日本フードエキスポの会場風景

昨年に続き2回目となる「“日本の食品”輸出EXPO」(主催:リードエグジビション ジャパン株式会社、共済:JETRO、協力:農林水産省)が、2018年10月10日〜12日に幕張メッセで開催されました。食品輸出に関心の高い国内企業の出展は、前回の倍となる637社。来場者は80カ国の海外バイヤー約4,000名を含む約20,000名となり、年々規模が拡大しています。

海外に販路を拡大したい国内企業にとっては、海外バイヤー(主に輸入商)と日本で直接交渉ができ、海外販路が開拓できる場として注目されるこのイベント。会場では、バイヤーに商品の魅力を熱心にアピールする日本企業の姿がありました。

農林水産省が掲げるのは「輸出額1兆円達成」

「“日本の食品”輸出EXPO」は、農林水産省が政府目標とする「2019年に農林水産物・食品の輸出額1兆円」の達成に向け、2017年に誕生。今回は、展示会事務局が渡航費を負担し、世界56カ国・地域から1,500名のバイヤーが招致されました。

日本フードエキスポのバイヤーラウンジとプレイヤールームの写真

展示会場には海外バイヤー専用ラウンジやPrayer Room「礼拝室」が設置されていました(ライター撮影)

主催団体であるリードエグジビション ジャパン株式会社の金 美和さんは、この展示会の役割について
海外で開催されている食の展示会に参画しても、展示会の来場者全体のうち日本食に興味がある方はその何割か。せっかく国内企業が海外に出向いても、商談までは着地しづらいというミスマッチが起きていました。それを解消するため、逆に“日本にいながらにして、世界中の人と輸出交渉ができる場”を作るため、2年前に「“日本の食品”輸出EXPO」がスタートしました
と語ってくださいました。

国内でもこれまで多数の食関連の展示会が開催されていますが、多くは名刺交換の意味合いが強く、その場で交渉までは至りにくい側面があるといいます。また、海外バイヤーが興味を持つ食品があっても、その企業が輸出にあまり積極的ではない場合もあります。

この点「“日本の食品”輸出EXPO」は、海外輸出を希望する企業のみの出展なので、買い付けにきたバイヤーと、すぐに具体的な交渉に進展するのが特徴です。

日本フードエキスポ メキシコ人バイヤー

お菓子・スイーツ類は特に海外バイヤーからの関心が高い(ライター撮影)

クオリティの高さが人気のお菓子と日本茶

それでは、海外バイヤーはどのような食品に注目しているのでしょうか?
主催側にバイヤーから商談リクエストが多かったのは「お菓子」だそうです。そのため、今回の開催では前回に比べて菓子ゾーンは3倍以上に拡大されました。

海外では、和菓子だけではなく、日本のお菓子全般に対して「おいしい」「ヘルシー」というイメージが定着。また、海外ではあまり見られない個包装されている商品が多い点も好まれているそう。扱いが楽で、輸出時の温度管理など不要という点もバイヤーに評価されるそうです。[この点もう少し加筆お願いします。なぜ扱いが楽なのか(一度開封しても最後までおいしく食べることができるため?)温度管理が不要というのもどんな食品のことを指しているのか、説明をお願いします]

前回の参加で新規の海外取引に手応えを感じたという「イトウ製菓株式会社」の野中伸一さんは「焼きっぱなしのクッキーではなく、チョコレートやバニラクリームがサンドされたような、日本の高い製菓技術を使用したお菓子が人気です。パッケージに日本語がある方が海外バイヤーは喜びます」と話していました。

イトウ製菓の野中さん

事前予約制の商談枠は開催前に満席に。今回初めてアゼルバイジャンからの問合せがあったという、イトウ製菓株式会社 野中伸一さん(ライター撮影)

海外バイヤーの抹茶など「日本茶」への関心の高まりも年々増大しているそうです。今回は海外バイヤーのニーズを受けて、「日本茶輸出促進協議会」が呼びかけを行い、鹿児島、宇治、静岡など全国の茶どころから18社が出展。前回の日本茶関連の出展数3、4社に比べると大幅な増加となりました。

日本茶業界には中小企業が多いですが、展示会に個別に1社で出展するにはとても負荷が高いため、自治体や取りまとめ団体がいることで出展ハードルが下がるようです。日本茶の魅力を伝える英語・中国語・韓国語のツールを制作・共通配布したり、商談成立後のやり取りや輸出時のフォローをしてもらえる安心感もあります。

外国人スタッフが抹茶をててている写真と静岡茶の写真

テーブル席では水出し緑茶の振る舞いや、急須を使ったお茶の淹れ方の紹介が行われ、日本茶の多様性を伝えている(ライター撮影)

海外バイヤーは商品の背景を深く知りたがっている

では、海外バイヤーはどのような商品情報を知りたいと考えているのでしょうか?
海外のお客さまが日本茶のことを知りたいと思っても、入手できる情報はまだまだ少ないです」と語るのは、日本茶の出展企業の取りまとめを担った「日本茶輸出促進協議会」の江下以知子さん。
似たような緑色の粉の見た目をした「粉末茶」と「抹茶」の違いを知らない海外バイヤーも多く、海外で抹茶を質に見合った高価格で売ることがまだ難しいのが現在の状況のようです。

日本茶を海外に広めていくには、輸出促進と同時に、日本茶の知識もきちんと広めていくことが必要なのです。ワインですでにそうなっているように、日本茶でも茶葉の種類や飲み方、産地の違い、栽培方法の違い、農家や茶師など作り手のストーリーなどをしっかり伝えることが、今後ハイクラスの日本茶の海外販路を拡大していく上で不可欠なようです。

茶室で本格的に茶を点てている写真

茶室を設えた、日本茶輸出促進協議会のブース。海外バイヤーが畳に座して実際に抹茶のお点前を体験することができる(ライター撮影)

日本人にとって日本茶はあまりに当たり前すぎて、安く売りすぎています。日本人の日本茶に対する評価が一番低いかもしれないです」(江下さん)
世界的な抹茶ブームに加え、海外の富裕層がコーヒーや紅茶と同じように日本茶を嗜好品として楽しむ動きが強まっていると言います。「“日本の食品”輸出EXPO」に参加した海外バイヤーの中には、お茶の産地を訪問するなど、日本人以上の積極性で学ぼうとしている方が増えてきているそうです

「日本国内で」海外向けに日本の食品をPRする展示会を開催するメリット

「“日本の食品”輸出EXPO」に出展するメリットを、出展側はどう考えているのでしょうか?
新規顧客を開拓するのではなく、既存顧客をもてなす場として捉えていると教えてくださったのが「金印物産株式会社」の岩崎俊さん。「“日本の食品”輸出EXPO」には前回と今回連続で出展しています。
日本食人気により、海外でも知る人が増えたわさびですが、取引があるお客さまでも、本わさびを見たのは初めてという方が多数います」。
海外に出向く場合の商談では、日本から持参する商品数も限られます。ですが、日本での開催であれば、商品ラインナップを全て紹介することができるため、顧客に商品知識を深めてもらうためのショールームとして機能するそうです。

パッケージされたワサビと生のワサビの写真

欧州の規制に合わせ多言語で表記されたわさびのパッケージ(ライター撮影)

出展企業の話を聞く中で、頻繁に登場したのが「富裕層」という言葉です。日本の食品の「高い品質」と「安全性」に対する海外富裕層の信頼と関心は高く、日本の高級食材が人気となっていることをうかがい知ることができました。

健康食品とさまざまなフルーツの写真

海外富裕層に人気の健康食品とフルーツ(ライター撮影)

次回開催は出展社数800社を目指す

日本とは地球の反対側に位置するブラジルから「“日本の食品”輸出EXPO」に来場していたバイヤーにお話しを伺いました。
ブラジルは親日家が多く、日本食レストランもありますが、ほとんどが寿司屋だとか。今回の展示会に合わせて来日し、東京以外にも日本各地を回っていろいろな食材や料理と出会い、日本の食のバラエティの豊富さに感動。日本の食をブラジルに持ち帰ってもっと紹介していきたいと嬉しそうに語ってくれました。

ブラジル人バイヤー(男女)

初来日のブラジル人バイヤー2名。15日間の日本滞在中は、しゃぶしゃぶや鶏唐揚げなどさまざまな種類の日本食を楽しんだ様子(ライター撮影)

情報が飛び交う現在にあっても、実際に輸出されている日本の食品はほんの一部。世界に誇れる食品が日本には数多く存在していますが、商品も魅力もまだまだ紹介しきれていないのが現状です。
国内市場が飽和・縮小傾向にある中、活路を海外に見出そうとする日本の食関連企業は今後ますます増えることが予想されます。

次回の出店申し込み

次回の出展申込をするボードが設置されていた(ライター撮影)

「“日本の食品”輸出EXPO」の会場入口では次回の出展申し込み受付を実施していました。巨大ボードが設置され、継続出展・新規出展の申込が続々と決定していました。日本文化や日本の食品の素晴らしさをアピールする場として、「“日本の食品”輸出EXPO」が担う役割は今後さらに大きくなりそうです。

■取材協力

展示会名 第2回“日本の食品”輸出EXPO
主催 リードエグジビション ジャパン株式会社
共催 独立行政法人 日本貿易振興機構(JETRO)
協力 農林水産省
会期 2018年10月10日(水)~12日(金)
会場 幕張メッセ