調理場の写真

クックビズでは、「飲食業界が好き!」「この業界を盛り上げていきたい!」という想いを持った人といっしょに「食」の情報を発信しています。
今回、新時代をリードする日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」2019年で、bronze egg賞に輝いた2名のシェフをお招きし、第2回目となる定期座談会を開きました。
テーマは「料理人が愛用する道具」について。1つの道具でもいろんな使い方があり、学びの多い座談会になりました。

クックビズからは、座談会運営の世古、川田、中西、方城が参加しました。

座談会の参加の様子

松島 佑季さん(下段中央):「81(エイティーワン)」シェフ(東京)
白竹 俊貴さん(下段右):「フランス料理 PERTICA(ペルティカ)」シェフ(大阪)

■料理人が愛用する道具たち~全3選

  • ピンセット
  • パコジェット
  • Vitamix(バイタミックス)

シェフが使う画材用、医療用、プラモデル用のツールって?

クックビズ世古:第2回目の座談会よろしくお願いします。今回のテーマは「料理人が愛用する道具」について。まずは松島さん、いかがでしょうか。

松島さん:そこまで道具にこだわりはない方なんですが、一番、愛用しているといえるのは、ピンセットですね。フランスにいた頃から、ずっと同じものを使っています。細かい作業や盛り付けの時などに用います。

話し始めた松島さんの写真

クックビズ世古:ピンセットですか。調理用のもの?

松島さん:いえ、私は画材屋さんや歯医者さんが使う医療用を利用しています。

白竹さん:私もピンセットを使いますね。使うのはプラモデル用のピンセットです。「タミヤ」のピンセット(笑)。

クックビズ世古:そうなんですね。「タミヤ」のピンセットなら、わかります(笑)。ピンセットって海外でも、調理でよく使われているものなんですか?

松島さん:そうですね、みんな持っていますね。イノベーティブ系の料理人だと細かい作業も多くなったりするので、日常的に使いますよ。

白竹さん:繊細な作業にいいんですよ。私もハーブの仕分けなどに使います。細かい葉も多いので、手で作業すると思ったより取れちゃったりするんですよ。ピンセットは重宝しますよ。

松島さんの4種のピンセットの写真

クックビズ世古:先日、イタリア在住の料理人の方と話しましたが、パスタの盛り付けも、基本的にトングではなく、ピンセットだとおっしゃっていました。

松島さん・白竹さん:なるほど。

クックビズ世古:お二人は、サイズ感やこだわりはありますか?

松島さん:持って手になじむ感じでしょうか。サイズ的には、細かい作業で使うことが多いので、大きいサイズは料理まで距離ができるのであまり使わないですね。

形も、先が曲がっていたり、針のようになっているものなどがあり、用途によって3~4種類を使い分けています。

白竹さん:私は、先が丸いもの、尖ったものの2種類を使っています。あとは、つまむと開き、放すと閉じる逆作動のピンセットも重宝していますね。

はにかんだ白竹さんの写真

クックビズ世古:そういうピンセットありますね。でもどういう時に便利なんですか?

白竹さん:極小サイズのハーブなどを扱う時に、固定されて便利なんですよ。

クックビズ世古:そうなんですね。ありがとうございます。

TAMITA製のピンセットの写真

TAMIYA製 プラモデル用 ピンセット

白竹さんの逆作動するピンセットの写真

逆作動ピンセット:放すと閉じ、つまむと開く。一時的に固定しておけるので細かい作業の際に便利。

調理マシーン「パコジェット」はこう使いまわす!

クックビズ世古:ほかに愛用の調理道具はありますか?

松島さん:大きな機材になりますが、凍結粉砕調理器「パコジェット」は頻繁に活用していますね。冷凍したまま細かく粉砕・攪拌(かくはん)するマシーンです。

白竹さん:私も使っていますね。マシーンなら、あとはハイパワーのブレンダー「Vitamix(バイタミックス) 」。機械系はそれぐらいでしょうか。

松嶋さんのパコジェットの写真

スイスで開発された冷凍粉砕調理機「パコジェット」。食材の色・味だけでなく、香りや栄養価までそのままに調理できる優れもの。

白竹さんのバイタミックスの写真

「Vitamix(バイタミックス)」は、米国のブレンダー(ミキサー)専門の老舗メーカーが開発。皮や芯など捨てられる部分まで粉砕し、食材をなめらかにブレンド。

松島さん:「パコジェット」は、ほんとに最近、使い始めたんですが、つくづく便利だなと感じています。アイスクリームやソルベの製造によく使うマシーンです。

クックビズ世古:そうなんですね。

松島さん:具体的な話になりますが、今、「魚素麺(うおそうめん)」というメニューをご提供していています。その際、魚やほたてのすり身を、モンブランの口金のようなものを使って絞り出し、少し煮立ったお湯に落として麺を作るんですね。

なめらかなすり身を作るのに、通常はブレンダーですりつぶして、網で濾(こ)して…と何工程か作業をして作ります。

思い受けバル様子の松島さんの写真

しかしパコジェットですり身を作ると、網で濾さなくていいんですよ。スジもすべて乳化されるというか、なめらかになるんです。

一同:ふむふむ…。

松島さん:パコジェットは、その点、便利なんですよ。
それにアイスクリームだけじゃなくて、自分のアイデア次第で料理の幅が広がるマシーンです。

クックビズ世古:食感も良くなるというか…?

松島さん:そう、ほんとそうなんですよね。マシーンで一度凍らせてから、粉砕・攪拌していくので、口当たりもなめらかになるんですね。

クックビズ世古:白竹さんは、いかがですか?

白竹さん:いや~、なんか機材を使いこなしていてカッコイイですね~。当店では主にアイスクリーム専用マシーンになっているんで~(笑)。

はにかんだ白竹さんの写真

でもパコジェットを使うと、固くなりすぎないのがいいですね。空気を含ませてくれるんでフワッと仕上がるんです。デザート以外に使うこともありますが、松島さんのそういう料理の作り方、本当にいいなぁと感じました(笑)。

クックビズ世古:松島さんは、前衛的なフュージョン料理を提供していますよね。科学的な根拠に基づいた調理法ってあると思うのですが、ほかに試してみたい道具はありますか?

松島さん:どうでしょうか。かえってプリミティブなものに惹かれることもあります。それこそ、炭や薪などを使って調理すれば、香りをつけることもできます。

火入れがむずかしいとは思うんですけれど、そういう原始的な素材と前衛的なもののミックスができれば、新たな料理にもつながりそうで…。
ぜひトライしてみたいと思っています。

笑顔の松島さんの写真

他店のコレが気になる!取り入れてみたいNEWアイテムは?

クックビズ世古:今まで、いろんな厨房機器の話などをお聞きしましたが、導入する動機はなんでしょうか。雑誌を見て…とか、自分の創りたい料理をイメージして…でしょうか。

白竹さん:いや~、私はやりたい料理が出てきて…ですね。
で、我慢できなくてすぐに買いに行っちゃう感じです。かなり勢いで導入してしまうタイプですね(苦笑)。

思い浮かべながら話している白竹さんの写真

一同:(笑)。

松島さん:私も同じですね。それこそ、今後、独立するなんてことになったら、費用面も考えて「買う」VS「買わない」で迷うと思うのですが、これまで使ってきた良さや料理の可能性を考えると…私も「即、購入」ですね(苦笑)。

なるべく、高性能マシーンを使わない方法も模索したいとは思いますが、そういう厨房機器は、使い方次第で料理の可能性がかなり広がるんです。

新製品が出ると、数年もしないうちに斬新な使い方をする人が現れ、ユニークな料理が生まれて、また進化していくと思うんです。

クックビズ世古:なるほど~。そうなんですね。

では話題を変えて、他店に行くとココが気になるということやアイテムはありますか?

松島さん:そうですね。調理道具ではありませんが、ユニフォームが気になりますね。エプロンとかパンツとか、シューズはどんなものを履いているのかなど。

飲食店の制服を着た男女のイメージ写真

クックビズ世古:前回もそんな話をしてらっしゃいましたね。

松島さん:他店に行くと、このエプロン、カッコイイなとか目がいきますね。

白竹さん:私はお皿でしょうか。最近、作家さんのものを使っている方が多く、他店に行くと、料理よりそちらに目がいくこともありますね。

クックビズ世古:こだわりの器ですね。

白竹さん:器って、店のカラーが出るんじゃないでしょうか。真っ白の大きなお皿を使う店もあれば、昔のハイブランドのお皿を使う店もあります。

オーダーされたものが出された時に、一目見ただけなら、料理そのものより、器のほうが店のセンスがにじみ出るような気がします。

松島さん:確かにそうですね。器の世界も興味深いです。

クックビズ世古:飲食店における器の世界も、奥が深くておもしろそうですね。
今日はお忙しい中、ありがとうございました。
厨房機器の話など、プロならではのマニアックな話が聞けて、とても楽しかったです。今後とも引き続きよろしくお願いいたします。

<プロフィール>

■松島 佑季さん
フュージョン料理「81(エイティーワン)」シェフ(32歳・東京)
「RED U-35」2019年 bronze egg受賞。
武蔵野調理師専門学校卒業。都内レストラン勤務を経て、フランスで修業を積んだ後、現職。

■白竹 俊貴さん
フランス料理「PERTICA(ペルティカ)」シェフ兼ソムリエ(28歳・大阪)
「RED U-35」2019年 bronze egg受賞。
辻調理師専門学校卒業後。大阪市内のフランス料理店や北新地の人気フレンチ「弘屋」を経て、現職。

まとめ

今回、「料理人が愛用する道具」ということでお話を伺いました。調理用ではない意外なツールを用いたり、新しい機器によって料理の可能性が広がり、さらにそのツールを斬新な方法で活用して、また新たな料理を生みだすなど、料理人の心意気を感じる会になりました。

クックビズでは、これからも「食」「料理」「飲食業界」を応援するコンテンツを配信していく予定です。次回をお楽しみに。

<協力>

店名 フランス料理 PERTICA(ペルティカ)
店名 81(エイティーワン)