業界イメージの向上は、スタッフのため不可欠!プロ野球球団を買える業界を目指す!

藪ノ:日本人は食にこだわる国民性だから、食のクオリティも実に高い。なのに働きたくはない。これはやはり「3K」のイメージがそうさせるのでしょうか?

大倉氏:そうですね。ただ、飲食業界の会社がプロ野球球団を持ったりすれば、そのイメージも随分変わると思います。もしくは経団連の会長、副会長クラスを飲食業界から出すとか。

藪ノ:なるほど!飲食業界のリーダーは、業界の外に出て活躍する必要があるということですね。

大倉氏:残念ながら経済界でも未だ飲食業界の地位は低いし、政治力もない。だからイメージ払拭も難しい。経営陣は自社の労働環境改善の他に、他業界外への働きかけをもっと積極にやっていく必要があると思います。

簡単ではないけれど夢は大きく!プロ野球球団はいずれ持ちたいと夢見ています

藪ノ:弊社でも今、2016年を目標に上場を考えています。上場することで人材業界や飲食業界にインパクトを与えることが出来るのでは?という思いからです。

鳥貴族様も上場を目指していると伺いましたが、その狙いはやはり、業界イメージの底上げですか?

大倉氏:そうですね。業界のイメージアップは創業当時から目指してきました。実は創業時、誘いたいメンバーはもっといたのですが、その方達のご両親から反対され、断念した経験があります。今の専務や常務も当時は、同様に反対されました。全ては飲食業界のもつ「3K」のイメージが原因。

親御さんにすれば、とてもご心配だったのでしょう。反対されてもなおついてきてくれるスタッフのためには、業界のイメージ向上が絶対不可欠。その手段のひとつが上場だと考えています。

藪ノ:上場は単なる資金調達のため、ではないのですね。

大倉氏:これは某リサイクルショップの社長様から伺った話ですが、同社が上場した際、同業他社から賞賛の嵐だったそうです。「ようやってくれた!」「業界を見る周りの目が変わった」と。その嬉しかった経験を同社長様が話して下さったのを思い出します。

藪ノ:上場もスタッフの頑張りに応えるひとつのカタチなのですね。

キャリアを積んで「単独独立」、それ以外の選択肢を示せるのも企業力

大倉忠司
藪ノ:飲食業界では、独立志向のある人も多くいますね。でも飲食店で独立開業するには、味だけでなく仕入れ力、採用力なども必要。今の時代、独立するには相当な覚悟が必要だと思うのです。

これからは「単独での独立開業」以外にもっと選択肢があって良い、そんな気がしていますが、どうお考えですか?

大倉氏:鳥貴族のフランチャイズオーナーは、現在14社。その半分くらいが元々、直営店の店長です。

以前はFCオーナーになれる資格設定を、<店長経験3年以上、自己資金300万円>としていました。しかし飲食業界も厳しくなった今、より確かなノウハウと体力を身につけて独立してもらうために<マネージャー経験5年、自己資金500万円>と、FCオーナーの資格設定を変更したのです。

藪ノ:制度変更後、スタッフさんたちは、どんな動きをみせていますか?

大倉氏:結果的に単独での独立開業ではなく、社内でのキャリアアップを望む人が増えてきました。しかもただ単に、独立への厳しさに尻込みしているだけでは無い様子なのです。

<飲食がすき>というより<鳥貴族が好き>というスタッフがとても多い弊社。独立開業するより、鳥貴族という会社の中でキャリアを重ねる、そこにやりがいを感じる人がとても増えてきたのです。世襲しない鳥貴族でなら、キャリアアップ出来る未来がリアルにイメージ出来るのかもしれない。私も入社してくるスタッフには、「社長を目指せよ!」と言うくらいですから(笑)。

藪ノ:やりがいを持って頑張る人が独立せずに、社内に残っているのですね!頼もしいことです。

よい店長=カリスマ性のある人ではない。鳥貴族のカタチを守れる「管理力」こそ店長力!

藪ノ:採用は実際、各店長の判断に大きく左右されますよね。
同じチェーン店でも、店長が違えば労働環境に差も出てきがち。この状況をどう回避していますか?

大倉氏:大前提として、店長の<属人的な力>で売上が左右されない店作りを心がけています。店長が替わっても大丈夫な店舗力を磨くこと。

もちろん、店長は誰でもいいわけじゃない、やるべきことはしっかりあります。<QSC>をしっかり管理出来ること。店長の人柄ではなく、「業態力」でお客様を掴むのです。カリスマ店長に頼ると、全国に同じクオリティのチェーン店は絶対に展開出来ません。

藪ノ:その管理が行き届かず、状況が悪くなりはじめたお店は、どうやって早期発見しているのですか?

大倉氏:マネージャーやミステリーショッパーなど、いろんな角度からチェックしています。
店長はこちらの決めた経営戦略に基づいて、「しっかりとした店」が運営できるよう管理すること。「しっかりとした店」とは、鳥貴族の業態力を、正しくお客様に提供出来る店のこと。その管理力を磨くべく、指導を重ねていくのです。

藪ノ:店が悪い方向に走っていくということは、店長に依存しすぎているということなのですね?

大倉氏:鳥貴族に限って言えばそうですね。属人的な魅力で引っ張る必要はないのです。
個人の力でお客様を呼べても「じゃあ、その店長がいなくなったらどうするの?」と。

カリスマ性でなく、<QSC>をしっかり浸透させられる管理力・指導力が店長には必要。「個性的な接客」「個人の魅力」などで、店を引っ張っていくスタイルが<NO>なのです。

単独業界で勝負!でもライバルは同業じゃない。意識すべきは、コンビニなどの他業種店。

藪ノ:高齢社会、若者の減少など、世間の<アルコール離れ>を唱える声が頻繁に聞かれます。
鳥貴族様に社名変更し、これからも単独業界でやっていく決意をされたということは、今後の『アルコール業界』に、まだまだ伸びしろはあるとお考えですか?

大倉氏:もちろん。だってアルコールを飲む人がゼロにはならないでしょ(笑)
よく『若者が減っているのに、若者を相手に商売していて大丈夫?』と言われますが、私からすれば全く問題は無い。若者はゼロにはならないから。

たぶん、弊社のスタッフは「若者ってアルコール離れしてるのですか?」と思っているはずですよ。
それくらい鳥貴族のお客様はアルコールを飲んで下さっています。

藪ノ:では鳥貴族様にとってのライバルとは?

大倉氏:同業より、むしろライバルは他業界。例えばコンビニ。安いお酒も安い焼き鳥も売っているでしょう?
だけど『鳥貴族なら、コンビニと同じ値段でビールが飲める。焼き鳥も安くて美味しい。だったら鳥貴族に行こうか』と、ならなければ勝ち目がない。

もっと言えば携帯会社もライバル。携帯の使用料がふえれば、外食に使うお金が減るでしょう?同業だけをライバル視していては駄目なのです。

藪ノ:確かにコンビニも進化してますよね。そういえば、私も先日の出張の際、コンビニと鳥貴族どっちにしようか一瞬迷いました!まさに社長の読み通りの行動パターンですね(笑)

大倉氏:最近、飲食店には行きますが、サービス内容はさほど見ていません。見て真似してもしょうが無い。お客様のニーズを見る、そのほうがよっぽど大事です。

藪ノ:今後は海外への展開も考えているのですか?

大倉氏:まずは国内で1000店舗達成してから、と考えています。チェーンストアを目指しているので、インフラをもう少し整備してから行きたいのです。いい意味で海外の景気が落ちてからいこうかな、とも思っています。むしろ慌てる必要はありません。

この世界で生きるには、大きな夢と強い目標をもって頑張ること。そうすれば自ずと未来が変わる。

藪ノ:最後に、このクックビズの求人サイトをご覧になっている求職者の皆さんへ、メッセージを頂ければと思っています。サイトのユーザーの方は20〜30代くらいで、飲食人としてまだまだキャリアを積んでいる過程の方がほとんど。

中には今後、キャリアを確立できるか不安な方、もしくは違う業界へ進もうか悩んでいる方も多々いらっしゃいます。迷いや不安と戦いながらも、前向きに頑張る求職者の皆さんに、この業界で生きていく秘訣を教えて頂けますか?

大倉氏:飲食業界に入ったからには「起業するぞ!」というくらいの気持ちを持ってやって欲しい。新規参入壁が少ない飲食業界。せっかくこの業界に入ったのだから、志を高くもって頑張って欲しいです。この世界は志の大きさ、意思の強さによって、幸せな人生を送れるか否かが決まってくるものです。飲食店の未来を支える皆さんに期待します!

編集後記

大倉忠司

約1時間に渡った今回の取材はとても充実した時間でした。社内だけでなく、社外にも働きかけることが、飲食業界の地位向上に繋がる。
飲食業界を想い、大きな目標と夢に向かって、創業26年を迎える今もなお走り続ける大倉氏。これからの飲食業界の今後に明るい展望をみた貴重な1時間でした。
(取材:クックビズ藪ノ)

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