青い服を着た男性がパソコンを見ながら不穏な表情を浮かべている写真

仕込みは万全、スタッフも増員して予約客を迎えようと準備していたのに、突然のキャンセル!あるいは、予約時間になっても待てど暮らせどお客様が来ない…。
直前の予約キャンセル(以下:ドタキャン)や無断キャンセル(以下:ノーショー)は、飲食店にとって大きな負担となります。仕入れの費用や人件費が無駄になり、予約客数や単価によっては大損害を被り、店の死活問題にもつながりかねません。しかし飲食店はこれまで、泣き寝入りをするケースがほとんどでした。

この問題に対して一石を投じようと、保証サービスに取り組む企業があります。今回は2社に取材し、ドタキャン・ノーショーの現状と各社の取り組みをお聞きしました。

ドタキャン・ノーショーは増えている?社会問題化の背景

数十人の予約が当日キャンセルとなってしまった…。そんな飲食店のSNSの書き込みや、用意した料理とがらんとした店内の写真。それを報道するネットニュース。最近になってこの手の記事や画像を目にする機会が増えているように感じますが、ドタキャン・ノーショーは増えているのでしょうか。

■SNSの普及で顕在化

飲食店のインターネット予約サービス/顧客台帳サービスの「トレタ」は現在9500店舗以上の店が導入している業界ナンバーワンのアプリです。他社との連携や機能の充実で導入店舗数が伸びていく中、2015年ごろからドタキャン・ノーショーについて問題意識を持ちはじめ、自社のブログなどで情報発信をしてきました。

No Showの割合を表した円グラフ

「トレタ」飲食店予約キャンセル・ノーショー率データ(2013~2017年の累計) http://toreta.blog.jp/archives/73929867.html

「トレタ」のデータを見ると、2013年12月のサービス開始から2017年までの累計では、全予約のうちドタキャンが発生したのは8.4%。ノーショーは0.87%。予約件数の1割弱で、ドタキャン・ノーショーが発生しています。

株式会社トレタ マーケティング・コミュニケーション部の田美智子さん

「トレタ」を展開する株式会社トレタ マーケティング・コミュニケーション部の田美智子さんは「飲食店でのドタキャンやノーショーは、もともと相当数あったと思います。飲食店にとっては黙って泣き寝入りするしかない問題でしたが、SNSの普及でそれが顕在化し、表に出始めたと言えます」と分析します。

これまで潜在的に発生していた問題がSNSを通じて明るみに出たことで注目されているのです。ウェブ予約の浸透によって、予約状況やキャンセル状況がデータとして確認できるようになったことも、この問題の顕在化に一役買っているでしょう。

「トレタ」では、ドタキャン・ノーショーの予防策として、予約日前に確認メールを送るサービスを提供。さらに予約時にお客様のクレジットカード情報を登録してもらい、デポジット(前受金)を預かるシステム(「トレタペイメント」)を導入しました。ある店では、このシステムを使うことでノーショーが発生しなくなり、さらに、急に行けなくなったメンバーが出た時には友人を誘って穴埋めする等、お客様側の意識の変化も見られたといいます。

しかし、こういった成功事例がありながらも、デポジットを預かるシステムは普及していません。導入を躊躇する店が大半なのです。

■顧客側も事態の深刻さに気づき、社会問題となる

ドタキャン・ノーショーがSNSで顕在化したことで顧客側も、問題意識を共有するようになってきたと指摘するのは、飲食市場に特化したマーケティング支援や、全国の飲食店を紹介するグルメメディア「favy」の運営、飲食店に特化したホームページ作成サービス「favyページ」、予約サービス「favy予約」を提供する株式会社favy代表取締役社長 高梨巧さんです。

「これまで、飲食店にとってドタキャンやノーショーは恥ずかしいこと、隠しておくべきことだったんです。でも、SNSで発信することで一般的に認知され、お客様もこの問題を知って、無くしていかなければいけないと感じ始めている。ネットニュースなどでも盛んに取り上げられるようになり、社会問題化しているのだと思います」

窓際に眼鏡に短髪の男性が座っている写真

株式会社favy代表取締役社長 高梨巧さん

高梨さんは「ドタキャン・ノーショーは店にとって非常にダメージが大きい。もともと経常利益が低い店で団体のキャンセルが重なってしまえば、食材費も、人件費も支払えないという事態に陥って、店の存続に影響が出ます」と言います。それでも、店が直接お客様にキャンセル料を請求するのは難しいのが現状です。

「日本のこれまでの飲食店予約の通例として、キャンセル料無しが常識とされてきました。店としても、キャンセル料をお客様に請求するべきではないという考えがあります」と、高梨さんは店の立場に言及します。

ドタキャン・ノーショーは飲食店にとって深刻な問題。しかし、店側が〝遠慮〟してキャンセル料の請求に踏み切れない。そんな状況を踏まえて、2社が提供し始めたのが「保証サービス」です。いずれも、ドタキャン以上にダメージが大きいノーショーについて保証をしています。
では、2社の取り組みを具体的に見ていきましょう。

「トレタ」の取り組み…お見舞金サービス

「トレタ」は2017年2月、無断キャンセルや災害などによって損害を被った場合に「お見舞金」を支払う「トレタお見舞金サービス」を開始しました。

ドタキャンやNo Showにたいしてのサービスのイメージ図

「トレタお見舞金サービス」のイメージ
https://toreta.in/jp/knowledge/2017-11-2/

「トレタお見舞金サービス」利用概要

■サービスの対象店舗

①トレタペイメント(デポジット機能)ご契約中のお客様
②トレタ契約プラン「プラス」または「2ねんプラス」(さまざまなオプションがついた予約サービス)をご契約中のお客様(利用料:16000円(税別)/月)

■支払い条件

  • トレタペイメントのデポジット決済利用時の当日キャンセル料を、3000円以上に設定した予約がノーショーになった場合(上記サービス対象店舗の①のお客様)
  • 偶然な事由(※別途規定あり)により店舗が損害を受け、1営業日以上休業することにより、予約サービスシステムを通じて予約したユーザーに対してその予約の取消を行った場合(上記サービス対象店舗の①②のお客様)

■お見舞い金額

1回の申請につき定額10000円(1年間で3回まで)

「トレタ」が提供する有料プランに加入していることが前提で、一定の条件下で定額の「お見舞金」が支払われます。

「favy」の取り組み…favyノーショー保証サービス

「favy」は2017年10月、保証サービス会社Gardia株式会社と提携し「favyノーショー保証サービス」をリリースしました。ノーショー(予約の無断キャンセル)が発生した場合に、一定の条件もと、キャンセル料の全額を保証するサービスです。

No Showに対するサービスのイメージ図

「favyノーショー保証サービス」のイメージ
http://info.favy.jp/noshow/standard/LP01.html

「favyノーショー保証サービス」利用概要

■保証サービスの対象となる予約

下記の条件を満たした予約であること

  • ウェブ予約システム「favy予約」「ebica予約台帳」経由の予約であること
  • お客様へノーショー被害額相当のキャンセル料を請求しても、支払いがないこと
    ※お客様(予約者)、契約者(飲食店)は、個人・法人を問わない

■サービス利用料

  • 基本料(1年契約)10000円+店の席数に合わせたサービス利用料
    ※サービス利用料は予約者1人あたりのキャンセル料によって変動
    原則、キャンセル料は店の平均客単価と同等かそれ以下の金額を設定
    ※「favyプレミアムプラン」加入の店舗は、基本料10000円が無料

■保証上限金額

  • 1回のノーショー当たり50万円
    ※上限金額の範囲内において被害を全額保証

キャンセル料はノーショーをしたお客様に請求されますが、お店による請求作業は一切発生しません。保証加入後、1年間ノーショーが発生しなかった場合は保証料相当額のfavy記事広告がプレゼントされるため、保証料は無駄にはなりません。

ドタキャン、ノーショーはやってはいけないことだと声を上げていく

「ドタキャン・ノーショーはお客様を迎えるために費やした時間や労力が報われず、スタッフのストレスも多大です。このサービスの利用によってそのストレスが少しでも解消できたらと思います。なにより、この問題についてもっと啓蒙していきたいです」(「トレタ」田さん)

「飲食店経営者の金銭的・精神的負担を少しでも軽減できるようなサービスにしていきたい。ノーショーの発生率自体を減らす取り組みのひとつとして続けたい」(「favy」高梨さん)

飲食店としては、ドタキャン・ノーショーがあった時の自衛策、リスクの低減策として、保証サービスは検討の余地があるかもしれません。2社ともに共通する主張は、この保証サービスや諸対策を通じて、ドタキャン・ノーショーは絶対にやってはいけない、と社会に発信していきたいということ。店側お客様側双方の意識の改革につながっていくことが望まれます。

■取材協力

企業名 株式会社トレタ
URL https://corp.toreta.in/
企業名 株式会社favy
URL https://favy.co.jp/