ピンクの部屋にアイスクリームのオブジェが置かれており、そこに女の子2人が座っている写真

「東京アイスクリームランド」とは?

2017年12月15日〜12月17日の3日間限定でオープンしていた「東京アイスクリームランド」は、アイスクリームを食べるわけではなく、アイスクリームをテーマにしたフォトジェニックアートを楽しむ、今どきインスタ女子のためのイベントです。
来場者がアイスクリームをモチーフとした空間で「可愛い写真を撮影し、加工し、シェアすること」がイベントの目的なのです。

ピンクの背景にカラフルなアイスクリームが写された写真

オトナは分かってる!?若い女子の「インスタ映え」感覚

2017年ユーキャン新語・流行語大賞を受賞した「インスタ映え」は、飲食業界だけではなく様々な業界に大きな影響をもたらしました。
「インスタ映え」とは写真に特化したSNSアプリ「Instagram(インスタグラム)」、通称「インスタ」に写真を投稿したときに見栄えが良く、ひときわ映えることを指します。

「Instagram(インスタグラム)」は特に10代〜20代の若い女子を中心に大人気のSNSアプリですが、オシャレなカフェやランチスポット、お出かけ先で撮影した写真を投稿する際には、見栄えが良くなるように画像加工することも当たり前。「いいね」がたくさんもらえる「インスタ映え」投稿をすることを動機に行動する女子が増えたことからも、「インスタ映え」は社会現象となりました。

ピンクのショッピングカートとカラフルなアイスクリームの絵が描かれているピンクのロッカーにが置かれ、黒いハンチング帽をかぶった女の子がそのロッカーを開けておる写真

「インスタ映え」写真を多く載せて「いいね」をたくさん集めることができるフォロワー数が多いインスタグラマーの中には、拡散力・影響力が強い「インフルエンサー」として、企業のプロモーションを請け負う人もいます。

つまり、「インスタ映え」するかどうかが若い女子の間では重要視される傾向が強まっているため、現在は「インスタ映え」が購買意欲・購買行動に直結しているといっても過言ではなさそうです。

「インスタ映え」に特化した「東京アイスクリームランド」

今回レポートする「東京アイスクリームランド」も、「インスタ映え」に特化したイベントです。当日は多くの人で賑わいを見せていました。

ピンク色の照明がたかれた会場内にはたくさんの人が集まっている様子の写真

「東京アイスクリームランド」の集客力がすごいことでもわかる通り、「インスタ映え」する写真を撮る目的のために、大勢の人がこれだけ集まるのです!

ピンクと白の受付に「TOKYO ICE CREAM LAND」と書かれたピンクのTシャツを着た女性スタッフが5名いる写真

ピンク全開カワイイ全開の入り口。おとぎ話の国に入るワクワク感があります。

ピンクのアイスクリームが描かれた壁紙の部屋に白いブランコが置かれている

会場には、彩り鮮やかでフォトジェニックなスポットがたくさん!こちらは、ブランコが設置された、アイスキャンデー柄の壁紙のブースです。

各ブースでは、アイスクリームのポップで可愛い世界観に浸って撮影することができます。

ピンクと白色のお店を模したブースで黒ベースの服を着た女の子2人が雑誌をもってポージングしている写真

LAURIER PRESS協賛のスィーツ店のようなブースや…

黄色一色のスーツケースやフロート浮き輪がディスプレイされた「Jetstar」のブースの写真

Jetstar協賛の楽しさ溢れるポップなオレンジ色のブースは「オレンジアイスクリーム空港」!写真を撮ったらハッシュタグ「#ジェットスターアイスクリーム空港」をつけて「Instagram(インスタグラム)」に投稿します。

アイスクリームとは一見関係がなさそうな航空会社も、可愛くてキャッチーな発信に乗ること、若い女子の間でのブランド認知アップが期待されています。企業が「インスタ映え」を戦略的にマーケティングやPRに活用していることがわかります。

ピンクの壁紙にピンクのボールプールが置かれ、そこにスイーツの巨大クッションが置かれている写真

NTTドコモ協賛のブースは、ピンクのボールプールにスイーツの巨大クッション!
女子のハートをしっかりキャッチしていました。

「インスタ映え」イベントのアイデア源は「逗子マリーナ」にあった

今回このイベントの主催者でもある、STARS株式会社代表取締役社長の大池さんにお話を伺いました。

今回このイベントを開催するにあたって、きっかけになったのが「逗子マリーナ」でした。
「逗子マリーナ」は神奈川県逗子市にある複合施設で、少し前まではいわゆる富裕層の方々がパーティーをするような場所でした。しかし、最近は若い女子が集まっています。これには理由があって、「逗子マリーナ」には日本ではあまり撮影できない、海外のビーチのような風景があるからなんです。
つまり、「インスタ映え」のために若い女子たちが「逗子マリーナ」に集まるようになったんですね。
今回のターゲットである“若い女子”というのは、具体的には18歳〜25歳くらいの渋谷に集まるような子達を想定しています。
「インスタ映え」の感覚は難しくて、実際に店が「インスタ映え」だと思って訴求しているものも、まったく「インスタ映え」ではなかったりするんです。
今後は、会社として飲食店の「インスタ映え」なども支援できたらいいなと考えています。

若者が新しさや面白さを感じる「インスタ映え」も、受け手と作り手の間でギャップがあるのですね。若者に「勘違いしている」と思われないためにも、企業側は若い感性を常にアップデートしておく必要がありそうです。

「インスタ映え」のために遊びに行く女子高生

本イベントの公式アンバサダーを務めた、16歳現役女子高生アーティストの吉田凛音さんに、女子高生生活の中での「インスタ映え」について聞くことができました。

ピンクの壁に巨大なアイスクリームのオブジェが施してあり、その前で2人の女の子がマイクをもっている様子

今までの高校生の遊びって、カラオケやご飯に行くことが多かったんですけど、その遊びのカテゴリーの中に「インスタ映え」が入ったような気がします。
「インスタ映え」ためにご飯を食べに行ったり、「インスタ映え」する景色を撮るために遊びに行ったり…。
写真撮るためだけに遊びにいくっていうことも増えたと思います。
「表参道をめぐって「インスタ映え」するものを撮る」という企画をしたときには、「インスタ映え」して美味しいものや、自分でデザインできるスニーカーなどあったりして、すごく楽しかったです。

「インスタ映え」を動機に行動をする若者たちのことを、見栄えばかりを重視して…とオトナは思いがちかもしれませんが、「インスタ映え」をきっかけに行動範囲が広がったり、新しいものに目を向けることができた様子。新しい行動を起こすきっかけの第一歩として背中を押す重要な役割を果たしているのです。

「インスタ映え」と今後の企業マーケティング

消費者の心をどうやってくすぐり、振り向かせるか。特に若い女子をターゲットにする場合は、「インスタ映え」を意識せざるをえないでしょう。また、先日政府が「地方活性化には“インスタ映え”が鍵になる」という発言をしたことから、今後「インスタ映え」の影響力は広がるかもしれません。
すでに、飲食業界に関わらず、「見栄え」や「飾ること」にフォーカスして商品開発やPRをしている企業・メーカーは増えていますが、ますます今後も目が離せません。