採用活動は、単に企業側が応募者について一方的に、「採用か、不採用か」を判断する場ではなく、企業と応募者の相互理解・相互選択のもとに成り立っています。
つまり、企業・店舗側は、自社の魅力を応募者に語る、もしくは伝える必要があるのです。

実は、この基本をあまり理解していない飲食業界の方が多く、「意欲ある人だけを採用するから、わざわざ自社の魅力を語らなくてもいい」「いいと思ってくれた人だけが、応募してくれたらいい」という意見も、チラホラ伺います。

しかしもはや、人口減と少子高齢化により、ますます飲食業界ではたらきたいと希望する人材は、減少傾向にあります。
昨今のオーバーストア状況、消費税増税などで、飲食業界はまさに戦国時代。
よい人材が定着した飲食店が、今後生き残っていくことは必須となり、自社、自店舗の魅力を求職者に伝えられる企業・店舗だけが、勝ち組になります。

採用上の競合を意識しましょう

採用上の競合とは、自社・自店舗が採用活動を行なう上で、同じ人材のパイ(母数)を奪い合い、競合となってしまう企業のこと。
例えば、外食企業では、今、若手人材を求めて、各社がなんとか応募を集めるため、内定者を獲得するために動いています。

また求職者についても、一社だけに応募するのではなく、複数社に応募して「自分に合った企業を探したい」と考えています。

そのためには、「競合他社と差別化できる魅力的なポイントがあるか?」を考えることが大切です。以下8つの角度から考えてみましょう!

1.企業の魅力

  • 経営者が魅力的・・魅力的な経営者がいるかどうか
  • 出店計画多数・・・出店計画があり、入社後のポストがある
  • 成長性がある企業・・・将来のビジョンが大きく、成長が望める
  • 業界から注目されている・・・戦略や独自性で、企業から注目されている
  • 安定性・・・安定した経営基盤がある
  • 老舗・・・・老舗で安定性あり

2.配属先・業態の魅力

  • 集客力抜群・・集客力があり、営業に集中できる
  • 話題性・・・・トレンド・流行の飲食店
  • 独自性・・・・ターゲティングが明確で多くのお客様を取り込んでいる
  • 店舗立地・・・例えば、オフィス街の店舗であれば土日休みであることが多い

3.研修/評価制度の魅力

  • 研修制度が充実している・・・社内でスキルアップができる
  • 平等な評価制度がある・・・・新卒・中途にかかわらず、平等に評価される
  • 中途入社のハンデがない・・・新卒・中途にかかわらず、実力ある人が認められる
  • 独立ノウハウが学べる・・・・独立開業に向けたノウハウを段階的に学べる
  • 明確な独立支援制度がある・・社員独立制度など、具体的な制度があり、実績もある

4.待遇・労務環境の魅力

  • 給与水準が高い・・・業界水準以上の給与
  • 給与アップが早い・・入社1~6ヶ月で給与がアップのチャンスがある
  • 待遇面がよい・・・・家族手当、交通費全額支給など
  • 休日休暇が多い・・・月8日以上
  • 日曜休み・・・・・・家族との時間も大切にできる

5.昇給/キャリアアップの魅力

  • 昇給が早い・・・入社1~6ヶ月で短期昇格のチャンスがある
  • キャリアアップあり・・・・店長以上のポストが充実している
  • ポストの数が多い・・・・・ポストの数が多いほど、多くの人にチャンスがある
  • 本部スタッフを目指せる・・メニュー開発・業態開発・人事採用など本部スタッフの道がある
  • 幹部候補を目指せる・・・・成長中の企業で、幹部のポストを狙える

6.組織の風土の魅力

  • 社員同士の結束力が強い・・「人」が大事
  • 経営者と近い・・・・・・・経営者からさまざまなノウハウを学べる
  • 平均年齢が若い・・・・・・同年代の仲間が多く
  • 既婚者が多く活躍・・・・・既婚者も安心して働ける環境

7.仕事内容の魅力

  • お客様との距離が近い・・・・・お客様に近い
  • 業務を通じてノウハウを学べる・・今のスキルより半歩先の仕事を与えてもらえる
  • メニュー開発などにかかわれる・・プラスアルファのミッションがある

8.その他

  • オープニングスタッフ・・・新店立ち上げ・オープニングは人気
  • 採用人数多数・・・・・・・採用人数が多いほど、多くの人にチャンスがある
  • 終電までに帰れる・・・・・電車通勤できるかどうか
  • 車通勤ができる・・・・・・駐車場があるかどうか

魅力的かどうか?採用担当者の思い込み・主観は禁物

上記にあげた特徴ですが、採用担当者の思い込みや主観だけで判断するのは禁物です。
例えば、1.にある出店計画。年間100店舗ペースで出店する企業と、年間数店舗企業で出店する企業を、出店の「数」だけで比較するともちろん後者は劣ってしまいます。

しかし後者なら6.の組織風土で「経営者と近い」という魅力があるというように、複数の魅力をセットで考えるようにしましょう。自社の魅力を明らかにしていく流れとしては、

  • 採用担当者が自社の魅力を洗い出し
  • 社長などの上位役職者や、社員にヒアリングをする
  • 魅力的なポイントと、具体的な内容を聞き、意見をまとめる
  • 求める人材が魅力的に感じるかどうか?という視点でチェック
  • 求人広告や面接時に活用する

当然ながら、社長など上位役職者が自社の魅力だと定義することと、現場社員が感じる自社の魅力には相違があります。

ビジョン・成長性などの部分は上位役職者に、仕事内容や社風などの部分は現場社員に聞く。
そうすれば、多方面から自社の魅力が明らかになってきます。そして出た意見を、「求める人材が魅力的に感じるか?」という客観的な視点で見つめ直すようにしましょう。

自社の魅力を振り返り、優秀な人材に選ばれる飲食店に

応募者は転職活動において、複数の企業・店舗に応募し、選考を受けることは当たり前の時代。

「企業が人を選ぶ」というより、「優秀な人に選ばれる飲食店、飲食企業になる」選ぶという視点を持たなければ、これからの人材採用は難しくなることは確かです。

他社・他店と比べて、どんな魅力があるのかをしっかり語れるよう準備しておきましょう。

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