農業人を目指す人をサポートする「farm+biz(ファームビズ)」担当の杉谷です。今回は、産地直送について、最近の傾向を調べてみました。
産地はピンポイントに絞り込め!地元の方々との絆でレアな食材を発掘
最近は、産地直送をメニューに載せるだけでなく、産地名そのものを店名にした産直居酒屋が増えています。
2005年に中目黒で創業した「根室食堂」から火がつき、進化系業態としてここ最近人気が高まっているのが、地域ではなく町村ネームそのものが付いたもの。
その代表といえるのが「北海道八雲町」「佐賀県三瀬村 ふもと赤鶏」「青森県むつ下北半島」などを展開している株式会社fun function(東京都中央区)。自治体名入りアンテナショップ居酒屋を中心に、現在、12店舗を展開。
代表の合掌 智宏さんは、自社ホームページで、 「その町・村特有の地元のこだわり食材は本当に素晴らしい。
そのこだわり食材を町村名ごと看板にすれば、産地元の名前が消費者の記憶にも残り、結局は自社の店の注目度も上がる」とコメント。
埋もれているレアな食材を取り上げれば、斬新なメニュー開発にもつながり、インパクトも強いものになりそうです。
都会と田舎がピンポイントで結ばれることで、
- WIN-WINの関係が築かれる
- 地元の人から、さらにレアな食材の情報を得ることができる
- 仕入れルートがスムーズに確立
- 次のWINを生み出す
という結果に。
スタッフの産地への愛着がさらなる武器に
ピンポイントにこだわればこだわるほど、町・村の人と店のスタッフのつながりが濃く深くなり、それに伴って店の売上がアップ。
そのおかげで地域の魅力がクローズアップされる──。
これは現在、farm+biz(ファームビズ)が行っている高知県土佐町(れいほく地域)でのインターンシップの取り組みにもいえることで、都会と田舎でピンポイントで深くつながることのメリットを実感しています。
ただ農作業をお手伝いするだけでなく、地元の方と話をし、時には共にご飯を食べ、お酒を酌み交わしたり。
それが縁でその土地の人しか知らないような風景に出会って感動したり。農業はもちろん、炭焼きや酪農など地元の産業を深く理解することができたり。
「こんなふうに野菜を作っているんだ」
「あのおんちゃん(おじさん)の話、おもしろいよね~」
町の人たちの温かさに触れるにつけ愛着が増して、インターンシップ終了後には、インターン生はすっかり土佐町のファン!
インターン生を通じて、町の魅力がインターン生の地元で広がっているようです。
最近はフェイスブックなどSNSで遠隔の人ともやりとりが手軽にできるので、その効果は大。
町・村のトピックスが瞬時に、ファンの元に届き、そこからさらに話題が各地域で拡散されています。
スタッフは農場へGO! 自らの言葉で消費者に産直の魅力を伝えよう
株式会社fun functionでは、新規店をオープンする時には、スタッフを産地元へ送り込み、やはり一緒に農作業をしたり、地元の方と一緒にお酒を飲むのだとか。
そうして食材+@の魅力を携えて、新規店でお客様に接客しているのだそうです。
一口に産直といっても、ただ産地から素早く届くだけでは魅力になりえず、実際に体感し、愛着をもって、生産者から提供者、提供者から消費者へ、その魅力がリレーされなければ、心に残らず、
「まぁまぁ、おいしかったね」
「いま、ひとつだったね」
の感想のみで終わってしまうのではないでしょうか。
「流通の発達で食材自体は産地からすぐに届くようになっても、間に介在する業者が増え、生産者と消費者の距離はむしろ遠くなっている」(日経トレンディネットより)。
飲食店スタッフの食材への愛着なくして、ファンは育たないようです。
産直をウリにするなら、スタッフは農場へGOです!