イメージ写真:木のぬくもり感じるカフェレストラン店内で、男女のスタッフが2名並んでこちらに向かって立っている

飲食店において、人材の確保は重要な課題のひとつです。人手不足が労働環境の悪化やサービスの質の低下に直結することから、優秀な人材を求めている店舗は多くあります。

優秀な人材の確保や定着率を向上させるうえで重要になるのが「新人教育」です。

では、どのような方法で新人教育を行えば、早期離職を防ぎ、優秀な人材を育成することができるのでしょうか。

この記事では、新人スタッフが辞めてしまう理由や新人教育の重要性と、新人教育を成功させるためのポイントについて解説します。

新人スタッフがすぐにやめてしまう理由

飲食業界はスタッフの入れ替わりが激しい特徴があり、人材を確保したいにもかかわらず離職率が高い傾向にあります。

なぜ新人スタッフがすぐに辞めてしまうのか、一般的に原因になりやすい要素と辞めてしまう理由について紹介します。

仕事を教えてもらえない

先輩スタッフの業務が忙しい、スタッフ間のコミュニケーション・連携がうまくいかない、仕事の仕方を教えてもらえず不安になり辞めてしまう新人スタッフも多くいます。

新人スタッフを定着させるには丁寧な指導で不安を解消し、働きやすい職場環境を整えるなど、早い段階で仕事を身につけられるように指導していく必要があります。

慢性的な人手不足

飲食業界においては「常にどこのお店も人手が足りない」という課題が業界全体の課題としてしばしば取り上げられてきました。

そのため、新たにスタッフを採用したとしても、教育よりも店舗運営業務を優先せざるをえなくなり、結果的に十分な教育・ケアができず、退職に至ってしまうような例もあります。

飲食店の新人教育の重要性

「ミス」のイメージ写真:レストランのキッチンで黒いコックコートを来たシェフが部下を叱っている。手には失敗した料理の皿を持ち、叱られているスタッフはしょんぼり。

ここからは、飲食店で新人教育を行うことの重要性について解説します。新人教育に力を入れることよって、どのようなメリットが得られるのでしょうか。

実際に自分の店舗で新しく人材を採用してもすぐに辞めてしまう場合、新人教育の仕方にも起因する可能性があるので注意しましょう。

新人がやめることは店にとって大きな損失

新人スタッフがやめることは、店舗にとって大きな損失になります。当然ながら、採用や新人教育にかけたコストが無駄になるうえに、また新しくスタッフを採用しなければならなくなるためです。

また、スタッフが抜けた分のシフト組みにも大きな影響が出るため、新人が早期に辞めてしまうのは避ける必要があります。

スタッフの質は売上に直結する

新人が育っていくということは、当然ひとりでこなせる業務量やスピードがアップするので、業務の生産性も向上していきます。

また、しっかりと教育することで、スタッフを定着させることができれば、採用にかかる人件費や求人広告費の削減にもつながっていきます。

スタッフの質が高い店はサービスの質が高いことから顧客満足度も高くなり、売上アップも見込めるでしょう。

つまり、飲食店にとって新人育成とは経営上の重要課題であり、収益を伸ばすための成長戦略のひとつと認識する必要があります。

すなわち、「新人教育でいかにスタッフの質を向上させられるか」と「お店の売り上げ」は、強く結びついていると言えるでしょう。

飲食店で新人教育をする際のポイント

「疑問」のイメージ写真:水色の背景の手前に立つベージュのエプロンをつけた外国人女性が顎に指をあてながら考えている。

飲食店で新人教育を行う重要性はわかっていても、具体的にどのようにして教育すれば良いのかわからない場合もあるかと思います。

ここからは、飲食店において新人教育を行う際のポイントやスムーズにオペレーションを身につけてもらうためのコツについて紹介します。

ステップを踏んで教える

新人教育は、経験の有無や資質に合わせて段階的に行うのが効果的です。最初に先輩がお手本を見せて、うまくできたときのイメージを印象付けることで、成功をイメージしながら取り組むことができます。

そして、その業務の必要性や意味などを言葉で教え、成功するためのコツやポイントなども伝えましょう。

その後、実際に新人スタッフにやらせてみて、修正点などを指摘して徐々にうまくできるように指導します。

このとき、うまくできたときや良いところをしっかりと褒めて、業務に対するモチベーションを引き出すことが大切です。

基本を反復して教える

新人教育は一度教えて終了ではありません。覚えて業務に慣れてくると、自分で独自に工夫して基本のやり方から外れてしまいがちになります。

そのため、基本を繰り返し教えたり、定期的にやり方を見ながら基本から外れていないかを確認したりして、その都度、軌道修正を行うことが大切です。

独自に工夫するのは良いこともある反面、サービスのクオリティが下がってしまう可能性もあります。

店の雰囲気を変えてしまったり、スタッフによってサービスの質が異なったりするのを防ぐためにも、基本は重視しましょう。

また、指導する際には具体的にわかりやすい言葉で教えることが大切です。指導を通してコミュニケーションを図り、繰り返し教えながらスタッフ同士で良いムードをつくっていきましょう。

関係性が良好になれば、新人スタッフから先輩スタッフに声をかけやすくなり、スタッフ間の雰囲気が良くなるメリットもあります。

店の「方針」「理念」をしっかりと教える

新人教育を行う際には、店独自の「方針」や「理念」をしっかりと教える必要があります。

これは、細かい業務内容だけでは不十分な、考え方やサービスを行う姿勢などを培ううえでも重要です。

店の方針や理念を理解することで、業務ひとつひとつの意味を理解してクオリティの高いサービス提供を目指せるようになります。

他店との差別化ができるため、自店ならではのサービスの強みを生み出すことにもつながるのもメリットのひとつです。

積極的に良くするためのアイデアを自分で考えるようになるなど、スタッフひとりひとりのモチベーションも高くなります。

また、店独自の細かいルールができた背景や必要性などへの理解が深まるため、スタッフが自然に理念や方針に従って行動を起こせるようになります。

飲食店の新人教育におすすめの取り組み

初心者のイメージ写真:茶色のエプロンをつけた女性スタッフが若葉マークを手に持ち、指さしてこちらを向いている

ここからは、飲食店の新人教育におすすめの具体的な取り組みや、新人教育に役立つ指導方法について紹介します。

マニュアルを作る

マニュアルを作成して、新人スタッフが業務の流れややり方を把握しやすいように工夫するのもおすすめです。

マニュアルを作成しておけば、指導するスタッフの負担を軽減できるうえに、指導者によって指示内容が異なるようなことも発生しません。

また、新人スタッフ側も自分でマニュアルを見ながら仕事を覚えていくことができるため、不安の解消にも役立ちます。

マニュアルを作成する際には、漠然とした慣例やベテランスタッフの経験に依存しがちだった業務を平準化するためという前提に基づいて言語化することが重要です。

マニュアルをつくることでどの社員でも一定レベルのオペレーションクオリティが出せるように、写真やイラストなども交えて新人スタッフにもわかりやすいものを作成しましょう。

参考:クックビズ総研「飲食店に必須!自店舗に合ったマニュアルの作り方のポイントを解説

このような場面ではどうすれば良いか具体例を記載したり、作った後にきちんと理解できているかを確認してフォローしたりするのも重要です。

LINEなどで共有するだけでなく、いつでも確認できるようにスタッフルームに掲示するなど、スタッフが確認したいと思った時にすぐ確認できるような方法を取る必要があります。

チェックシートをつくる

覚えて欲しい業務のリストを作成し、チェックシートとしてできていること、これから習得すべきことを可視化するのもおすすめです。

チェックシートの項目に優先度をつければ、さらに効率よく業務の進め方について身につけることができるようになります。

また、新人スタッフ自身が習得したスキルを明確に把握しやすい点も、チェックシートを活用するメリットです。

指導するスタッフにとっても「教えたと思っていたのにきちんと教えていなかった」というような、指導漏れを防ぐうえで役立ちます。

複数人のスタッフで新人教育を行う場合にも、教育状況の共有が行いやすくなるので、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

インセンティブ制度を導入する

インセンティブ制度を導入して、新人スタッフのモチベーションを引き出す方法もおすすめです。

基準を設けてクリアするごとに時給がアップするなど、たとえばスキル習得が自身の収入増に直結するような仕組みづくりはいかがでしょうか。

目標が明確になるため、やる気を出して積極的に業務に取り組めるようになるのもインセンティブ制度の特徴です。

インセンティブ制度で重要になるのは平等に評価することなので、明確な基準をスタッフ全員に提示する必要があります。

誰もが納得する評価になるように贔屓することがないよう、スキルや業務スピードなどの習得基準を設定する必要があります。

トレーナー制を導入する

仕事全体に関する習熟度がある程度身についたら、トレーナー認定して新たな教育者ポジションについてもらう方法もあります。

教わる立場から教える立場へ変わることで、経営者や店長の指導負担が軽減できる点がメリットのひとつです。

スタッフが指導する立場に就く自覚や責任感をもつようになり、指導方法を工夫するなどのやる気を育てることにもつながります。

また、新人だけでなく教育担当者を充実させることも大切です。トレーナーポジションの負担が特定のスタッフに集中しないように配慮し、トレーナー認定と時給アップを連動させるのも効果的でしょう。

スタッフに目的・目標をもってもらうことで、新人スタッフのみならず従業員全員が長く働くメリットを感じられるようにすることが重要になります。

編集後記

新人スタッフの定着率が低かったり戦力に育つまでに時間がかかったりするようであれば、新人教育方法の見直しを行ってみてはいかがでしょうか。

働きやすい環境を整えて長く働く魅力や目標を明確に提示することで、短期間で新人スタッフが辞めてしまうのを減らせるに違いありません。

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