
飲食店を経営していく上で、重要なものといえば「味」はもちろんですが、それと同等以上に重要なものが「接客」です。接客の良し悪しでそのお店の評判が決まってしまうほど、接客は非常に重要なものになっています。
料理の味が最高に良かったとしても接客をおろそかにしていれば、繁盛店になることは難しいでしょう。
そこで今回はお客様に満足していただける、気持ちの良い接客はどのようなものなのか、どのようにしてその接客術をスタッフに反映していくのかを解説します。
目次
飲食店の気持ちの良い接客とは?
お客様にとって気持ちの良い接客とはどのようなものなのでしょうか。ポイントを押さえて接客を行うことで、お客様に「また来たい」と思っていただけるでしょう。そして次回の来店へつなげることができます。
お客様に満足していただける、気持ち良い接客のポイントを紹介します。
お客様の状況を察して、最適な接客をすること
お店が空いている・空いていないに関わらず、常にお客様の状況に気を配る必要があります。そしてその状況に応じて、お客様の求められている接客サービスを行うことで気持ちの良い接客に繋げることができるでしょう。
しかし、お客様によって、立地、業態、価格帯によっても求められているサービスが異なっています。積極的にお声がけをし、気を配って対応をしていたつもりがお客様にとってはそれが過剰な接客サービスと感じてしまうこともあるでしょう。そのため状況やお客様に応じて臨機応変に対応する必要があります。
またどのお客様にも共通して好印象を持ってもらえるのがさりげない気遣いです。
たとえば、グラスが空いていればドリンクを伺う、お冷を注ぐ、空いたお皿があればすぐに取り下げる、お客様がメニューを見ていればオーダーを伺うなどです。このようにさりげなく、お客様に気遣った接客を行っていくことも気持ちの良い接客に近づく一歩です。
基本的な接客指針
飲食店を運営していく上での基本は「QSC+H」といわれています。これにはそれぞれ意味があり、「Q= Quality」「S= Service」「C= Cleanliness」「H= Hospitality」とあらわされます。これらを身に着けることでお客様に好印象を持っていただけ、それに伴い店舗全体の印象を上げることができます。「QSC+H」についてそれぞれ紹介します。
Quality(クオリティ)
お客様に提供する飲食物の品質をクオリティといいます。飲食物の品質とは、メニューに記載のある商品と同様のものが提供されているか・日によって味や量にムラがないかということです。その品質が保たれていなければお客様の満足度は低下し、次回以降の来店は難しくなるでしょう。
Service(サービス)
スタッフがお客様に対して接客を行うことをサービスといい、お客様に対する対応・言葉遣い・これら全てがサービスにあたります。お客様とスタッフという関係上、お客様自身が直接サービスを受けるものなので、一番印象に残りやすいポイントともいえるでしょう。そのため、スタッフはひとつひとつの行動に細心の注意を払う必要があります。
Cleanliness(クレンリネス)
クレンリネスとは店内の清潔さ・スタッフの清潔さなどお店全体に関わる清潔さのことを指します。飲食店はお客様が食事を楽しむ場なので、清潔さも非常に重要です。飲食店は一日に多くのお客様が来店するものなので、お客様が退店したタイミングやお店が落ち着いたタイミングを見計らい、片付け・清掃を行いましょう。そしてどのお客様が見ても清潔と思っていただけるような清潔さのあるお店を目指しましょう。
Hospitality(ホスピタリティ)
最近特に注目されているのがこのホスピタリティという考えで、日本語で言い換えてみれば「おもてなし」ともいわれています。この考えは、この項で紹介したクオリティ・サービス・クレンリネスを行ったうえで、お客様の要望の一手先をいったプラスワンのサービスを提供することを意味します。そうすることで、提供したサービスがお客様の印象に残り、他店舗との差別化を図ることができます。
飲食店で気持ちの良い接客を店舗に反映させていくには?
これまで紹介した気持ちの良い接客を店舗に反映させていくためには、お店の運営にも工夫を加える必要があります。
どのような対応が求められているのかを考える
気持ちの良い接客を行うためにはまず、お客様がどのような対応を求めているのかということを先読みして考えると良いでしょう。実際に自身が飲食店に赴き、客として利用しお客様目線に立つことで、求めているものがみえてくるかもしれません。
たとえば、呼び鈴のないお店の場合、お客様が店内を見渡していることが多いです。そのような、困っているお客様がいれば積極的にお声がけしましょう。
目標の設定・共有・振り返りをする
接客を行っていく上でさまざまな層のお客様と対応していく中で、トラブルが起きてしまうことがあります。トラブルが連続して生じれば、経営にも影響を及ぼしてしまうので、日々振り返り・共有を行う必要があります。振り返り・共有を行うことで未然にそのようなトラブルを防ぎ、気持ちの良い接客につなげることができるでしょう。
またその共有の際に、お客様に好印象を持たれた接客やお客様の声も併せて話すことで、互いに良い影響を与えることができます。そして、先輩スタッフから後輩スタッフに向け、日頃心がけている接客術などをアドバイスするのも良いでしょう。このような共有が新人スタッフの育成にもつながります。
シェア会を開いたり、普段のLINEでの共有をおこなったりなど日常で簡単にシェアするのがおすすめです。
振り返りを行う中で目標設定をすることも、気持ちの良い接客を実現する第一歩になります。その目標設定も無理なく行える範囲で設定しましょう。
そしてその目標を朝礼で読み上げたり、スタッフルームに掲示することで意識が変わり、目標達成に近づけるでしょう。週に1度その目標達成ができているかどうか適宜確認し、随時アドバイスを行えば全員が目標達成できる可能性がより高まります。
スタッフにも還元できる文化を作る
気持ちの良い接客を目指せば、自ずと顧客満足度は上がりますが、その顧客満足度はスタッフの力があってこその結果です。そのため、その頑張りに見合った対価や報酬を与え、スタッフの満足度も同時に上げる必要があります。
スタッフの満足度も上がれば、その相乗効果で接客力が上がり顧客満足度が維持されることが期待されます。スタッフに還元する制度を設けることで、最終的には顧客満足度・スタッフの満足度どちらも叶えることができるのです。
編集後記
気持ちの良い接客を心がけるためには、まず前提として接客の基本である「QSC+H」を心がける必要があります。しかし、それが全員すぐにできるわけではないので、共有や振り返りを適宜行いましょう。そこで良かったところは褒め、改善しなければならない部分はアドバイスをし、スタッフを育成することで全員がより良い接客ができるようになるでしょう。
そして接客の質を上げることで、顧客満足度の向上を図ることができ、リピーター化やその先のファン化のきっかけとなります。頑張っているところをしっかりとみていると伝え、そうすることでスタッフのモチベーションも上がり、より良い運営を行えるでしょう。