
2023年1月20日、21日に、フランス・リヨンで行なわれた製菓のワールドカップともいえる大会「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー2023」で日本代表チームが優勝しました。
日本代表チームは、フランス(2位)、イタリア(3位)といった強豪をおさえて見事1位に。金メダルを獲得しました。日本の優勝は1991年、2007年に続き3度目で、8大会ぶりの快挙です。
最高峰コンクールは2年に一度!
1989年に始まった「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」は、世界中のパティシエが腕を競う世界大会です。
現在は、ピエール・エルメ氏が会長を務め、50を超える国で予選を実施。各大陸予選を勝ち抜いた世界22カ国のパティシエたちが最高峰を競っています。
競技内容は、飴細工、チョコレート細工、チョコレート彫刻、シェア・デザート、レストラン・デザート、フローズン・デザート、フローズン・ロリポップ。世界を代表する権威あるパティシエによって厳正に審査されています。
今大会、日本では2021年11月に国内予選が行われ、日本代表チームの3名が選出。2023年、17ヶ国で競い合うフランス本選出場へとなりました。
2023年度の大会テーマは「気候変動」
日本のテーマ:「Renewable Energy(再生可能エネルギー)」
工芸課題:アメ細工、チョコレート細工、氷彫刻。3点共にクジラを制作。試食作品は、4点共に「風」を感じさせるデザイン
試食課題:
シェア・デザート 「風」チョコレートの香りや味わいをメインとしたケーキ
フローズン・デザート 「流体」パイナップル、ココナッツなどを使用したアイスケーキ
フローズン・ロリポップ 「羽」ユズを使用したクリーミーなフローズンデザート
レストラン・デザート 「風車」温かい洋ナシ、バニラアイスなどで構成したデザート
大会総責任者ピエール・エルメ氏コメント:
「風や軽やかさの表現に魅了されました。細部へのこだわりや粘り強さが他の国との違いを生んだ」
今回優勝したチームはどんな人たち?
国内予選よりおよそ2年に渡り繰り広げられる闘いを勝ち抜いてきたチームメンバーをご紹介します。
鈴鹿 成年さん/チームリーダー。所属:アンリ・シャルパンティエ(株式会社シュゼット・ホールディングス)。
製造部、シンガポールのアンリ・シャルパンティエ オーチャード・セントラル店の店長、ヨーロッパ技術研修での渡仏を経て、現在はマーケティング部に所属。
高橋 萌さん/所属:エキリーブル スーシェフ。
パティスリー タダシヤナギ、リリエンベルグ、Delices Des Sens(フランス・リヨン)、インターコンチネンタル東京ベイを経て、2021年より「エキリーブル」スーシェフ。ルクサルド・グラン・プレミオにて優勝(2018年)、ヴァローナ・マンジャリ30周年レシピ・コンテストにて優勝(2020年)。
柴田 勇作さん/所属:株式会社PRISM 代表。
トップ・オブ・パティシエ・イン・アジア2019(韓国ソウル)にて準優勝、ワールド トロフィー オブペストリー アイスクリームチョコレート(イタリア)にて日本チームとして優勝ほか、海外コンクール出場多数。2022年より徳島県徳島市にて木頭ゆずを使った洋菓子専門店YUZU CAFE Kitchenのエグゼクティブシェフに就任。
駒居 崇宏さん/団長。所属:アンリ・シャルパンティエ(株式会社シュゼット・ホールディングス)。
アンリ・シャルパンティエのトップシェフを勤め、自社の全商品の開発に携わる。クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー2017にて2位(銀賞)受賞。
チームからいま、一緒に働く仲間に伝えたい気持ち
クックビズ総研編集部より、同じパティシエとして一緒に働く仲間に何を伝えたい?日本代表チームに聞きました。
Q1.金メダルの獲得、本当におめでとうございます!今回、金メダルを獲得された感想を一言お願いします。
柴田:支援・指導・応援してくれた全ての方に感謝です。
鈴鹿:日本に帰国し約1週間になるのですが、さまざまな方より、お祝いのお言葉を頂戴し、実感が出てきました。今回の金メダルはチーム4名だけで勝ち得たものではなく、サポートしてくださった周りの方々や、歴代の想いを紡いでいったものだと感じております。
本当にありがとうございます。感謝の気持ちでいっぱいです。これから皆さまへの恩返しや微力ながら洋菓子界の発展へと繋がるように精進したいです。
高橋:今回の優勝は周りの方々に支えられて取ることが出来た優勝なので、感謝の気持ちと喜びでいっぱいです。
Q2.それぞれ違う会社・店舗で活躍してきたパティシエたちが、10時間以上の長丁場を一緒に戦うなかで、集中力を途切れさせないためにチームで心がけていたことはありますか?
柴田:各々自分に集中するだけではなく、いつでも協力し合える様に声がけしていたと思います。
鈴鹿:声がけだと思います。些細なことでも声を掛け合い、臨機応変に対応していくことを心がけておりました。また、チームでの話し合いの時間を頻繁にとるようにしており、常に話し合って決めて行きました。
時にまとまりきらないときも駒居団長がリードしてくだり、歴代の方々にもご指導頂きながら一つになっていったと思います。
高橋:チームのコミニケーションを大切にしていました。
Q.今大会の出場に向けて、日々の仕事の中で最も「やっておいてよかった」と思うことは?
柴田:意識してやっていた訳ではないですが、コンクールや洋菓子の歴史が好きで色々調べているうちに記憶していました。
鈴鹿:普段の仕事からカイゼンという作業効率を良くする仕組みを勉強しております。ムダを省き、お菓子と向き合う時間をつくるという工程があってよかったと思います。
高橋:普段の仕事からチョコレートを扱っている事です。
Q.今回の優勝を通して、職場の仲間には、何を伝えたいですか?
柴田:常日頃から謙虚さと自分以外の人への尊敬の念を忘れないこと。優勝したから思う訳ではなく常日頃から思っていますが、それでも改めてこの言葉を伝えたいです。
鈴鹿:私は不器用で抜けも多いのですが、一つのことを続けていくと、こんな私でも大舞台に立つ事ができました。これは決して私1人の力ではなく、周りの方々の支えがあってできた事です。本当にありがとうございます。
高橋:感謝の気持ちと、クープ・デュ・モンドという大会の素晴らしさを伝えていきます。
Q5.10時間以上の闘いの中で、作業を進める上での段取りの工夫はありますか?
柴田:協力し合えることはお互いを頼り、全体の時短を計ることです。
鈴鹿:こまめに水分補給をするようにしておりました。歴代の方々より、集中しすぎて水分不足になることを注意されていたので、気をつけました。
高橋:道具や機材のセッティングを重点的に効率良く考えてやっていました。
編集部内でも喜びに沸く今回の優勝!ちなみに食事時間や休憩についてもお聞きしたのですが、全チームともに取っていないということでした。チームの皆様、本当におめでとうございます。そしてお疲れさまでした。
<写真提供:クープ・デュ・モンド日本実行委員会>
クックビズ総研
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