イメージ:カフェの入り口で白い枠に囲まれたガラスの扉を開け、店内に笑顔で誘導する女性スタッフ

飲食店でお客様をお待たせしてしまう場合は、普段以上に丁寧な対応をする必要があります。お客様のイライラを解消して、待ち時間をビジネスチャンスに変えましょう。

今回は飲食店でお客様をお待たせてしまったときの正しい対応や注意事項をご紹介していきます。

飲食店がお客様にお待ちいただくのはNG

最初に、飲食店がお客様にお待ちいただくことの問題点から解説していきましょう。

飲食店のテーブル数や従業員数は限られているため、状況によってスムーズにお客様に対応できないことがあるでしょう。当たり前のことでも、そのリスクは充分承知しておく必要があります。

お客様にお待ちいただく対応は店の評価を下げる原因

お客様にお待ちいただくのは、お店の評価を下げる原因のひとつです。

できるだけお客様をお待たせしないように対応するのが理想と考えましょう。お客様が来店して退店するまでの間に、空席待ち・料理待ち・レジ待ちとさまざまな待ち時間があります。お待ちしていただいてる間にお客様はストレスがたまり、とりわけ空腹時はイライラしがちです。

特においしそうな料理や食べ物の匂いで食欲や期待感が高まっているため、お店で長く待たされるとお客様の満足度が低下し、お店の評価が大きく下がってしまうことがあります。

人が待てる時間はさまざまなものの、スタッフの態度やミス、サービスの悪さもストレスの一因です。やむを得ずお客様にお待ちいただくときは、その対応に充分な注意を払いましょう。

お客様がイライラする待ち時間の目安

一般的に、料理の提供でお客様がイライラせずに待てる時間の限界は10分間だといわれています。

ただし待ち時間の限界は、タイミングやお店の状況によっても左右されるのもまた事実です。ましてやランチタイムは仕事の休憩時間に限りがあるため、10分未満待たせるだけでもお客様に迷惑をかけてしまい、リピートをしていただけない可能性があります。

レジ待ちでは、お客様が目の前にいる店員の接客対応が視野に入るためストレスを与えやすくなってしまいます。

空席待ちの場合は待ち時間が長くても、比較的不満を感じない傾向があります。これはお客様が店の混雑を実際に目で見ることで、やむを得ない状況を理解できるからでしょう。

だからこそ混み合っていないのに待たされると、店やスタッフへの不信感が高まります。お客様はできるだけ待たせず、スムーズな対応が求められます。

お客様にお待ちいただく場合の正しい対応方法

待ち時間のイメージ:行列にならんでいる人達の足元

飲食店でお客様にお待ちいただく場合の正しい対応を、シーンに分けて紹介していきましょう。

やむを得ずお客様にお待ちいただくことはあるものの、仕方がないと諦めるのはNGです。イライラさせない気遣いをすることで、満足度の低下を防ぎましょう。

空席がでるまでお待ちいただくときの対応

混雑していてテーブルが空くまでお客様にお待ちいただく場合は、待ち時間の目安を伝えて、了解を求めるのが正しい対応です。

たとえば、「ただいま満席ですが、席の状況的にあと10分くらいで空くと思います。お待ちいただけますでしょうか」など、具体的な数字を出してご案内しましょう。待ち時間を知ることができれば、お客様の不安や不満を減らすことができます。

また待ち時間の目安を知らせることで、お客様に別の店に行くという選択肢を与えることもできて親切です。一見、せっかくのチャンスを逃してしまうように感じますが、時間がなくて食事を急いでいるお客様もいるので、相手の立場に立って対応することで、好印象につながるケースが多いのです。

待ち時間はあくまでも目安なので、正確な時間でなくてもかまいません。日常的な混雑状況や日報から紐解いて、おおむねの待ち時間を割り出して伝えてください。

料理をお待ちいただくときの対応

調理に時間がかかる料理は、事前にお客様に口頭やメニューで説明しておくと丁寧です。口頭の説明の場合は、「こちらの料理は調理からご提供まで30分ほどお時間をいただくのですが、よろしいでしょうか?」と尋ねておけば、時間に余裕がないお客様は別の料理を選ぶことができ、待たせることがありません。

メニューの説明では「このお料理は調理に30分ほどかかるため、先にご注文をお願いいたします」などと記載すればスムーズな料理提供が可能でしょう。

配膳が遅れてしまった場合は、最初にひとこと、謝罪をしておくことをおすすめします。「大変お待たせいたしました」の言葉があると、店が自分のことを考えてくれていたことを実感し、不満を解消できます。

またこのとき、次回来店時に使える商品やお会計の割引券やデザートなどの一品料理をサービスするお店もあります。待ち時間をお客様にお得に感じていただけるようにサービスを工夫し変えることで、お客様の満足度が向上します。

加えて会計のときにもう一度、お待たせしたことへの謝罪とお礼を伝えておくと、お客様にいっそう良い印象を与えられます。

レジで待たせるときの対応

退店する際にレジで待たせてしまう場合は、待っていただくお客様に一声かけることが大切です。レジ待ちの行列に並んで時間がかかると、お客様は「店員に忘れられているのではないか」と不安になります。

お店から無視されたような感情を抱かせないよう、列の後ろで待っているお客様と目を合わせて、待っているお客様がいることを承知していること、次にご案内する予定であることを伝えましょう。

このとき、伝え方にも工夫をすることをおすすめします。お客様に声をかけるときは、「少々お待ちください」より「すぐ伺います」のほうが、前向きで良い印象を与えます。

お客様にお待ちいただく時間を店のアピールに活用しよう

イメージ写真:カフェの店内でくつろぐ女性客。テーブルの上にはカップケーキ、手にはマグカップを持って談笑している

最後に、お客様の待ち時間をビジネスチャンスに変える対策を紹介していきます。

お客様にお待ちいただくだけではない、一工夫を加えることで、お店のアピールに活用することができます。ぜひお店作りの参考にしてください。

空席待ちでおすすめの工夫

最初に、お客様にお待ちいただく場所を見直す必要があります。空席待ちやレジ待ちでお客様にお待ちいただく場所は、せめて快適に整えるのが理想といえるでしょう。

特に空席待ちは時間が長引くケースがあるので、椅子などを置いて環境を整えることをおすすめします。お客様が待つのが少しとはいえ楽になります。

あわせてメニューも用意して提供しましょう。待ち時間を利用してオーダーを取っておくと、その後の待ち時間の短縮ができます。

時間帯によって日常的に店が混雑する場合は、SNSでお店の混雑状況を発信するか、予約サービスを導入するのも選択肢のひとつです。割引などの予約特典が付けばお客様が利用しやすくなり、混雑時の対応によるスタッフの負担軽減にもつながります。

来店はしたものの、時間に限りがあってほかの店へ向かうお客様には、引換券や予約券をお渡しするお店もあリます。サービスの良い店としてイメージアップができ、次回の来店につなげられます。

テーブル席で料理待ちをするときにおすすめの工夫

お客様のテーブルには、待ち時間を有効活用できる工夫が必要です。

オーソドックスなところでは、お客様が自由に利用できる雑誌や書籍を用意するといった方法があります。お子様連れが多い飲食店であれば、ランチョンマット代わりに使えるペーパーに、間違い探しや塗り絵のイラストが描かれているものを取り入れてもいいかもしれません。

テーブルにメニューだけでなく、次回来店に使えるクーポン券や割引券を置いておくのもおすすめです。お客様に「サービスが丁寧でお得に利用できるお店だから、また来たい」と感じていただくことで、リピート顧客の獲得が実現できるでしょう。

また割引特典のある会員登録やLINE登録のチラシやPOPを置いて登録を促すのも、お客様の待ち時間の有効活用に効果的です。登録当日に割引を利用できれば、お客様に「待ったことで得をした」というポジティブな印象を与えることができ、お店のイメージアップにつながります。

料理の提供までに時間がかかってしまう場合は、先にサラダや小鉢をサーブするなどの配慮も取り入れてみてください。

レジ待ちでおすすめの工夫

レジ待ちのスペースには、テイクアウトの商品をディスプレイすることをおすすめします。

また、カプセルトイやお店のノベルティ商品のおもちゃを置いたり、「おひとつどうぞ」とキャンディなどをサービスすると、お子様連れのお客様に喜ばれます。

待ち時間に新たな商品選びを提供することでお客様の満足度が向上するほか、お店の利益アップにも貢献します。

編集後記

お客様を待たせるのが良くないとはわかっていても、時間帯や混雑状況によっては、待っていただかざるを得ないときがあります。

お客様の心情を理解した丁寧な対応で、気持ちよくお店を利用してもらえるよう心掛けておきましょう。