
今回、お招きしたのは、東京・西麻布で前衛的なフュージョン料理を提供する「81(エイティーワン)」の料理長・松島 佑季さん。
店内は12席限定で2交代制。料理を創るところから食べ終わるまで楽しんでほしいとシェフズテーブルのスタイルでおもてなし。料理人たちが目の前で繰り広げる料理の技を眺めながら、シェフのおしゃべりを聞き、料理を味わうという贅沢な趣向の店で、食通のファンも多いお店です。
クックビズ株式会社からは、座談会運営の世古、川田、中西、方城が参加いたしました。
目次
少人数化・お子様連れ減…飲食店の年末年始の予約状況に変化
クックビズ世古:今年は世界的なコロナ感染拡大の影響で、大変な年になりました。これから年末にむかって、本来なら一年中で一番忙しい時期ですが、予約状況などはいかがでしょうか。
松島さん:例年なら予約がどんどん入り、お断りする日も多々あるはずなんですが、今はまだそこまでいっていないですね。(2020年11月17日時点)
クックビズ世古:お客様がコロナ感染予防として外食を控えているんでしょうか。
松島さん:そうですね。 例えばある常連のお客様は「コロナ禍で外食を月に1回に決めている」と言っていました。

■松島 佑季さん
フュージョン料理「81(エイティーワン)」シェフ(32歳・東京)
武蔵野調理師専門学校卒業。都内レストラン勤務を経て、フランスで修業を積んだ後、現職。「RED U-35」2019年 bronze egg受賞。
数ある飲食店の中から月に1度だけ…となると、当店を選んでいただくにはどうしたらいいのか。対策を考え、しっかりアプローチしていくべきだなと考えています。
それとご家族でご来店くださっていた常連の方…特に小さなお子様がいらっしゃる方は外食を控えているようですね。
クックビズ世古:家族構成でも影響を受けそうですね。1組あたりの予約人数に変化はありますか?
松島さん:当店は全てカウンターで全12席です。去年までこの時期は忘年会・パーティーのご予約で貸し切りが多かったのですが、今は2名様など少人数のご予約が多いですね。
しかしありがたいことに初来店のお客様もいらっしゃいます。メディアなどで紹介された記事を見てくださっているのかと。こんな時だからこそ、ご縁を大切にしていきたいですね。
2021年春には終電繰り上げ。コロナ禍ではお開きも早くなる!?
クックビズ世古:衛生面はどうでですか?
松島さん:換気や消毒を徹底し、衛生面に関するスタッフの教育にも力をいれています。当店はカウンターのみで、対面で食事をすることはありませんが、席は1席ごとに空席にしています。
クックビズ世古:なるほど。そういえば来年春から、東京では終電が早まるようですね。影響はあるでしょうか?
松島さん:当店は、近隣にお住まいの方がメインターゲットなので、タクシーで帰宅される方も多く、終電の時刻による心配はさほどしていませんが、コロナ禍で、全体的に早めの帰宅を心がける方が増えたと感じています。
というのも、今は営業は2交代制で、1部:18時~20時、2部:21時~23時ですが、18時~の時間帯の方からお席がなくなります。以前はそんなに歴然とした差がなかったかと。
クックビズ世古:生活時間が全体的に前倒しの傾向なんですね。
松島さん:そうですね。営業時間を17時~19時、20時~22時にしようかとの話も出たり、どれが正解なのか…時間帯は試してるところ。悩みます。
新しい試みをやる?やらない?飲食店のおせちのテイクアウト
クックビズ世古:クリスマスや年末年始は、メニューを変えるんでしょうか。
松島さん:20日~26日の週は、クリスマスらしいメニューにします。価格も少しアップしますね。あとはおせちのテイクアウトにトライしてみようかと。
クックビズ世古:おせちですか?前衛的な料理を提供する「81(エイティーワン)」だからこそ、とっても興味があります。
松島さん:けっこういろんなお店がおせちを出しているので、そこに割り込んでいけるかな。スタッフに話すとイマイチ乗り気でないような…(笑)。
クックビズ世古:すごいおせち料理ができそうですけど。
松島さん:異色の食材を組み合わせたおせちは、サプライズ感があってやってみる価値があるかなと。オードブルのテイクアウトも需要があるかもしれません。しかし今年は例年以上に、衛生面の工夫も必要になってくるでしょう。
ウィズコロナ時代の打開策はあえてライブ感!強みで勝負したい
クックビズ世古:コロナの影響も長期戦となり、新しい生活スタイルが定着しつつある今、他の店のシェフと対策や今後の取り組みについて話をしますか?
松島さん:直接、話す機会はないのですが、「おせちをはじめた」「クリスマスメニューが決まった」などFacebookの情報はチェックしますね。
当店は、ガストロノミーの視点も大事にしているので、やはり食を通した新しい発見や学びがあるといいなと思います。だからデリバリーよりも、やっぱり料理ライブなど、店の強みを活かした「体験型」で何かにトライしたいですね。
クックビズ世古:松島さんがお勤めの「81(エイティーワン)」は、シェフのライブを楽しむ体験が魅力のお店ですよね。フュージョン料理を提供していらっしゃいますし、“料理の科学”が楽しめるような魅力…となると、YouTubeでのライブ配信などはいかがですか。
松島さん:いいですよね。スタッフからも「厨房での料理ライブを動画配信しては」という案が出ています。画面を通して対面で話せますしね。
クックビズ世古:そういえばコロナ後、シェフが調味料・食材をセットで販売し、消費者は家で動画を見ながら、調理して再現するというサービスが登場していました。
松島さん:なるほどね。料理の説明も、紙の説明書より動画なら店でのライブと変わらず、わかりやすく楽しく伝えていけそうですね。
実は当店のソムリエがYouTuberで、友人と2人でおすすめのワインなどを紹介しているんです。「ソムリンTV」といいまして、お客様からも「見てるよ」と声をかけられていますね(笑)。
クックビズ世古:これですね。チャンネル登録させてもらいます!動画作成に強い人がいらっしゃるなら心強いですね。
松島さん:「ソムリンTV」なら、私もすぐにでも出演させてもらえるはず(笑)。
クックビズ世古:準レギュラー確定ですね(笑)。
松島さん:一人でも多くの人に店を知ってもらうには動画コンテンツっていいですね。試行錯誤しつつ店の強みを活かした打開策を考えてみたいと思います。
まとめ
コロナの感染拡大が再燃しつつある11月半ばのインタビュー。いまだ先行きの見えない中、人の変化に合わせて、飲食店もどんどん変化しているようです。
今回、インタビューさせていただいた「81(エイティーワン)」でも、人出に合わせて営業時間の変更を検討してみたり、お客様へのこまめなアプローチを行うなど、工夫をされている様子が伝わってきました。
「デリバリーも1つの手段だけれど、自分のお店の強みを活かした打開策を打ち出したい」と意欲をみせる松島シェフ。ウィズコロナ期に向けての新たな取り組みに期待大です。
<協力>
店名 | 81(エイティーワン) |