ワインとワインだるの画像

格段に美味しくなっているボジョレー・ヌーヴォーで、年に一度の新酒シーズンをたくさんの方に楽しんでいただきたいです。」そう語るのは、ご自身も毎年の解禁を心待ちにしているという、「ワインショップ・エノテカ GINZA SIX(ギンザシックス)店」の副店長でソムリエの籾山(もみやま)さん。解禁日に向けて着々と準備が進む同店を取材し、美味しいボジョレー・ヌーヴォーの選び方、楽しみ方のポイント、2019年の最新情報などたっぷりお話をうかがいました。

エノテカ旗艦店としてワイン愛好家から絶大な支持を得ているGINZA SIX(ギンザシックス)店。エノテカ最大級のフロア面積と品揃えを誇るワインファン垂涎のホットスポット。
<写真提供:エノテカ株式会社>

エノテカのカウンターの写真

1,600種類以上のワインが揃うブティックに続く広々としたアプローチには、近年人気の“角打ちスタイル”のワインバーがあり、昼夜問わず好みのワインをグラス一杯から気軽に楽しめる。※写真はイメージです。
<写真提供:エノテカ株式会社>

ボジョレー・ヌーヴォーとは?

「ボジョレー・ヌーヴォー(仏: Beaujolais nouveau)」とは、フランスのブルゴーニュ地方南部のボジョレー地区でその年に収穫されたぶどうでつくる新酒(nouveau)のこと。もともとは、その年のぶどうの出来をチェックするための試飲用ワインでした。

ぶどうの品種はガメイ種で、摘み取ったぶどうを破砕せず、密閉した大きなステンレスタンクに入れ、ぶどうの重みで潰れ出た果汁を自然に発酵させる‟マセラシオン・カルボニーク法”というユニークな製造方法でつくられます。
通常よりも酸素との接触が少ない製法のためフレッシュでさわやかなワインに仕上がります。チェリーの香りとすっきりとした酸味が特徴で、ワイン初心者も飲みやすい果実味豊かで軽やかなワインです。

“クリュ・ボジョレーのスペシャリスト”アンリ・フェッシの畑、収穫はすべて手摘み。
<写真提供:エノテカ株式会社>

■今年の解禁日は11月21日(木)午前0時

1800年代からボジョレー近郊の人々に楽しまれていたボジョレー・ヌーヴォー。
早売り競争が激化し未完成の粗悪なワインが出回るようになったため、フランス政府によって解禁日が設けられるようになりました。

何度かの改定を経て解禁日が現行の「11月の第3木曜日」となったのは1985年のこと。日付変更線に近く、本場フランスよりもひと足早く解禁日を迎える日本。今年2019年の解禁は11月21日(木)午前0時です

アンリ・フェッシの畑のガメイ種のぶどう。フランボワーズ、チェリー、桑の実などの果実香豊かなワインを生み出す。
<写真提供:エノテカ株式会社>

■幅広い年齢層で人気。楽しみ方もさまざま

ここ数年、安定した人気のボジョレー・ヌーヴォー。籾山さんによれば、「幅広い年齢層の方がそれぞれのスタイルで新酒シーズンを楽しんでいらっしゃるのが印象的」とのこと。

昼間、買い物の途中に立ち寄られグラス一杯のボジョレー・ヌーヴォーを楽しまれるご婦人や、会社帰りに数人で連れ立ってワインバーで乾杯されるビジネスマンなど、楽しみ方も本当にさまざまです。

珍しいタイプのボジョレー・ヌーヴォーをワインバーにてグラスで楽しみ、ご自宅用には定番タイプのボトルを購入されたり。色々なタイプのボジョレー・ヌーヴォーを味わってみたいという方が増えてきました。

■2019年のボジョレーは“生産者の力量がためされる”

ボジョレーワイン委員会が発表した2019年の現地リポートによれば、「7月と8月の雹(ひょう)の被害により、ボジョレー地区では例年と比べてぶどうの収穫量が減少。しかし、8月下旬以降は晴天に恵まれたため、ぶどうはしっかりと成熟し、9月9日から手摘みによる大規模な収穫が行われた」とのこと。

最良の気候とは言えないヴィンテージとなった2019年。
こういうヴィンテージこそ、長い歴史の中でさまざまな経験を積んだ百戦錬磨(ひゃくせんれんま)の生産者にとっては腕の見せ所ですし、必ず安定した美味しいワインに仕上がってくると思います」(籾山さん)

ボジョレー地区で120年以上の歴史を持つアンリ・フェッシは、高品質なボジョレーワインを生みだすことで有名なワイナリー。2008年からは偉大な白ワイン「コルトン・シャルルマーニュ」の造り手「ルイ・ラトゥール」の傘下に。
<写真提供:エノテカ株式会社>

多彩な展開をみせるボジョレー・ヌーヴォー!今年のおすすめ3選

現在ほどワイン文化が定着していなかった1980年代の日本で起こった、ボジョレー・ヌーヴォーの熱狂的な大ブーム。ワイン文化の広がりとともに、低価格で高品質のワインが市場にあふれるようになると、ボジョレー・ヌーヴォーの人気は次第に下火に。しかし近年、その人気が復活しています。

人気再燃の理由は、製造方法の進化によってボジョレー・ヌーヴォーの品質が格段に向上したことと、ロゼや白、スパークリングという新しいタイプの新酒が登場し、商品が多彩になったことにあると言われています(※)。数あるボジョレー・ヌーヴォーの中から、ぜひ試してみたい今年のおすすめ3種をご紹介します。

※フランスのワイン法では、白ワイン、スパークリングワインの新酒は正式には「ボジョレー・ヌーヴォー」には該当しません

■おすすめ① そのおいしさに誰もが驚く、古樹ワイン「ヴィエイユ・ヴィーニュ」

ボジョレー・ヌーヴォーの今年のラインナップをみても、種類・生産者・価格もさまざまで選ぶのに迷うところですが。

たとえば、(エノテカで)どれか1本だけ美味しいボジョレー・ヌーヴォーを選んでほしいと言われたら、迷わずタイユヴァンの“ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー・ヴィエイユ・ヴィーニュ”という定番のヌーヴォーをおすすめします。間違いなくご満足していただけると思います。

ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォー・ヴィエイユ・ヴィーニュ
750ml(3,500円)/375ml(1,900円)
<写真提供:エノテカ株式会社>

パリの名門レストラン『タイユヴァン』が自信をもってお客様に提供しているヌーヴォーで、樹齢50年の古樹のぶどうのみから造られる、こだわりの強い上質なワインです。まだ経験の浅い弊社のスタッフが、新酒シーズンにはじめてこのワインを試した時、“ボジョレー・ヌーヴォーってこんなに美味しいんですか?”と驚いたほどです。

古樹のぶどうから造られるワイン、味わいにどのような違いがあるのでしょう。

“力強さ”というより“奥深さ”の違いです。樹齢の長さがワインに深みをもたせ、余韻が長く複雑味のある、香りも味わいも豊かなボジョレー・ヌーヴォーを生み出します。

■おすすめ➁ 美しくて華やか!生産量が少なく希少なロゼワイン「ボジョレー・ヌーヴォー・ロゼ」

ここ数年、世界的なブームとなっているロゼワイン。料理に対する汎用性の高さが注目を集め、日本でも人気が高まっています。

「ワインショップ・エノテカ GINZA SIX店」では、100種類ものロゼワインを取り揃え、「銀ロゼ100」と称して、ロゼワインの楽しいイベントやセミナーを開催するなど、銀座からロゼワインの魅力を次々に発信。
<写真提供:エノテカ株式会社>

ボジョレー・ヌーヴォーのロゼが日本で初めて販売されたのは2006年。近年のロゼワイン・ブームと相まって、今年もかなり人気となっているようですが、どんなところが魅力ですか?

ロゼワインの魅力のひとつが、何といってもその美しい色合いですが、ボジョレー・ヌーヴォー・ロゼも色調の美しさが際立っています。プロヴァンスのロゼの明るいピンク色よりも少しオレンジがかった独特のサーモンピンクの色合いが素敵です。

口に含むとイチゴやラズベリーの優しい香りがふわりと広がり、辛口で少しスパイシーなんですが、甘い雰囲気をもつ華やかな味わいがします。また、ふつうのロゼワインと比べると、新酒のロゼは開けた瞬間のみずみずしいフレッシュさがとても魅力的です。

ボジョレー・ヌーヴォー・ロゼ
750ml(3,500円)
<写真提供:エノテカ株式会社>

■おすすめ➂ チャーミングな美味しさが今年も大人気!赤のスパークリング「スウィート・バブルス・ヌーヴォー」

赤のスパークリングの新酒は今年も大人気で、オンラインの予約はすぐに完売したとうかがいました。解禁後、まだ店頭で購入できるそうですが、高い人気の秘密はなんでしょうか。

商品としてご紹介している“スウィート・バブルス・ヌーヴォー”は、アルコール度数が7~8%と通常のワインよりも低めでやや甘口なので、女性やワインが苦手な方にも受け入れられやすいのだと思います。スパークリングならではの華やかさ、そして珍しさもあり、お祭り感が増してパーティなどでも盛り上がります。

ただし、甘口と言ってもスッキリとした甘さで、皮の渋みなどナチュラル感もあり、しっかりとした大人の雰囲気の味わいです。逆に、“甘いワインは飲まない”という年配の男性でも、このワインは好きだと仰る方もいらっしゃいます。

少し厚みのある重い感じの泡でラグジュアリー感もあり、同じ味を探そうと思ってもなかなかない貴重なワインですね。実は私も毎年心待ちにしていて、多い時は6本くらい買ってお正月などにも楽しんでいます。

スウィート・バブルス・ヌーヴォー
750ml(2,700円)
<写真提供:エノテカ株式会社>

幅広い料理と楽しめるのもボジョレーの魅力!飲み頃の温度もポイント

ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日にあわせて、人気のチーズ“モン・ドール”も期間限定メニューとして店舗で提供されるそうですが。

ひと足先に解禁となったモン・ドールも、ファンが解禁シーズンを心待ちにしているチーズです。ボジョレー・ヌーヴォーと一緒に、この季節ならではの特別感をぜひ楽しんでいただけたらと思います。

解禁を心待ちにするファンが多いモン・ドール。濃厚なミルクの味とまろやかさが人気。

ボジョレー・ヌーヴォーとお料理のマリアージュ、ほかに何かおすすめはありますか?

たとえば、ドイツの伝統的なクリスマスのお菓子“シュトーレン”などと合わせるのもおすすめです。甘くてコクのある味が、ボジョレー・ヌーヴォーのさわやかな酸味や果実味ととてもよく合います。こちらも季節感たっぷりのマリアージュですね。


あとはやはり、シャルキュトリー(ハム、ソーセージ、パテ、リエットなどお肉から作られる加工食品の総称)でしょうか。うまみと塩味がヌーヴォーの酸味、果実味とよく合います。シャルキュトリーと言ってもさまざまなタイプがありますが、脂が濃厚なものよりも、あっさりとした淡白なものの方がボジョレー・ヌーヴォーとは相性がよいと思います

それから、先にご紹介した赤のスパークリングのヌーヴォーは、すっきりとした甘い味わいなので、エスニック料理や韓国料理などとも相性がいいですよ。サムギョプサル(韓国の豚バラ焼肉)などと一緒にいただくと、とても美味しいです。また、あえてピザなどのジャンクフードと一緒に食べて飲んで、仲間と賑やかにお祭り気分を楽しむのもおすすめです!

ボジョレー・ヌーヴォーは、冷蔵庫で1時間ほど冷やして12℃前後くらいで飲むのが美味しいとされますが、ほかに美味しく飲むコツなどありますか?

そうですね。ボジョレー・ヌーヴォーは、やはりしっかり冷やした状態で、フレッシュでさわやかさな美味しさを楽しんでいただきたいです。あとは、古樹のぶどうを使った上質なヌーヴォーなどは、飲む1時間前くらいに開栓して、時間の経過とともに華やかに広がっていく香りや味わいもぜひ楽しんでみてください。

まとめ

晩秋のワインシーンを華やかに彩るボジョレー・ヌーヴォーの解禁。仕事帰りにワインバーで乾杯したり、家族や仲間とパーティーを楽しんだり。多彩になったボジョレー・ヌーヴォーの中から「幸せな美味しい一杯」をみつけて、新酒シーズンをもっと楽しんでみませんか?

<取材協力>

企業名 エノテカ株式会社
店舗名 ワインショップ・エノテカ GINZA SIX(ギンザシックス)店
住所 東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX B2F
電話 03-6263-9802
営業時間 10:30~20:30(フードLO: 19:30、ドリンクLO: 20:00)
公式サイト https://www.enoteca.co.jp/

<参考情報>

ボジョレーワイン委員会 プレスリリース