外食で飲酒する機会といえば、昔は「会社帰りにちょっと一杯」や、接待、歓送迎会など、会社関連の飲み会というイメージが大きかったのではないでしょうか。

近年では、家飲みや女子会などお酒を飲むシーンが多様化。
また、会社優先ではなくプライベートを大事にする若者が増え、飲み方も様変わりしてきています。

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そんな中、注目されているのが「ちょい飲み」「サク飲み」「ファミレス飲み」。居酒屋などのいわゆる「飲み屋」ではなく、ファミリーレストランやファストフード店などで、食事をしながら軽く飲むのが流行しています。

外食時の飲み代は減少し、家飲みが増加する傾向

新生銀行による2014年の調査によると、男性会社員の1 回の飲み代は3,483 円。5年前と比べて約1,600円ダウンしています。また、ここ1年間で家飲みが増えた人は男性会社員が25.0%、女性会社員が31.3%となっています。

一回の飲み代の推移

ここ一年の自宅飲酒の変化
※出典:新生銀行「2014年 サラリーマンのお小遣い調査結果」

外食時にお酒を飲む場は、居酒屋からファミレスへ

消費者の飲み代の減少や、家飲みの増加を反映して、外食市場でのアルコールメニューの伸び率は4年前に比べてマイナス10.1%となっています。特に居酒屋ではマイナス13.3%と大きく減少。そんな中で、ファミリーレストランでは、アルコールメニューの伸び率が1.5%増加しています。

2013年外食市場 業態別食機会数の伸び率(2009年比、食機会ベース、%)prl1408011210045-p1-3

※出典:エヌピーディー・ジャパン株式会社「外食・アルコール市場 ~伸びる“ちょい飲み”需要のドライバーは?~」

唯一伸びている時間帯は14~17時台。「ガッツリ飲み」から「ちょい飲み」へ

外食全体でアルコールが飲まれる機会が減少する中、唯一伸びている時間帯があります。1.1%増加しているのが、14~17時台。さらに滞在時間60分以下に絞って見ると、1.4%プラス。短時間で軽く飲む機会が増えていることを示しています。このような「ちょい飲み」の機会は、「友人」や「同僚」とよりも、「1人で」や「配偶者・恋人と」の割合が高いことも分かっています。

2013年外食・アルコールが飲まれる機会の滞在時間・時間帯別
食機会数の伸び率 (2009年比、食機会ベース、%)

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※出典:同上

牛丼店、ファミレスなど、サク飲み市場を狙う企業が増加中

「食事をしながら軽く飲む」という、消費者の需要の変化をとらえ、牛丼チェーンやファストフード、「ファミレス飲み」なる言葉を生んだファミリーレストランなどで、新たな動きが出てきています。 吉野家では、2階客席のある店舗を中心に、お酒とおつまみを揃えた居酒屋「吉呑み」を順次拡大中。

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※引用:吉野家HP

ケンタッキーフライドチキンでは、2012年に下北沢にて、アルコールの飲める新業態「ROUTE25」をオープン。さらに2014年3月には、“大人ケンタッキー”をテーマにした新形態の店舗を、読売新聞東京本社ビルにオープンしました。

サイゼリヤでは、イタリアから直輸入のワインを、1999年よりグラス100円台で提供。「ファミレス飲み」ブームの立役者といえるかもしれません。

またガストでは、この夏より全店舗でビール2杯目以降の割引サービスを開始しています。

消費者の飲酒動向に着目し、新たな需要開拓を

会社がらみの「飲み会」よりも、プライベートな場面で軽く飲みたい、という消費者の変化。新しいメニューやサービスの考案時には、そんなところに着目して発想してみるのもよいかもしれません。(記事作成:大住)