きれいにセッティングされたテーブルに光るグラス

クックビズが、飲食業界で働く方と定期的に開催しているオンライン座談会。今回は、新規感染者が増えつつある12月1日に開催しました。

テーマは「コロナ禍で迎える飲食店の年末年始」。

「Go To キャンペーン」事業の存続の可能性や、自治体によっては時短営業の要請など、目まぐるしく状況が変わる中、東京、京都の飲食店のシェフや本部スタッフ、ロックダウン中のイタリアからは若き日本人シェフも参加。海外のリアルな状況もお聞きしました。
クックビズ株式会社からは、座談会運営の世古、方城、杉谷が参加いたしました。

座談会全体の様子

川崎 大輔さん(下段左):「La Coccinella」料理人(イタリア)
酒井 研野さん(下段中央):中華料理「京、静華」料理人(京都)
高橋 夏穂さん(下段右):株式会社絶好調 人材育成統括(東京)

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京都は活況?!コロナ感染者が増える東京、ロックダウン中のイタリアは?

クックビズ世古:12月に入り、新型コロナの感染者数は増えています。イタリアではロックダウンしている地域もあります。まずは現況を教えてください。

画面をのぞき込む酒井さんの写真

酒井さん:京都は賑わっています。「Go To トラベル」が始まってから、名古屋・関東からのお客様が戻ってきました。地元のお客様も多いですね。今はありがたいことに売上も前年と変わらずです。
去年はインバウンドによる海外からのお客様が多かったのですが、さすがにそれはありませんね。

「京、 静華」の店内の写真

京都の平安神宮近く。知る人ぞ知る中華の名店「京、 静華」。
中国の文献をもとにレシピを再現。献立はコース1万5,000円のみ。ご贔屓の美食家も多いお店です。酒井さんはここで12月まで勤務しながら独立にむけ準備中。2021年3月、京都左京区岡崎にて日本料理店をオープン予定です。

クックビズ世古:ちょうど紅葉シーズンですしね。「Go To キャンペーン」が京都という土地柄にうまくマッチして効果を発揮しているんですね。
東京の高橋さんはいかがですか?

高橋さん:当社は居酒屋業態をメインに展開していますが、多くて8名様など団体様のご予約が減っていますね。ご予約いただくのは、若い方・2~3名が主流です。会社から「忘新年会は慎むように」「2~3人での開催に」など制約を受けている方も多いようです。

思い浮かべながら話をする高橋さんの写真

クックビズ世古:宴会の規模は縮小傾向にあるんですね。

高橋さん:そうですね。例年なら20~30名の団体様のご予約が入る時期ですが、大規模の宴会は全く入っていない状態です。

炉端焼き「燗アガリ」の店内の写真

高橋さんが勤務する株式会社絶好調が運営する炉端焼き「燗アガリ」。
高橋さんが店長として立上げに携わり旗艦ブランドへと導いた。ほかに居酒屋、ビストロ、など多彩なブランドを展開している。

クックビズ世古:お客様の方も、コロナ事情により行動が左右されますよね。
ではイタリアにいる川崎さんは、いかがでしょうか。今はロックダウンしている地域もあると聞いています。

川崎さん:北イタリアのピエモンテ州に住んでおり、ここは明後日の12月3日までロックダウン中です。しかしそれもどうなることか。前回のロックダウンの時も期間は1ヶ月とされながら、2ヶ月になり、さらに3ヶ月と延長になりました。

手振りをして説明する川崎さんの写真

例年なら白トリュフが旬を迎え、11月~12月は昼夜問わず満席の状態ですが、今年に関しては残念ながら予約はゼロですね。イタリアには、日本の「Go To キャンペーン」のような国の支援策はないんです。

クックビズ世古:国の支援策がないということですが、イタリアの自粛要請についてはどう感じていますか?

川崎さん:そうですね。日本よりイタリアのほうが厳しく規制されていると思います。ただ自粛期間を過ぎれば、日本よりゆるいのではないかと。営業時間の短縮や席数制限の要請などはありません。

トラットリア「La Coccinella(ラ・コッチネッラ)」の調理場で料理の盛付をしている写真

川崎さんが活躍する白トリュフで有名なイタリア・アルバ近郊の村セッラヴァッレ・ランゲにあるトラットリア「La Coccinella(ラ・コッチネッラ)」。
川崎さんはここで前菜とデザートを担当。

それに「Go To キャンペーン」のように、国が観光や外食を促進しなくても、イタリア人はお店に魅力があれば、遠くても食べに出かけます。ミシュラン星付きの店が、人の集まる都心でなく郊外に多いという理由もあるんですが。

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年末年始、売上対策の目玉は「おせち」か。でもイタリアで中食は根付かない

クックビズ世古:これから年末年始を迎えます。例年なら、一年で一番のかき入れ時。売上対策や新たな取り組みを教えてください。

酒井さん:営業時間は前倒しになっています。以前は最終入店20時まででしたが、今は19時半までの入店です。ゆっくりお食事を楽しんでいただく趣向のお店ですので、お客様のお帰りは22時頃となります。あとは席数を減らしましたね。
お正月に向けては、おせちの数を増やしました。

クックビズ世古:前回、外出自粛期間中に、テイクアウトを始めたとおっしゃっていましたが。

少し微笑みながら話す酒井さんの写真

酒井さん:ありがたいことに、今は通常のお客様で満席となっていて、そこまで手が回らずテイクアウトはしていないんです。
京都は固定ファンがついた個人のお店が多く、外出自粛要請がない今は、あまりコロナの影響を受けずにすんでいるのかな…と。ただ繁華街の大手資本のチェーン店は業態によって撤退しているところも見受けられますね。

高橋さん:当社は、時間外となる昼間に10名様以上で予約いただければ店を開けることにしました。
そのほか60分のショートコースも各店でスタート。PRを始めたばかりなので、これからの反響が楽しみですね。コロナの感染対策として、大皿ではなくお一人様1皿で盛りつけます。
あとはマスク入れをご用意しました。これが好評なんです。紙製ですが繰り返し使えるように作りました。お店からのメッセージや店舗情報がわかるQRコードも印刷しています。

微笑みながら話す高橋さんの写真

クックビズ世古:マスクって置き場所に困りますものね。

高橋さん:はい、それに今年はおせちにも初挑戦。早期予約の方は特典つきです。おせちの金額に応じて、日本酒やおちょこ、当店で使えるお食事券のほか、お店で提供している「金目鯛のしゃぶしゃぶ」や「アクアパッツア」など人気メニューもおつけします。もう予約が入りはじめているんですよ。

クックビズ世古:日本ではコロナを機に、家でもお店と同じように美味しいものを食べられるように中食のサービスが増えました。これがコロナ対策の主流になりつつありますね。
川崎さん、イタリアはいかがでしょうか。

川崎さん:イタリアでは、レストランでテイクアウトをしているのは2~3割ぐらいですね。それもロックダウン中だけ行っている感じ、軽いピッツアやパニーノ(サンドイッチ)が主体です。
お客様もレストランに行って“料理”をテイクアウトして食べたいとは思わないんじゃないかと。

クックビズ世古:「お店に行って食事を愉しむ」という想いが強いんでしょうか。

顎に手をあて考えながら話す川崎さんの写真

川崎さん:そうですね。

酒井さん:それを聞くとイタリアは、やっぱり“食”を楽しむ文化なんだなと感じます。テイクアウトが根付かないというのは、レストランが食事を愉しむとっておきの場所として捉えられているからで、それはとてもステキなことだと感じます。

高橋さん:そうですね、おなかを満たすためではなく、料理や演出、サービス、雰囲気、全てが食事を愉しむ要素なんでしょうね。

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2021年以降のウィズコロナ時代、飲食店はこう変わる!

クックビズ世古:ウィズコロナをふまえて、2021年以降、飲食業界はどう変わっていくんでしょうか。何か気づきはありますか?

酒井さん:それでいうと、京都にあるフレンチの名店が、テイクアウトで餃子を提供しはじめたらヒット。全国から注文が来て、オンライン販売だけでなく実店舗も出しました。
もともと流行しているお店がオンライン販売に参入したら、ヒットしたという話はほかでも聞きます。テイクアウトが新たなビジネスモデルを作っていますよね。

クックビズ世古:オンライン販売となるとWebを活用したビジネスの可能性は、さらに高まりそうですね。

酒井さん:そう。だから全国発送できるようなシステム構築のノウハウも求められています。

座談会途中の全体の様子

高橋さん:私は外食すること自体がより特別なものになりつつあるのを感じます。
空腹を満たす食事なら、ウーバーイーツなどを使って宅配でもいい。コロナ禍で外食の回数が減っているのは事実です。
それでも記念日だったり、大切な人と大切な時間を過ごす時には外食を楽しみたいと思うんですよね。
そんな時に私たちが、どんな体験を提供できるのかが大事。そうでないと「家呑みでいいじゃん」ってなっちゃうし。外食の魅力が伝わらないと思うんですよ。

クックビズ世古:そのために会社全体で新しく挑戦することなどはありますか。

高橋さん:新しいことというよりは、原点に立ち返り、当社の強みである「人」にさらに磨きをかけていこうとしています。
あと居酒屋だと夜の食事中心ですが、昼の需要を取り込むためにイタリアンバルでランチをスタート。今後、カフェ要素も取り入れ力をいれていきたいと考えています。

笑顔で話す高橋さんの写真

クックビズ世古:川崎さんはお二人の話を聞いていかがですか。

川崎さん:「食事をする幸せ」っていうのはどの時代にもあると思っていて、コロナがあったからこそ、それを強く感じるようになったと思います。
イタリアに関して言えば、ロックダウンがあったからこそ、自粛期間が明けたあとは、レストランでいつもよりいいワインを注文したり、地元のお店を大切にしようという雰囲気がありました。

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多様な働き方も進む。副業やフリーランスで働くということ

川崎さん:コロナ禍のロックダウン期間中は、日本に比べて規制も厳しく、店を一旦閉めて耐えるしかありませんでした。
イタリアでは、テイクアウトなどの新規ビジネスは「食」に対する文化の違いもあり定着しない。そういう意味ではイタリアは保守的です。それに人口も減少していて、今後、外食する人の数は減っていきます。
私はコロナを機に、他の業界の人ともっと交流し、自分でビジネスチャンスを探していくべきだと感じています。

一同:うんうん。

赤いTシャツに青のパーカーを着た川崎さんの写真

川崎さん:たとえば副業です。店で給料をもらう以外に収入を得ることが大事になってくるかなと。

クックビズ世古:イタリアでは副業する方は多いんですか。

川崎さん:そうですね。結婚式の出張シェフの仕事などはポピュラーな副業です。コロナの影響で、来年以降、さらに増えると感じます。

酒井さん:副業といえば、若手の料理人の中には、店舗を持つリスクを考える人も多いですね。料理人コンペティション「RED U-35」受賞など実力派の料理人の中には、フリーランスで活動している人も周囲にはけっこういますね。

クックビズ世古:フリーで活躍というとYouTubeでのレシピ動画などが思い浮かびます。

酒井さん:Instagramで料理を投稿して、それを見たオーナーがうちで料理しないかと誘いがきたり。個人で仕事をもらいやすい時代になったと思います。

左上を見ながら思い浮かべるように話す酒井さんの写真

クックビズ世古:スカウトですね。高橋さんは、会社に所属しながら副業することについてどう思われますか?

高橋さん:いずれにしても大事なことは、個の強みを磨いていくことかなと。
当社では、和食料理人が前職の経験を活かしておせちチームをリードしてくれたり、パティシエがクリスマスケーキのオンライン販売の企画に携わるなど、個の強みが新たなビジネスの形になりました。そこには入社歴や年齢は関係なしです。

ウィズコロナ時代を迎えようとする今、新しいことを生みだす力が特に求められていると思います。

一同:(うなづく)

クックビズ世古:コロナがなければ、考えもしなかったことを考えるきっかけになっているという声も聞きます。飲食業界にとっても新しい何かが生まれる時かもしれませんね。今日はありがとうございました。

<座談会参加者紹介>

■酒井 研野さん
中華料理「京、静華」(京都)料理人
2009年に京都の老舗料亭「菊乃井 本店」で勤務。2017年には「菊乃井 無碍山房」の立ち上げに伴い、料理長に就任。その後、ニューヨークの「Shoji at 69 Leonard Street」、京都の「LURRA°」を経て現職。2021年3月、京都岡崎にて日本料理店を独立開業予定。「RED U-35」2019のBRONZE EGG受賞者。

■川崎 大輔さん
トラットリア「La Coccinella(ラ・コッチネッラ)」(イタリア)料理人
京都のイタリアンで修業を積んだ後、2019年イタリアへ。現在、北イタリアのピエモンテ州在住。店舗では前菜とデザートを担当。2018年「ワールド・パスタ・マスターズ」ファイナリスト。

■高橋 夏穂さん
株式会社絶好調(東京)、人財育成統括、および新卒採用担当
2011年入社後、2年目で立候補により店長に就任。新店「燗アガリ」の立ち上げに携わり繁盛店へと導いた後、現職。第14回「S-1サーバーグランプリ」関東代表・最優秀賞受賞。

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まとめ

今回の座談会は、長引くコロナの影響と、2021年という新しい年を目の前にして、これまで以上に深い座談会になりました。ロックダウン中のイタリアからは、「食」に対する文化の違いや「食がもたらす幸せ」について考える場面もありました。
飲食人によるオンライン座談会では、今後も国や地域、職種を超えて、飲食業界の「今」を共有し合い、より良い業界づくりを共に考えていきたいと思います。

<協力>

店名 中国料理 京、静華
店名 La Coccinella
店名 株式会社絶好調
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