところ

このコーヒープレスが貯蔵タンクの疑似イメージです。
ホップで香り付けをするため、5回プレスします。

ビールを注ぎ終え、5回プレスしています

セミナー参加者みんなでシュコシュコ。勢いよく泡立ちました。
理科の実験さながらですが、はたして美味しくなるの??少し不安な気持ちになります(笑)

コーヒープレスで5回プレスしたビールは、ホップの力で黄色味が強い色に変化

出来上がったビールをコップに注いでみると、注ぐ前は琥珀色だったビールが、ホップの力で黄色味が強い色に変化し、白濁しました。
この一連の流れで、「ドライホッピング製法」を疑似体験したことになります。

さっそくビールの匂いを嗅いでみると……

参加者から「おぉ!」と驚きの声が思わずあがります。ホップのツンとした匂いがかなり強烈で、飲んでみると味もツンと強く、苦いです。これはたくさん飲むと、ぐっと胸にきますね。
ホップの中にビールを注いで、たった数回コーヒープレスでプッシュしただけで、これだけ変わるとは!

セミナーでは味の変化を実感しやすいように、あえて大量のホップを使用していることもありますが、普通のビールとの差が驚くほどでした!

【アクティビティ2】グラスの違いによるビールの味わいの変化を体験

続いて2つ目は、グラスの違いによってビールの味わいがどう変化するのか、比較体験をします。

KIRINのJPLというクラフトビールとこのビールのために作られたオリジナルグラス

写真左の赤いビールは「JPL(ジャパン・ペールラガー)」という種類ですが、キリンビールはこのビールのためのオリジナルグラスを開発しています。ドイツのビールグラスメーカー「シュピゲラウ」による、卵型をしたユニークな形状のオリジナルグラスです。

セミナー講師から、ビールを注ぐ適正量や注ぎ方についてレクチャーを受け、いざ試飲!ビールの味わいの感じ方がどう変化するのか、注目です。
卵型のグラスは、ビールのいい香りを抱え込む構造になっています。
クラフトビールは普通のビールよりも香りが個性的なので、まずは香りを楽しむのがオススメだそうですよ。

ん?なかなかビールが口に届かない。

JPLをオリジナルグラスで試飲

やっと口にビールが入りました。
舌先にすーっとビールが伝わって、そのまま喉に流れていきます。いい喉越し!

続いて、プラスチック製のコップでビールを飲んでみます。
香りは先程よりは弱く感じます。
そして、一口。すんなり口に入りますが、口に入った瞬間に口中にビールが流れてしまいました。
写真をよく見てみると、先程と違って顔が下に向いている状態でも、口にビールが入ってきています。
だからビールが口の中に一気に入ってしまったんですね。

JPLをプラスチックコップで試飲

プラスチックコップは、ちびちび飲むには問題なさそうですが、ビールならではの香りと喉越しを楽しむなら、断然JPLオリジナルグラスのほうがおすすめです。
これは飲み比べてみないとわからないですね!

【アクティビティ3】6種のビール飲み比べ体験

最後の3つ目は、6種類のビールの無料試飲です。

クラフトビール6種をテイスティング

わいが軽めのものから重いものへと順にテイスティングしていきます。
写真左から6種類のビールを味わいの軽いものから順にご紹介します。

◎グランドキリン(WHITEALE)

発酵の種類:「エール」
その中の小分類:ホワイトエール
フルーティーで、バナナのような甘い香り。小麦の麦芽を使用した白濁したビールです。ビールは苦いからちょっと苦手、という女性でも軽やかな口当たりで飲みやすくなっています。

◎コープランド(COPELAND)

発酵の種類:「ラガー」
そのなかの小分類:ピルスナー

これは日頃よく飲み慣れているビールに近い味わいです。
のどごしにキレがあり、見た目はきれいな琥珀色です。
ピルスナーの由来は、ピルゼン(チェコ)のビールという意味。これが世界で多く採用されているスタイルになるため、ひとつの基準にすることが可能です。ビールの味を比較する際は、ピルスナーをテイストマップの真ん中に置き、酸味、苦味、香りを比べるとわかりやすいと言われています。

◎グランドキリン JPL

発酵の種類:「エール」寄りの「ラガー」
そのなかの小分類:ジャパン・ペールラガー

JPLのスライド

このビールスタイルは、キリンビールが独自開発したものです。「ペールエール」の豊かな香りと「ラガー」のキレの良い喉越し、この2つの特徴を持ち合わせています。日本の原材料を一部使っているので、「ジャパン」がネーミングに入っています。
香りやパンチが効いていながらも、下面発酵ならではのキレの良さも感じられます。

◎よなよなエール(YONAYONA ALE)

発酵の種類:「エール」
そのなかの小分類:アメリカン・ペールエール

ペールエールのスライド画面

上面発酵なので香りが華やかです。冷蔵設備がなくても発酵を行うことができるため、クラフトビールの定番とも言えるのが「ペールエール」です。

◎グランドキリン

発酵の種類:「エール」
そのなかの小分類:IPA(インディア・ペールエール)

IPAのスライド画面

これは「ペールエール」よりも、ホップの香りと苦味がしっかり感じられるタイプになります。IPAは個性を出しやすいので、クラフトビールメーカーのなかでもよく使われているスタイルです。

最近では「IPA」を巷でよく見かけるようになっていますが、その起原は200年前。もともとイギリスでは飲まれていたビールですが、イギリス人がインドに持ち込んだのは18世紀末。当時、船での運搬中に赤道地域の暑さでビールが傷んでしまうことが課題でした。ホップには混濁菌の繁殖を抑える役割があります。赤道直下の高温に耐えるため、ホップをたくさん効かせることによって、傷みにくいビールが作られたのですね。

◎アフターダーク(After dark)

発酵の種類:「ラガー」
発酵の種類:シュバルツ(ダークビール)

ダークビールのスライド画面

ローストした麦芽を用いているため、黒っぽい色をしています。苦味も強めですが、焙煎をしたことでチョコレートのような甘み・深みがプラスされています。

まとめ

今やクラフトビールは、バルや居酒屋、カフェにも置かれている身近なお酒になっています。

今回のキリンビール主催の「クラフトビールセミナー 」では、クラフトビールについて2時間ちょっとでたくさんのことを体験することができました。ビールの作り方や味わいの違いを楽しく学んで、何種類ものビールを飲み比べてみて、ビールそれぞれの個性と違いもよくわかりました。

ワインや日本酒に負けないクラフトマンシップ(職人魂)を感じることができるクラフトビール。ビールに苦手な意識がある方こそ、ぜひ一度チャレンジしてみることをおすすめします。セミナーは気軽に体験できるのでいいですよ!
キリンビールが主催しているビール関連の各種イベント情報は、こちら(キリン公式オンライン)に掲載されています。どなたでも申込可能ですので、最新情報をぜひチェックしてみてください。

取材協力

企業名 麒麟麦酒株式会社