
飲食店を経営するために大切なことのひとつに、売上管理があります。
しかし、初めて売上管理を担当する方にとっては、どのような方法で行えばよいのか、なぜ売上管理が大切なのか、わからないことも多いのではないでしょうか。
この記事では、売上管理の重要性と方法を解説します。忙しい業務の合間でも効率的にできる売上管理の方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
飲食店における売上管理の重要性
飲食店の売上管理は、一般的に経営者や経理担当者が行います。そのため、現場で接客や調理をしている人には、なじみのない作業かもしれません。
しかし、職場での立場が上がるにつれ、重要な業務を任されることも増えてきます。その中のひとつに売上管理が含まれていることもあるでしょう。
また、お店を開業予定の方は、開業後はご自身で売上管理を行わなければなりません。
売上管理を行うことは、それすなわち、お店を守ることです。ここでは、売上管理の重要性について見ていきましょう。
売上管理とは
売上管理は、お店の売上や経費や利益などの金額を集計します。その数値を分析することでお店の課題や改善ポイントを洗い出し、適切な対策を図るための作業です。
また売上管理は「物を仕入れて売る」という販売業務の中の管理項目のひとつでもあります。
売上目標を達成するには、思いつきのイベントやキャンペーンを実施しても安定した売上は見込めません。
日々の売上や経費などのデータを記録して分析することで、お店にとって必要な対策が見えてきます。
売上管理が必要な理由
先ほどもお伝えしたように、売上管理は「売上目標の達成」と「安定した利益」を生み出すために必要な作業のひとつです。
では、売上管理で具体的にどのようなことがわかるのでしょうか。
問題の原因と解決策
飲食店を経営していると、さまざまな問題や課題が発生します。
たとえば、売上が思うように上がらない、仕入れや人件費が予想以上にかかる、お客様が集まらないなど、経営に関わる悩みはつきることがありません。
経営に関わる悩みを抱えたとき、原因の判明に役立つのが売上管理です。悩みについての情報や数値を収集しデータを分析することで、解決策が見えてきます。
解決策の根拠
問題が発生したとき、思いつきやひらめきによる解決策では問題が悪化する可能性があります。
しかし、日々のデータから分析された売上管理をもとに導き出した解決策には根拠があります。また、解決策の前と後で、データを見比べることが可能です。
問題の原因を洗い出し、最適な対策を取ることで問題を最小限に抑えることができるのではないでしょうか。
飲食店に必要な売上管理の3つの数字項目
売上管理は飲食店経営において非常に重要な作業ですが、実際は売上や経費をそれぞれの項目に分類する必要があり、時間と手間がかかります。
少しでも時間を短縮して作業するためにも、売上管理に関わるお金の知識を蓄えておきましょう。
ここでは、売上管理に必要な3つの数字項目を解説していきます。
売上目標の達成進捗
売上目標の達成進捗は、目標の売上額に対してどのくらい達成できているかを確認するものです。達成進捗を計算することで、設定した売上目標が適切かを判断できるようになります。
売上管理として使用するためには、月ごと、四半期、一年単位で設定した売上目標に対しての達成率を計算していきます。
達成率の計算方法は以下のとおりです。
達成率=(実際の売上高÷目標売上高)×100
達成率があまりにも低いときは、売上目標が適切ではない可能性が考えられますので、見直しも検討してみましょう。
また、前月や前年度の売上高との比較も、適切な売上目標の設定に役立ちます。
前月、前年度の売上高との比較は、以下の計算式で求められます。
前月比:今月売上高÷前月売上高
前年度比:今月売上高÷前年度売上高
前月、前年度の売上高の比較は、現在の施策の効果を調べる方法としても有効ですので、ぜひ計算してみてください。
変動費
変動費は、売上高や経営者の裁量によって変動する経費のことです。
飲食店では、仕入原価や人件費が変動費にあたります。
固定費
固定費は、売上高や経営者の裁量にかかわらず発生する経費のことです。
飲食店では、家賃、光熱費、通信費、消耗費、広告費、ロイヤリティなどが固定費にあたります。
売上高から変動費と固定費を引いたものが営業利益になります。利益を出すためには、売上高をアップさせるだけでなく、変動費や固定費をいかに節約できるかも大きなポイントになってくるのです。
飲食店の売上管理方法
売上管理に必要なデータがそろったら、いよいよ売上管理を行っていきましょう。
売上管理を行うためには、準備したデータを用いて下記のような表を作成する必要があります。
- 売上高管理表
- 月別売上高管理表
- 仕入管理表
- 売上高客単価一覧表
しかし、通常の業務をこなしながら上記の表を作成するのは容易ではありません。
ここでは、最低限把握すべき売上管理について紹介していきます。
時間帯別売上の把握
一日の売上を時間帯ごとに集計することで、数字の流れを時系列で把握、可視化できるようになります。
時間対別の売上を把握することで、必要な人員を手配できるため、効率的な店舗運営が可能になるでしょう。
売上構成比の把握
売上の種類を、料理、飲料、デザートなどのカテゴリ別に入力しデータを収集していきます。
売上構成比を知ることで、売上アップに必要な対策が見えてきます。また、売上構成比は曜日や時間帯によっても変動するため、単日、時間帯別でデータを分析すると良いでしょう。
損益分岐点の把握
損益分岐点とは、売上高から変動費や固定費の費用を引いたときに、損益が「0円」になるところです。お店の損益分岐点を知ることで、必要な売上高がわかります。
また、飲食店の経営を軌道にのせるには、売上高に対する費用の割合を60%以下に抑えなければなりません。
日々の売上高を集計することで、かけられる費用も把握できるようになるでしょう。
飲食店売上管理の業務効率向上の3つのポイント
これまで、売上管理の重要性や売上管理に必要な数値項目などを解説してきましたが、実際に売上管理には、どのようなツールを用いて売上や費用のデータを集計すると効率が良いのでしょうか。
ここでは、飲食店経営者におすすめの売上管理のやり方とポイントを紹介していきます。
Excelでのデータ管理
最も費用をかけずに行う方法は、Excelを使ったデータ管理です。ネット上には売上管理用のテンプレートが多数あり、使いやすいものを選択できます。
ただし、Excelでのデータ管理は個人で経営している飲食店向けといえます。複数店舗を経営する飲食店では、データの共有やファイル管理が難しいため、ほかのツールを利用した方が良いでしょう。
システム導入でデータ管理
複数店舗を経営する飲食店は、手軽に運用できるクラウド型のシステムがおすすめです。
クラウド型の売上管理システムはデータの入力や共有が比較的容易にできるため、5~20店舗くらいの小規模の飲食店であれば、業務の効率化を十分に期待できます。
POSレジの活用
時間帯ごとの売上データを詳細に分析するなら、POSレジシステムがおすすめです。オーダーを取る際のハンディターミナル端末やPOSレジを利用してリアルタイムにデータを蓄積できます。
ただし、分析できるデータや範囲が絞られる場合があり、より詳細な分析を行うためには、互換性のあるシステムにデータを移行しなければならないケースもあるでしょう。
編集後記
飲食店の売上管理について、重要性と手軽に出来る方法を解説してきました。
売上管理はお店の問題点や課題を洗い出すだけでなく、適切な解決策を導いてくれる作業のひとつです。
通常の業務をこなしながら売上管理を行うのは大変ですが、今回紹介したツールや方法を参考にして、ぜひ最適な売上管理を行ってみてください。