片岡さんは約10年間、自動車板金の仕事をされていましたが、30歳のときに飲食業界の門をたたきました。大阪のうどん有名店「三ツ島真打(みつしましんうち)」で約4年間、修行を積み2013年6月に大阪・西区阿波座で「うどん家あぶく」を開業されました。

 独立開業うどん家あぶく片岡さん

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やっぱりうどんが好きなんだと再確認

片岡さんの経歴

▼20歳~ 岡山県で自動車板金の仕事に就業

▼30歳  北海道にある親戚が営むうどん店で働く

▼31歳~ 大阪府門真市「三ツ島真打」で修行スタート

▼35歳 「うどん家あぶく」を独立開業!

 異業種から飲食業界に飛び込む

——–もともとは自動車の板金の仕事をされていたとお伺いしました。なぜ、飲食の道へ飛び込まれたのでしょうか?

片岡さん:ぼく、岡山県出身なんですが地元で20歳から約10年間、自動車の板金の仕事をしていました。30歳を過ぎたときにふと、「本気で自分がやりたいことってなんだろう?」「自分が本当に好きなことってなんだろう?」と考えるようになって・・・。

そんな時にふと、うどんが好きなことを思い出したんです。運がいいことにちょうど、北海道にいる親戚がうどん店を営んでいたので働かせてもらおうと、思い切って仕事を辞めて半年間、うどんのイロハを学びました。

“大和製作所”という製麺機の販売や麺屋の独立開業を支援する会社があって、そこの“大和麺学校”で勉強したりも。地元岡山で独立しようと物件を探していたのですが、自分が思い描いている理想の物件に出会えず・・・。これはもっと修行して、出直して来いっていう意味なのかなと思い、改めて修行先を探していました。

直談判し、大阪の人気店で武者修行

——–なるほど。そんなときに大阪、門真市にある「三ツ島真打(みつしましんうち)」さんに出会われたのですね。どうして、こちらの店を修行先に選ばれたんでしょうか?

片岡さん:日本でうどんが有名なのは香川県です。でも、香川県のうどんは「おいしさ」よりも「手軽に食べられるソウルフード」なんです。世間ではおいしいうどんは香川県という認識ですが、ぼくは大阪のうどんが日本一うまいと思います。

麺はもちろんですが、大阪の人って出汁にも徹底的にこだわるでしょ?だから麺と出汁のバランスが絶妙で、おいしいんですよ。

大阪の中でも、ずば抜けておいしいと有名な「三ツ島真打」で修行したくって、飛び込みで大将の山本さんに直談判しました。山本さんは「とりあえず、1週間働いてみろ」と受け入れてくれました。(※「三ツ島真打」山本さんの記事はコチラへ

実際に働き始めると、半年間、うどんをかじったことがあるとはいえ、まったくなにもできなくって凹みまくり・・・。きっと1週間後には帰れと言われるのではないかとびくびくしていました。

でも、これからうどんで食っていきたいという心意気が大将に伝わったのか、本格的に修行させてもらえるように!それはそれは嬉しかったですよ。

それから4年間、寝ても覚めてもうどんのことばかり考え、がむしゃらに大将のもとで働き続けました。仕事においては本当に厳しい大将でした。うどんの打ち方や出汁の取り方は毎日見てるのでイヤでも覚えられるんです。

もちろん、調理技術は大切なことですが、それ以上にお客様に対する心くばりをしっかりしろと言われました。もうこっぴどく言われて悔しいこともたびたびありましたが、自分のために言ってくれてるんだ!これは愛のムチだ(笑)と思いましたね。

大将は仕事を離れると、とても穏やかでやさしい人柄なんです。このバランスのおかげで厳しい修行にも耐えれたのかなと思います。また、ベテランの大将だけど、とても研究熱心な方です。その熱い姿勢は尊敬のひとことです。

うどん家あぶく三ツ島真打

独立を決意してからも大将が支えてくれた

——–そうなんですね。独立はいつから本格的に考えられていたのですか?

片岡さん:三ツ島真打で修行をはじめて3年が過ぎたころからです。徐々に独立したい思いが強くなり、大将にもその思いを打ち明けました。快諾してもらえ、独立開業に必要なノウハウ、たとえば物件探しを手伝ってくださったり、食材の仕入れ業者を紹介してくださったり、とサポートしてもらいました。

うどん家あぶく片岡さん

——–物件探しはうまくいきましたか?

片岡さん:なかなかしっくり来る物件に出会えず、悶々とすることもありました。この場所を見たときにうまく言葉にはできませんが、ここで開業したい!と強く思うように。しかし、先に決めてた方がいたので諦めてたんです。

で、また他の物件を不動産屋さんに見せてもらうも、やっぱりいい物件に出会えず。そんなときに、朗報が!諦めていたここ、キャンセルが出たと!そりゃ、即決です。

——–そして、2013年6月に「うどん家あぶく」を独立開業されたんですね。オープンからなんと数日目にして、テレビ取材を受けられたお聞きしました。

片岡さん:そうなんです。それも大将のおかげなんです。もともと、大将の店が取材のオファーを受けたのですが、大将が「弟子が店を出すから取材ならそっちに」と言ってくださって。

取材のおかげもあり、反響もよく店の外までお客さんで大行列。たくさんのお客さんに、ぼくのうどんを食べてもらえたことはもちろん嬉しかったんですが、大将のしてくれたことには本当に感謝です。

うどん家あぶく外観

 

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安心・安全で、子どもからお年寄りまで楽しめるうどん

片岡さん:安心安全で、目でも舌でも楽しくおいしいうどんを提供することを心がけています。食材や調味料はできるだけ無添加のものを使っています。

また、盛り付けにもこだわっています。天ぷらは大阪ではめずらしく、串にさして皿に盛っています。「串かつ」ならぬ「串天」です(笑)。これは開店を目前に控えたときに、なにか斬新なことでお客様をびっくりさせたいと試行錯誤していたときに生まれたアイデアです。

ぼくの思惑どおり、「食べやすい!」とお客様の反応は上々でした!

 うどん家あぶく料理

独立外業見出し_08やりたいこと、なんでもできる!

片岡さん:自分のやりたいことがすべて叶うことですね。でも、責任はすべて自分に降りかかってきますが、どんなことにも果敢に挑む姿勢が大切だと思います。

独立外業見出し_11人材の定着が思いどおりにいかない

片岡さん:今の悩みは人材の定着です。開店当初、厨房を一緒に切り盛りしていたアルバイトスタッフがいて、正社員登用しようと思っていた矢先に退職・・・。いまは、ぼく以外は全員アルバイト・パートスタッフです。

もちろん、みんな頑張って働いてくれているのですが、より近い関係性で信頼し合い、一緒に切磋琢磨していけるスタッフがほしいと思っています。でも、なかなかうまくいかないのが現状です。

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うどん文化を世界に根付かせたい!

片岡さん:ゆくゆくは北海道に店を出したいんです。北海道ってうどんを食べる文化が薄いんですよ。寒い北海道で、温かい出汁を茹でたてのうどんで食べてほしくって。

もっといえば、ニューヨークに進出したいです。いま、世界中で空前のラーメンブームじゃないですか。ラーメンの次はうどんを世界中に広げたいと思います。おしゃれなニューヨーカーにうどんの美味しさを定着させたいです。

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調理技術以外にも大切なことが山ほどある

片岡さん:ざっくりと将来は独立したいって考え始めた時点からどんなコンセプトで、こんな内装で、など方向性を決めておくことが大切だと思います。

あと、事務的なことは勉強しておくことです。たとえば、役所に出す書類の書き方、水道やガス、電気の開栓、開設の仕方、スタッフを雇用する際の給与計算の仕方、などなど挙げればキリがありません。

料理以外のこと、いわばマネジメント業務をしっかりと学んでおかないと本当に苦労します。

 うどん家あぶく内観

編集後記

やるからにはとことん、突き詰める

車の板金業から一念発起し、飲食業界に飛び込まれた片岡さん。迷いや不安はまったくなかったそうですよ。やるからにはとことん突き詰めようと、厳しい修行を積まれました。独立開業したいなら、どんな苦労も経験すべきだとおっしゃっていました。師匠のもとで経験されたことは今すべて出し切り、さらなるチャレンジをし続けたいとのことです。(取材、記事作成・編集/松尾)

<店舗情報>
「うどん家あぶく」
大阪市西区京町堀3-3-30
06-6447-2639
営業時間/ランチ11:30~14:30、ディナー17:30~21:00
定休日/月曜日