小田急電鉄のロマンスカー

「デザイン」と、事業性と社会性を実現するしくみ=「システム」で都市を豊かに楽しくすることを目指して1992年に設立した「UDS株式会社」(以下:UDS)。
今回はその事業の取り組みの一部である、「まちにひらかれたミュージアムカフェ」についてご紹介します。

2021年4月19日に開業したロマンスカーミュージアムに併設された「ロマンスカーミュージアムクラブハウス」。コンセプトは『まちに開かれたミュージアムクラブハウス』で、ミュージアムの利用者はもちろんのこと、地域の方も自由にご利用いただけるお店となっています。

開業から1年、今後の更なる地域との一体化をめざすため、そこで働くスタッフたちが議論し、試行錯誤を経て新メニューの開発を開始。
その過程で気づいたことやこのお店の魅力、取り組みの詳細、そして今後の展開についてご紹介させていただきます。

<企業説明>

UDSの企業理念

UDSは、“世界がワクワクするまちづくり”をビジョンに、ホテルや商業施設、オフィスや住宅等の企画・設計から運営までを一貫して手がけている企業。仕事を楽しむことを基本姿勢に、「デザイン性」「事業性」「社会性」を常に意識した事業を展開しています。小田急電鉄株式会社のグループ会社。

企画・設計・運営が一体となり、地域とそこに住まう人たちと、ワクワクするまちづくりをすることが同社の目指すところ。まちの魅力を発信し、オンリーワンの空間を自分たちの手で創るという想いの下、「こんなものが欲しかった」とご利用する人々に思ってもらえるような、さまざまな世代の人々が体験を共有し感動できる場所となるような場をつくりだしてきました。

この空白の中に入るのは、「たのしい」「また来たよ」「ありがとう」など、同社が掲げる幾重もの目標、そしてここで働くスタッフ各々がめざすところです。
それぞれの働く想いが異なるからこそ、働く仲間たちからもさまざまなフィードバックを得て企画に活かす。この「エンドユーザー視点」を還元できるサイクルが重要であり、同社ならではの強みだと思います。

UDSでは常に新しい企画が動いおり、同社の事業活動は、日本国内にとどまらず、世界も見据えた多彩なプロジェクト企画も進行中です。

UDS株式会社のHPはこちら

UDSの企業イメージ画像

※HPより引用

“子ども”も“大人”も楽しめる、小田急電鉄のロマンスカーミュージアム!

小田急電鉄が小田急線海老名駅隣接地に開業したロマンスカーミュージアムは、車両展示をはじめとしたさまざまなコンテンツを通して、小田急電鉄の歴史を伝えていくとともに、同社に親しんでいただく場を目指した施設です。

そしてそこに併設されている「ロマンスカーミュージアムクラブハウス」は、ロマンスカーを愛する人々、小田急線に親しみのある人たちなどが集う場所(クラブハウス)となるように、という思いを込めたミュージアムカフェです。ロマンスカーミュージアムのお客さまはもちろん、地域の方も気軽にご利用いただけるお店となっています。

ロマンスカーミュージアムクラブハウスの内観

※HPより引用

『まちに開かれたミュージアムクラブハウス』というコンセプトに至ったのは、小田急電鉄というまちに密着している企業だからこそ。小田急線の歴史に触れることで、より地元・地域に愛着を持ってもらえるような場所になってほしいという願いが背景にあります。

オープンは2021年4月19日。
まさにコロナ禍真っ只中での開業となり、ミュージアム自体にも人数制限がありましたが、開業当初から鉄道ファンを中心に多くの方々にご利用いただいています。

ロマンスカーはかつて、“走る喫茶室”と呼ばれ、電車内で従来のワゴンサービスではなくシートサービスで、日東紅茶やクールケーキ(※冷凍したロールケーキ)などが提供されていたことでも有名です。
それを再現したことにより、鉄道ファンの方々は大いに喜んでいるそう。お子さま連れのお客さまも多く、ロマンスカーの容器に入った「GSEセット」や「飲める車両図鑑」など、独自の人気のメニューも好評を博しています。

ロマンスカーの容器に入った「GSEセット」

※ロマンスカーの容器に入った「GSEセット」

「飲める車両図鑑」

※「飲める車両図鑑」

ロマンスカーミュージアムクラブハウスではコラボレーションの取り組みも豊富で、箱根ガラスの森美術館や江ノ島水族館などと、ロマンスカーミュージアムが一体となったイベントも多く実施しています。

箱根ガラスの森美術館店内展示とクラブハウスでのコラボドリンク

※箱根ガラスの森美術館店内展示(左)、クラブハウスでのコラボドリンク(右)

開業してから1年!よりコンセプトを意識した新メニューが誕生!

開業して1年が経ち、ミュージアムの利用者には、同クラブハウスへも多く利用されていましたが、より地域の方に利用してもらえるような場をつくっていこうと、『まちに開かれたミュージアムクラブハウス』というコンセプトに立ち戻りました。

「もっと地域の方の滞在時間を長くしたい」
「ロマンスカーを通じてより小田急沿線を知ってもらいたい」
「そして、このまちを好きになってもらいたい」

その全てを体現するため、今回、新たなメニュー作りに挑戦
“このまちに住んでいる、身近なスタッフがワクワクするようなメニューとは何だろう”というアイディアを出し合いました。

働く自分たちが自信をもって提供できるものを通して、地域の生産者の方々を巻き込みながら、よりたくさんのまちの笑顔を作っていきたいという想いから、一つずつ商品を構築していきました。

このような試行錯誤を経て開発されたのが「RMCバーガー」です。(※RMC=ROMANCECAR MUSEUM CLUBHOUSE)

RMCバーガー

▼地元・海老名の名産でもある、イチゴを酵母にしたバンズ開発
▼「湘南とまと工房」でつくられた無添加トマトソース

など、地産地消をテーマに地元の生産者にご協力いただき、地元の素材をふんだんに使用したメニューとなっています!
さらに、神奈川県産の小麦を使ったバンズを使用した「RMCゼロミートベジバーガー」や、町田シナモン(シナモンだけで作られた町田生まれのシナモンドリンク)など沿線要素を入れ込んだ「RMCスパイスカレー」など、いくつものコンセプトメニューがこの度誕生しました。「RMCスパイスカレー」は、“走る喫茶室”と呼ばれた時代のかつてのロマンスカーをイメージしたそうです。

RMCゼロミートベジバーガーとRMCスパイスカレー

※RMCゼロミートベジバーガー(右)、RMCスパイスカレー(右)

今後のロマンスカーミュージアムクラブハウスが目指す、未来の在り方とは

開業から1年を経て「ロマンスカーミュージアムクラブハウス」が感じているのは「地域に働きかけることの重要性」
よりまちに開かれた店舗にしていくためには、お店の環境を整えてお客さまを待っているだけではなく、積極的にまちや地域に向けた提案をしてくことが重要であるというものでした。

地域と一緒に作り上げていくだけでなく、今後はクラブハウスをきっかけにミュージアムを好きになっていただくこと、ひいてはまちを好きになっていただくきっかけになるという、UDSならではの“お店のあり方”をめざしていきます。

ミュージアムで開催されるイベントとも連動しながら、クラブハウスでも近隣の方々が参加しやすいワークショップを開くなど、まちとミュージアムを繋ぐ存在であり続けたいとのことです。

UDS株式会社としての今後にも注目

UDSのローカルレストラン事業部は店舗運営を中心とした事業部で、「食でまちにきっかけを創る」というミッションのもと国内6拠点を運営。店舗運営以外にも、商品開発、店舗開発のコンサルティングなども行っています。

それぞれのまちにある、そこにしかない価値や土地の根源、人を見つけ出し、食を通じて暮らす人・訪れる人の生活に新しい選択肢を作っていくスタイルだからこそ、拠点それぞれがオリジナリティーを持ち、地域の価値創造や発展に貢献することを目指しています。

今回の「まちに開かれたミュージアムクラブハウス」は、同社でも新しいスタイルの店舗開発でしたが、ミッションに沿いながら、ロマンスカーの魅力をどうまちと繋げていくかという点を考え抜いた店舗開発になったとのことでした。

プロジェクトはまだ始まったばかり。
国内には多くのミュージアム施設がありますので、今後もそういった施設とまちを「食」で繋げられるような店舗作りも目指していきたいそうです。

UDSのイメージ画像

※HPより引用

また、新たなビジネスモデルづくりにも挑戦。
例えば、土壌や風土などそこにしかない価値を活かし、日本の食文化を世界に輸出させる、新たな食の「Made in japan」をつくる。そのまちにある「食」で地域活性を目指すようなプロジェクトにも取り組んでいるとのことです。

まとめ

今回は、UDS株式会社が手掛ける、ロマンスカーミュージアムに併設されたカフェ『ロマンスカーミュージアムクラブハウス』の1年間と、今後の取り組みについてご紹介しました。コンセプトである「まちにひらかれたミュージアムカフェ」をどのように体現していくか、スタッフの皆さんの日々の試行錯誤を聞くことができました。

“世界がワクワクするまちづくり”をコンセプトに、まちの魅力を発信し、オンリーワンの空間を自分たちの手で創る。今回のように、同社が手掛ける事業の一つ一つが新しい事業であり、前例を作っていきます。新しいビジネスモデルの構築といったことにも挑戦し続ける姿勢や今後の同社の取り組みに、ぜひ引き続き注目してみてはいかがでしょうか。

UDS株式会社のHPはこちら


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