店主同志のつながりを大切に。いい店を作る店主は、みんないい空気を持っている。

ク:シェフは他店の店主やシェフとも親交が深いと伺っております。

上:そうですね。大阪市内の店主さんやオーナーシェフの方など、ジョヴァノットをオープンしてから6年間でたくさんの人脈が増えましたね。2012年はFacebookなどでも、多くの方とのつながりを実感できた1年となりました。高いレベルでお客様の満足を追求する店主の方との出会いで、私自身、刺激された部分も多くあります

ク:どういった話をされるんですか?

上:話のネタはつきません(笑)。年上、年下関係なく、なんでもしゃべります。よい食材の情報を教えていただいたり、僕もいいキャビアを見つけたら、おすすめですよと紹介したり。堂島精肉店の東オーナーやレストラン「カハラ」のオーナーシェフ森さん、北新地「多田」(鮨)の多田さんなど、自分より大先輩もたくさんいらっしゃいます。目指すお店の姿でもあり、また店主の人柄にひかれ、親交を深めさせていただいていますね。他店のみなさんとの交流の中から、「立ちあカーレー」という東日本大震災チャリティーもかねた、関西の人気店・有名店が集結参加するイベントも誕生しました。

いい店を作る店主は、みんないい空気を持っています。これからも、店主同士のつながりを大切にしていきたいですね。

自分が何をしたいか、を問い続ける。もっともっと、自分には何ができるだろうか?

ク:最後に、シェフからの若い料理人の方へのメッセージをお願いします。

上:自分が何がしたいかを見つけることが大切だと思います。ぼくはラッキー、見つけられたから。「お客様を満足させる」ことの奥の深さを知ればしるほど、自分に与えられた過程に気づく、それをどうやってステップアップできるか。こうやったらいいのではと日々考え、行動することが楽しくてたまらない。

漠然と「お客様が好き」でも、すばらしいサービスができるかもしれないし。料理を作るのが好きという気持ちでも、おいしい料理は作れるかもしれない。ただ料理人として、趣味からプロの狭間を、自分がどこで設定するかが大切だと思います。おいしいものは、これとこれを合わしたら、こうなるかな?とか、日々探求していくことは、文面のノウハウだけでは学べない。感受性を磨いていく必要があると思いますね。

お客様は自分が頑張ってお仕事をして、ご褒美に飲食店へ食べに来られているわけじゃないですか。それをついつい忘れて、昨日はこれができてた、今日はあれができない、明日はわからない・・・そんな心構えの料理人が、トップにたてるわけがない。常に、本質的なことは何かを自分で考え、行動し続けることが大切だと思います。

ク:最後に、シェフのこれからの目標を教えてください。

上:「ジョヴァノットを老舗にする」というのが、今の目標ですね。料理を始めて26年、開業して6年。これでいいと思ったらそこで終わると、日々自分に言い聞かせています。ドンドン新しい飲食店がオープンしていく中で、自分はどうしていくのかこれからも、自分自身がどう変わって、どう化けていくのか。お客様を満足させるために、何ができるかを考え、実践し続けていきたい。もっともっと何ができるだろうか?と日々考えています。

編集後記

WEBを検索すると、シェフの華やかなご経験はたくさん出てきます。本日はあえて経歴の部分ではなく、表立ってあまり語られていない、料理人、オーナーシェフとしての信念などを伺おうとインタビューをさせていただきました。
あくなき料理への探究心、「お客様と近づきたい」という揺るぎない信念。料理人としての考えを本音で話していただきました。料理の世界を志す方、高みを目指す方のヒントにしていただければ幸いです。上村シェフ、インタビューにご登場いただき、ありがとうございました。

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