
飲食店の経営者や従業員の管理者にとって、シフトの組み方は悩みの種のひとつではないでしょうか。
希望が偏ってしまったり、欠勤を補うために奔走したりと、シフト作成が管理者の負担になっているケースも少なくありません。
この記事では、飲食店におけるシフトの組み方で多い悩みの傾向や、一般的な作成の流れとシフトを組むときのポイントについて紹介します。
目次
飲食店におけるシフトの組み方の重要性
飲食店においてシフトの組み方は、店舗によって方法が異なることがほとんどです。
働く従業員の特徴(主婦(夫)層もしくは学生が多い・フリーターがメインなど)に合わせて組み方を変えていたり、チェーン店や個人店などの違いで異なったりしています。
では、シフトの組み方によって飲食店にはどのような影響があり、実際にシフトを組むときにどのような点に気をつけるべきなのでしょうか。
ここからは、シフトの組み方における重要性やシフト作成時に多い悩み・困りごとについて紹介します。
飲食店におけるシフト作成とは?
飲食店におけるシフト作成とは、営業に必要な人員の数や配置、勤務時間、日数といった要素を考慮したうえで、従業員の誰もが無理なく働くためのスケジュールのことです。
シフトを組む頻度は店舗によって異なりますが、一般的には月に1~2回程度のペースで作成を行います。
シフトを組む目的は、人件費を最適化して収益を最大化することです。
収益の少ない閑散期には人件費を抑え、繁忙期には回転率を上げるために人件費を費やすなど、シフトを組むことで先々の運営がスムーズになります。
必要以上に人員配置を行うと、人件費が増加して収益よりも経費が高くなってしまう恐れがあります。また、1日単位で人件費を算出することができるようになるため、必要な人件費の見通しが立てやすくなるメリットもあります。
シフトの組み方次第で飲食店の利益率は左右されるため、利益率がもっとも高くなるような人員配置を行うのが理想といえるでしょう。
シフトの組み方によっては、従業員の働きやすさに直結するため、モチベーションにも大きく影響します。手が空きすぎると暇に感じてしまい、人員が少なすぎると業務負担が大きくなるため、バランスを取ることが大切です。
このようにして働きやすい環境を整えることができれば、お店の評判も良くなるため、新たにスタッフを募集した際も応募がたくさん集まりやすくなるでしょう。
飲食店のシフト作成に多い困りごと
飲食店のシフトにおいて、多くの担当者が困っていることがシフトの調整に時間がかかることです。
学生のアルバイトはテスト期間や部活動、長期休暇などで勤務スケジュールにムラがあり、急な予定変更が発生することもあるでしょう。お子さんがいる場合、子供の急病などで当日出勤できなくなることもあるため、急な欠勤時には早急に人員を手配しなければなりません。
個別に電話やメールで連絡する負担がかかるうえに、確保できなければ店の営業に支障がでてくる可能性があります。
さらに、人員確保だけでなく人件費の管理に関する負担が大きいのも、シフト作成ならではの悩みです。
スタッフごとに時給や勤務時間が異なるので、個別に給与計算を行わなければならないためです。
土日や深夜の割増、収益に占める人件費の割合計算なども、悩みの種になるのではないでしょうか。
また、シフト作成の担当者は通常の営業業務と並行してシフト作成を行うことも多いため、なかなか作成時間が確保できないこともあります。
飲食店でのシフト作成の流れ
担当者が悩むことの多いシフト作成業務ですが、一般的にはどのような流れでシフトの作成を行うのでしょうか。一般的なシフトの組み方の例について紹介します。
1.従業員のシフト希望を聞く
シフトが確定する1ヵ月~2週間前から提出を求め、希望を募ります。2.希望に基づいてシフト作成をする
提出された希望をもとに、営業に必要な人数を算出して組み合わせを調整します。3.状況に応じてスタッフにシフト調整を求める
人手が足りない場合は入ってもらえないかをスタッフと個別にやり取りしながら人員を確保します。4.シフト表の最終確認をする
自分自身で確認したら、店舗の責任者やほかの社員などにも見せてダブルチェックし、過不足を調整します。5.シフト表をスタッフに周知する
シフト表をスタッフルームに張り出すなどして、スタッフに確認してもらいます。
シフト作成を終えても、先に書いた通り、前日や当日に急な欠勤が出る場合もあるため、欠勤が出た際にはその都度人員調整を行う形となります。
飲食店におけるシフトの組み方のポイント
飲食店におけるシフトの組み方として、いくつかのポイントを把握しておくとスムーズに作成することが可能です。ここからは、シフト作成の際に確認しておきたいポイントや注意点について紹介します。
勤務時間を管理して人件費をコントロールする
人件費のコントロールは経費をコントロールすることになるため、勤務時間の管理をしっかりと行って無駄なコストを削減することが大切です。
また、シフトの確認忘れによって当日シフトに入るのを忘れてしまわないように、従業員それぞれにシフトの管理を行ってもらうのも良いでしょう。
紙ベースでアナログ管理を行う方法もありますが、勤怠管理システムなどを導入するのも選択肢のひとつです。
スタッフの勤務時間やシフト、人件費を一元管理できるため、作成から給与計算までの業務がスムーズに行えるようになります。
スマートフォン向けのアプリも豊富で、従業員がそれぞれに自分の勤務状況を把握できるものもおすすめです。
従業員自身も給与を把握しやすくなるので「今月これくらいの収入が欲しいからもう少しシフトを増やそうかな」など、積極的に仕事に取り組んでくれるのも魅力です。
スタッフに適切な仕事を割り当てる
スタッフの習熟度やこなせる業務量などに合わせて、適切に仕事を割り当てることも大切です。
ホールでは接客やレジ対応、キッチンでは調理や皿洗いの仕事のバランスが取れているか、また新人とベテランの偏りを確認し、習熟度のバランスを意識します。
ベテランであれば3人で足りる場合であっても、新人スタッフがいる場合はプラス1名にするなどして働きやすい状況を整えましょう。
スタッフひとりに負担をかけすぎないようにすることが、スタッフのモチベーションを左右します。スタッフへの負担を軽減することはもちろん、スタッフのシフトに偏りがないかなどにも配慮しましょう。シフトの不平等さはスタッフの不満につながるため、公平・平等を心掛けているかを見直すことが大事です。
ピーク時は人員を増やして閑散期は減らすのはもちろん、新人スタッフを比較的落ち着いている時間帯に入れてしっかりと指導できるようにするなどの工夫も良いでしょう。
仕事の難易度とスタッフの能力に合わせて割り振ることが大切なので、個人の能力を正確に把握することも重要です。
どんな状況でも円滑に仕事を回せる状況が理想なので、最初からベテランスタッフと同レベルを求めないように配慮する必要があります。
また、スタッフ間の相性や人間関係なども念頭に置きながらスタッフが働きやすい環境を整えましょう。
余裕をもったシフト作成を行う
急な欠勤に備えて余裕をもったシフト作成を行うことも大切です。
シフト希望の提出はギリギリになる人がいることを想定して早めに設定する、希望よりも多めにシフトに入れる日を募っておくなどの方法もあります。
多めに希望日を募る場合は、強制的と捉えられないように日頃から信頼関係を構築し、なおかつ希望日数や時間内に収まるように調整しましょう。
出勤できる曜日や時間を教えてもらうこと、テスト期間などを前もって聞いておくなど、早め早めに対応できるような工夫が必要です。
毎月の売り上げ変動が大きい飲食店などでは、来客が多い時間帯や時期(週末や土日・祝日など)をあらかじめ把握し、多めに人手を稼働を確保する必要がある場合は、スタッフの希望と繁閑状況を照らし合わせて、調整の必要があれば早めに打診・相談を行うことが大切です。
また、スタッフの募集を行う際に学生ばかりに偏ってしまわないように、主婦(夫)層やフリーターなど働く時間帯や頻度の異なるスタッフを集めると良いでしょう。
編集後記
飲食店におけるシフトの組み方は、それぞれの店舗によって創意工夫が行われています。
希望を募る際に「出勤可能な日」「出勤できない日」だけでなく「人手が足りなければ入っても良い日」を聞いておくのも工夫のひとつです。
また、ほかの飲食店でどのような工夫を行っているのか、飲食業界の動向などの情報は「ククロ」でも確認できます。
シフトの組み方次第で従業員の働くモチベーションを引き出すことができるようになるので、自分の店舗に合うシフトの組み方を模索してみてはいかがでしょうか。