座談会の参加者全員の写真


荒川 その美さん(下段左):和食居酒屋「空」ほかでサービスリーダー、第13回「S-1サーバーグランプリ」準優勝
加藤 由希奈さん(中段中央):ECサイト「coffee and spice.」運営。「キンボバリスタ競技会2016」「バリスタグランプリ2017」優勝
坂井 香織さん(中段右):「株式会社OBU Company」人事・広報、サービスマネージャーなど兼任
鈴木 志麻さん(下段右):「東京レストランツファクトリー株式会社」チーフホスピタリティートレーナー、第14回「S-1サーバーグランプリ」審査員特別賞

「コロナ後、飲食業界はどう変わるのか?」

「S-1サーバーグランプリ」受賞者はじめ、飲食業界のサービス、マネジメントの最前線で活躍する方が集結!
今回のクックビズオンライン座談会のテーマは、『これからのお店やお客様は、どう変わっていく?』。コロナの影響がまだまだ続くいま、それぞれの仕事場で今、どういう状況?これからどうする?どう変わっていくのか?
そんなリアルな問題を、第一線で活躍する方々はどう感じているのか?!ディスカッションしてもらいました。

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居酒屋・コーヒー専門店・焼肉・焼鳥…それぞれの年末年始

クックビズ世古:今年はコロナの影響で、例年にない特殊な1年だったと思います。繁忙期の年末年始を迎えますが、お客様の来店や予約状況はいかがでしょうか。

荒川さん:私が働いている4店舗の居酒屋では、例年では、10月の段階で予約が始まり、12月はすでに予約が取れない状況だったのですが、今年はまだ空いている状態です。カフェは好調で、前年に比べてもそこまで変化はないです。

笑顔で語る荒川さんの写真

ここ数日だけでも、状況が刻一刻と変わっているので、今は、お客様も、週末の予約をどうするかと様子をみてらっしゃるなというのを感じます。

数週間前に思っていたのとまた今の状況が変わっていて、本当に読めないですね。

今は何があっても動揺しないように、その状況に合わせて臨機応変に心構えをしておくっていうくらいです。あとは本当に状況がどんどん変わっていくので、具体的な準備ができない状況ですね。正直なところ。

加藤さん:私が働いているコーヒー専門店は千代田区にあるんですが、従来も持ち帰りの方が多いので、あまり影響がない気がします。ただテレワークされる方が増えて、「おうち時間」を楽しむために、コーヒーを飲む方が増えたようには思います。

思い浮かべる様子の加藤さんの写真

「この際、はじめちゃおうかな」という感じで自分で淹れたいという方が増えたのか、コーヒーを淹れるための器具だとか、自分で淹れられるドリップバッグの需要は、すごく多くなっていますね。カンタンな器具だと1,000円以内で揃えられるので、買っていかれる方は増えましたね。

クリスマスと年始はもともとギフト需要があって、毎年コーヒー豆はよく売れるんですが、今年も例年と変わらずの状況です。

坂井さん:私は焼肉業態なんですが、グループのなかでも私の在籍する郊外の店舗の場合、お客様層はファミリーが9割を超えます。なので、忘年会に関しては、そもそも需要がなく例年通りといったところです。

少し微笑んでいる坂井さんの写真

駅近の都心の店舗は、軒並み予約が例年に比べ落ちていますね。お客様も、状況をみていらっしゃるな、控えていらっしゃるなという印象が強いです。ビジネス街だとその傾向が顕著に現れています。

鈴木さん:「五反田鳥心」では週明けくらいに感染者が増えた時点から、キャンセルも発生しています。毎年ご利用いただいている常連様、団体様からのキャンセルもあって、みなさん「申し訳ない」と心苦しく思っていただいているようで、こちらも申し訳ないです。

気持ちをぐっと引き締めている様子の鈴木さんの写真

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Go To Eat・新商品・ネット通販…それぞれの新しい試み

クックビズ世古:Go To Eatキャンペーンの利用状況って、皆さんいかがでしょうか?何か新しい試みもされていますか?

荒川さん:うちは、Go To Eatはやっていないんです。特別そのことで、新しく何か初めて、とかお金をかけて、という取り組みはないですね。4月の休業要請が出た時にテイクアウトをはじめたんですが、常連様が定期的に使ってくださっています。

加藤さん:お客様や知り合いから多かったお問い合わせをきっかけに、コーヒーを淹れる器具をセットにした「初心者向けセット」「上級者向けセット」を考えています。

にっこりとした表情の加藤さんの写真

コーヒーを自分で淹れたいと始められた方は、「何から揃えたらいいのか分からない」という方が多いので、「これさえあれば家でできる!」というのを提供したいなと。ただ忙しいので、ちょっと遅れ気味で…。ライバルが多い業態なので、早くしたいなとは思っているんですが(苦笑)。

坂井さん:Go To Eatのネット予約と食事券の両方やっていますが、ありがたいことに、かなりの効果がありまして、昨年を大きく上回って、過去最高の売り上げを出しました。店舗によりますが、私が所属する店舗ではネット予約の件数が多い時で昨年の10倍以上になりました。なので、逆に嬉しい悲鳴をたくさん上げていました。

お店の状況を語る鈴木さんの写真

現在、Go To Eatのポイント付与がひと段落して、目に見えてそこからは落ち着いたんですが、次は付与したポイントの利用のお客様の予約が増えていまして、まだGo To Eatの影響は続くかなと感じています。

また、焼肉以外の業態もたくさんやっているんですが、各業態の商品の通販サイト「モグモグフクオカ│福岡の美味しいお店が大集合!」を立ち上げたばかりです。おせちの販売も始めました。「おうちで楽しんでいただけるようなものも」と、いろいろ広げていっているところです。

鈴木さん:Go To Eatは、うちの店舗でも導入しています。先週(11月第三週)あたりは予約で満席でした。先ほど坂井さんがお話されたような、ポイント付与が終わったポイント利用のお客様が増えていて、1万5,000円くらいの高額のポイントを使ってくださるお客様が、ものすごく増えています。

当初は、8名様くらいの団体様にご利用いただいていたのですが、最近は2~4名様が増えていますね。電話で空席状況を問い合わせされてからネットで予約する方も多かったように思います。

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二極化するなか、飲食業界ができることは増えていく

クックビズ世古:最後の質問ですが、来年以降、飲食業界やお客様が、どのように変わっていくと思われますか?

荒川さん:コロナの前の去年の10月の増税の時点から、お客様の動向は変わってきたなと感じていました。

うちのお店はファミリー層が少なくて、仕事帰りのビジネスマンやOLさんだったり、接待で使ってくださったりという30~60代が中心です。コロナでは影響を受けている方だと思いますが、もう去年の年末の時点から「来年は厳しいよね」という話はしていたんですね。

うちは開業から20年が経っているんですが、これまでもさまざまな景気の影響を受けてきています。そのなかで、これからの外食は二極化するんじゃないか、というのは感じてきました。

どう二極化するかというと、ひとつは「気軽に行ける普段使いのお店」。もうひとつは「非日常を味わう特別な時間を過ごすお店」。この二極に分かれていくのではないかと。

笑顔で語る荒川さんの写真

私たちの店は、ちゃんと予約をして「その日のための時間を提供する」というコンセプトのお店ではあるので、質を落とさずにいいものを作り続けて、それを本当に必要としている人のところに届けることを続けていくつもりです。当たり前のことなんですが、ぶれることなく続けていけば、店がなくなることはないと。

年が明けて、ワクチンができて、オリンピックも行なわれて、となっていくとは思うのですが、そんなにパッとは良くはならないでしょうから、「徐々に徐々に」ですね。私は長い目で見ています。

加藤さん:まさに荒川さんのおっしゃる二極化なんですが、私が勤務しているお店が、来年1月末に新店を出すんです。完全予約制のコーヒー専門店で、通りすがりにふらっとよるカフェではなく、店の商品を目的に予約してきてくださるというのがコンセプト。レストランのような、1時間半ほどの交替制で考えています。

予約制のコーヒー専門店って珍しいし、ハードルが高そうにも思うのですが、いま質が高いコーヒーがどんどん出てきていて、「コーヒーにも(ミシュランのような)星があっていいはず」というオーナーの考えがあるんですね。時代のニーズに合っていると思いますし、私自身もすごく楽しみです。

坂井さん:私も二極化の傾向は、コロナの影響が出る前から高まっているとは思っていました。私が自粛期間を経て思ったのは、お客様がわざわざ予約をされてお越しになるお店って、「何をやっても強い」ということです。デリバリーだろうと、テイクアウトだろうと、お客様は買うんですよ。二極化しながら、提供スタイルもさまざまに分かれていくと思いますね。

鈴木さん:最近すごく思うのが、アンテナを張れば飲食業界ができることって増えていくんじゃないかということです。

片手を少し上げ説明している鈴木さんの写真

もともと当店の予約は、会食やビジネス使いが多かったんです。それが最近、ご夫婦や親子が増えている実感があります。それに比例して、お酒を楽しむ方よりも、お食事を楽しみに来られる方が多くなってきました。

そんななか嬉しかったのが、通販を通してお店を知っていただいて、親子でご来店いただいたことです。当社ではコロナ後にVERANDING TORIKOという通販ブランドを立ち上げて、ご家庭で焼き鳥を焼いて楽しめる「焼鳥ミールキット」の販売を始めたのですが、販売開始から大変好評をいただいています。その「焼鳥ミールキット」を知った方が、インターネットで調べて、わざわざお店にいらっしゃったんですね。ほかにも「お店で焼鳥ミールキット、買えませんか」というご要望をいただいたこともありました。通販と実店舗が「win-win」でつながっていくんだなと実感しました。

これからは食事の楽しみ方が多岐にわたってくると思います。それはつまり、お客様といろいろな接点を持ってアンテナさえ張っていれば、飲食業界でさまざまなことができる、ということじゃないかと。「こうすれば、売上がすぐに上がる」ということではないですが、アンテナを広げることで明るいきざしは感じられますし、前向きにはなれるのでは、と思っています。

<参加者プロフィール>

■荒川 その美さん
和食居酒屋「空」およびカフェなど 統括サービスリーダー。
第13回「S-1サーバーグランプリ」東海地区代表。全国大会準優勝。
株式会社満月所属

■加藤 由希奈さん
ECサイト「coffee and spice.」運営。および東京・表参道にあるコーヒー豆店にてバリスタとして活躍。
「KIMBO バリスタ競技会2016」「バリスタグランプリ2017」で優勝。

■坂井 香織さん
焼肉事業部「焼肉 龍王館」店舗責任者兼サービスマネージャー。人事、広報も兼務するなどマルチに活躍中。第15回「S-1サーバーグランプリ」九州地区代表。
株式会社OBU Company所属

■鈴木 志麻さん
店舗業務をしながら、チーフホスピタリティートレーナーとして新卒社員の教育を担当。
第14回「S-1サーバーグランプリ」審査員特別賞を受賞。
東京レストランツファクトリー株式会社所属

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まとめ

11月からのコロナ第三波の到来で、飲食業界は厳しい状況が続いています。クックビズでもその深刻さを痛感しているのですが、第一線で活躍する方たちのダイレクトな言葉に、励まされる思いがしました。柔軟に状況を見つめるまなざしと、信念や実体験に基づく実行力こそ、新しい時代のあり方そのものなのかもしれません。

協力

店名 株式会社満月
店名 coffee and spice.
店名 株式会社OBU Company
店名 東京レストランツファクトリー株式会社
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