CRAFT SAKE WEEKの会場の様子

2018年4月20日(金)~30(月)、六本木ヒルズアリーナで株式会社JAPAN CRAFT SAKE COMPANYが主催する「CRAFT SAKE WEEK」が開催されました。

3回目の開催となる今年のテーマは「地域性」。全国47都道府県すべての県から選ばれた酒蔵が自慢の酒を出展しましたが、合計11日間で各日10蔵ずつ。つまり日替わりで合計110蔵の日本酒が味わえる貴重な機会となりました。

「CRAFT SAKE WEEK」の特徴は、全国の日本酒が一同に会するだけではなく、日本酒と合うオリジナル料理や、会場建築や装飾などアート、音楽なども一緒に楽しめるところ。
盛り上がる会場の様子をお伝えします!

「CRAFT SAKE WEEK」の楽しみ方

「CRAFT SAKE WEEK」をプロデュースするのは、元サッカー選手で日本酒愛好家として有名な中田英寿さん。日本全国300蔵以上の蔵元に自らが足を運び、今年もテーマに合わせて自ら酒蔵を厳選、出展を呼びかけたそうです。

1年目から六本木を会場に、2年目は福岡・博多、そして今年は宮城・仙台でも開催(3月21〜25日)され、年々盛り上がりをみせているこのイベント。今回は六本木ヒルズで昨年より1日多い11日間(2018年4月20〜30日)に、過去最多の計110蔵が出展しました。

110の日本酒

110酒のラインナップは圧巻。入手困難なお酒を一気に味わうことができる(ライター撮影)

風土や季節、蔵の環境など、多くの条件が影響する日本酒造り。酒蔵のこだわりを知ることはもちろん、日本酒の地域性や地域差を知ることは日本酒を楽しむひとつのきっかけになります。
今回のテーマは「地域性」。「東北・北海道の日」「北信越の日」「関東の日」「東海の日」「関西の日」というように、地域ごとにグルーピングされた蔵元が日替わりで登場するスタイルとなっていました。
1日に10蔵、11日間で110蔵に出会えるこのイベント(出展した全酒蔵の一覧はこちら)。どの日に会場に行くかで、出会う日本酒もがらりと変わってしまうので、来場リピーターが多いそうです。自分の出身地からはどの酒蔵が登場するのか、チェックするのも楽しいですね。

参加方法は、シンプルです。
まずCRAFT SAKEスターターセット(酒器グラスと飲食用コイン11枚 3,500円)を購入します。会場内のお酒やフードはすべてコインで購入するスタイルです。酒器はイベント期間中に繰り返し使うことができるので、期間中は大切にとっておきましょう。もう少し飲みたい…食べたい…という場合は、追加コインセットが購入できるのでご安心を!

コインとグラス

スターターセット。酒器グラスは家でも使えそうなデザイン(ライター撮影)

良酒を生む!飲み手と造り手のコミュニケーション

今回取材で訪れたのは、静岡県、愛知県、岐阜県、三重県の酒蔵が集結した「東海の日」で、次の10蔵の日本酒を味わうことができました。

  • 磯自慢(磯自慢酒造株式会社/静岡県)
  • 白隠正宗(高嶋酒造株式会社/静岡県)
  • 義侠(山忠本家酒造株式会社/愛知県)
  • 蓬莱泉(関谷醸造株式会社/愛知県)
  • 醸し人九平次(株式会社萬乗醸造/愛知県)
  • 津島屋(御代桜醸造株式会社/岐阜県)
  • W(有限会社渡辺酒造店/岐阜県)
  • 田光(合名会社早川酒造/三重県)
  • 天遊琳(株式会社タカハシ酒造/三重県)
  • 寒紅梅(寒紅梅酒造株式会社/三重県)

毎年出展している磯自慢酒造株式会社の造り手に「CRAFT SAKE WEEK」の魅力をお聞きしたところ、「他の日本酒イベントと違って、とにかくおしゃれで発信力がありますね」と語ってくださいました。

「日本酒にくわしいお客さまが多いとも感じます。水の硬度など、かなり専門的な質問をされたことがあり、こちらも緊張します(笑)もう少しこうしたら?と率直におっしゃっていただくこともあります。とても貴重な意見なので、ありがたいですね」

磯自慢の日本酒ブース

「飲み飽きない美味しさ」を目指して造られる磯自慢のブース(ライター撮影)

酒造りの最中でも、なるべく日本酒関連のイベントには顔を出すようにしているという、合名会社早川酒造の専務兼製造責任者の早川俊人さん。今回初出展ですが、お声がかかったときは素直に嬉しかったそうです。「何でウチが呼ばれたのが正直わからなかったですけど、中田さんが飲んでくれていたみたいです(笑)」

「蔵では自分たちのお酒を飲むことがどうしても多くなるので、いろいろなお酒を飲んでいるお客さまから勉強させてもらっています。使っている岡山県備前雄町のお米は幅があってふくらみがあるのですが、農家さんのつくった大切なお米をうちの軟水でいかに表現できるかだと思っています」(早川さん)

合名会社早川酒造の専務兼製造責任者の早川俊人さん

「夜になるとDJのプレイで会場の様子が一変するのも楽しみ」と語ってくれた、合名会社早川酒造の専務兼製造責任者の早川俊人さん(ライター撮影)

どの蔵元の方も、お客さまの声を造り手が実際に聞く事がとても貴重で、それが次の酒造りにいかされていくと話されていました。こうした造り手と飲み手が近い距離で交流できる場が、さらに美味しい日本酒が誕生するきっかけにつながっていくのですね!

「CRAFT SAKE WEEK」ならでは!注目コラボレーション

「CRAFT SAKE WEEK」の特徴は、日替わりで登場する日本酒の豊富なラインナップだけではありません。日本酒との素晴らしいマリアージュが堪能できるフード、会場装飾やDJなどアート的な要素までトータルで楽しめることも魅力です。

◼︎日本酒に合う豪華フードの出展

毎回「CRAFT SAKE WEEK」にフード出展するレストランは、これまでどれも予約困難店で知られる名店ばかりで注目を集めてきました。今回も「CRAFT SAKE WEEK」のイベント会期を2期に分け、各5店舗ずつ計10店舗の味が堪能できますが、寿司「三谷」をはじめ、懐石料理「くろぎ」やフレンチ「ESqUISSE」、富山の地産料理「L’evo」など、有名店が揃いました。
しかも提供されるのは、すべて日本酒とのマリアージュを考えられた特別メニュー。有名人気店オリジナルの味を屋台スタイルで気軽に味わえるなんて、こんなうれしい機会は滅多にありません!

取材当日、日本酒に合うイタリア料理を提供していたのは「RISTORANTE LA BARRIQUE TOKYO」。店頭に立っていた、オーナーでソムリエの坂田真一郎さんは「ワインだとどうしても仕事モードになってしまうので、本当にリラックスして飲めるのは日本酒なんですよ(笑)」と楽しそうな笑顔を見せてくださいました。

今回の提供フードのポイントは、日本酒に合うようにイタリア料理をアレンジするのではなく、「イタリア料理でも日本酒が合う!」ということを実感できるメニューだということ。
多くの日本人は「日本酒には和食」と思い込んでいるかもしれませんが、イタリアンでも中華でも、ベストマッチする日本酒がある、その多様性を知って欲しいという、坂田さんの想いがありました。

RISTORANTE LA BARRIQUE TOKYOのメニュー

「RISTORANTE LA BARRIQUE TOKYO」のメニュー。日本酒と相性が良さを考えてカラスミや、粉チーズのかわりに酒粕が使われている(ライター撮影)

さらに会場には「Wakiya一笑美茶樓」の脇屋友詞シェフの姿も。以前から日本酒とチャイニーズのコラボレーションを数多くされているので、日本酒への関心は高いのだとか。今回のメニュー5品は全てオリジナルという気合の入りようでした。

日本酒に合う貝柱や塩鮭など塩気のある食材を積極的に取り入れ、人気のポテトサラダにはXO醤を使う遊び心も。「猿仏産干貝柱と鮭のXO醤」「帆立と鮭W醤のピリ辛ポテトサラダ」はチャイニーズながら日本酒がとてもすすむ味。フカヒレが入った塩をつけていただく「フカヒレ入り雲呑」は、定番の「塩を舐めながら日本酒を飲む」スタイルからヒントを得たそうです。

「酔っ払うとスープが飲みたくなるでしょ。だから〆には『鮭とホタテのスープご飯』です(笑)。僕なりに(5品を)ちょっとしたコース仕立てにしているんです」とメニュー作りを楽しんだ様子の脇屋シェフでした。

脇屋シェフ

渡辺酒造店のお酒「W」を見つけ、Wakiyaの「W」だ!と嬉しそうにフードカーに置く脇屋シェフ(ライター撮影)

◼︎日本酒を愉しむための最高の空間

「CRAFT SAKE WEEK」の六本木ヒルズ会場は、毎回才能あるクリエイターとのコラボによる空間構成が注目を集めてきました。
2016年は会場に櫓を立てて祭り気分を演出し(会場構成:トラフ建築設計事務所)、2017年は1000本の桜を使用した圧巻の「桜の花畑」が登場したので(建築家・藤本壮介氏とプラントハンター・西畠清順氏のコラボレーション)記憶に残っている方もいるのではないでしょうか。

竹で組まれた回廊の写真

六本木ヒルズ会場をぐるりと囲むように配されたメインインスタレーションの「竹の回廊」が圧巻(ライター撮影)

今年「CRAFT SAKE WEEK」六本木ヒルズ会場で今回ひときわ目をひいたのは、メインインスタレーションの「竹の回廊」です。日本一の竹林面積を誇る鹿児島県薩摩川市の竹が約500本使われたという迫力のあるインスタレーションは、dot architects(ドットアーキテクツ)が手がけました。
月に見立てられた巨大バルーンが会場中央から全体を照らし、都会のど真ん中には非日常的な空間が現れました。竹と月の日本らしいモチーフの組み合わせのせいか、現代的でありながらもどこか懐かしくもあったのが印象的でした。

夜になるとDJが入り、さらに六本木の夜らしい雰囲気になりますが、このおしゃれな空間構成は、アート好きの若者の集客にもつながったようです。

早くも期待感高まる!来年の「CRAFT SAKE WEEK」

「CRAFT SAKE WEEK」は日本酒をメインに料理や空間もトータルで味わえるイベントですが、今回参加してみて印象的だったのは、来場しているお客さまも、フードや蔵元の出展者も、みんな楽しんでいたことです。
インタビューをさせていただいた会場のどの方も「日本酒と日本文化の価値を多くの人に伝えたい」というプロデューサー中田英寿さんの想いに理解・共感を示し、その目利きを賞賛・信頼していることを感じました。
新しい日本酒シーンを提案するイベントとして、来年はどんなプロデュースになるのか、今から期待大です!

取材協力

HP 「CRAFT SAKE WEEK」公式サイト