こんにちは。クックビズ総研のカリンです。
全国に約67万店舗あるとも言われている飲食店。飲食事業は比較的参入障壁が低いということもあり、どんどん新しい店舗ができているものの、廃業率が非常に高く、開業3年で約7割が廃業し、10年後も営業している店は1割程度とも言われています。
特に最近は生産年齢人口の減少、消費者の節約志向の高まり、若者の酒離れなどの影響から飲食店の市場規模が縮小してきているとも言われています。そんな厳しい状況下でも繁盛しているお店はどのような集客をし、どのようなことを意識して店舗運営をしているのでしょうか。
今回、クックビズ総研がその実情に迫りました!
※この調査は、2015年5月にクックビズ株式会社の取引企業・登録会員(回答数:46)を対象に実施したアンケートをもとに作成しております。
目次
約97%の飲食店が何らかの集客ツールを使用
集客については以下の通り。およそ97%の店舗が何らかの集客ツールを使用している、という結果になりました。
口コミだけではなかなか厳しいというのが実情のようですね。
使用しているグルメサイトは食べログとぐるなびが同列一位
使用しているグルメサイトについては食べログとぐるなびが同列一位。次いでホットペッパー、ヒトサラ、一休の順となりました。
ヒトサラは上位3社に比べるとまだ知名度は低いものの、最近シェアを伸ばしているようですね。あの有線ラジオ放送最大手のUSENが運営しているサービスです。
接客、料理の質に力を入れている店舗が8割
接客、料理の質など基本のところに力を入れている店舗が多い印象です。確かに価格の改定やイベントの実施は即効性はありますが、長期的にお客様を呼び込むことは難しいのかもしれませんね。
顧客満足度を上げるための繁盛店ならではの取り組みとは?
では、繁盛店は顧客満足度を上げるためにどのような取り組みをしているのでしょうか。飲食店の生の声を紹介します。
■出来立ての料理をお客様の前に出す為、料理人とサービススタッフの連携強化(ぷらんちゃん さん/ウェディング・ゲストハウス/運営店舗数16店舗以上)
基本のようですが、厨房とホールの円滑な連携のためにはお互いの業務を理解してフォローできるような体制づくりが必要です。分業してしまうとどうしてもバラバラな動きになります。
■目玉となる料理または、店舗がどんな料理を売りにしているかを明確に打ち出す(ノーペイン さん/居酒屋/運営店舗数16店舗以上)
「全部おいしいです」では強調されるポイントがなく、お客様の印象に残りにくくなってしまいます。ポイントを絞ってお店ならではの「売り」を強調することが大切なんですね。
■覆面調査会社に定期的に依頼、プロのメイクアップの方による講習、アンケートの設置(本部全社員で共有)、商品の研究開発(ボロネーゼ さん/居酒屋/運営店舗数16店舗以上)
覆面調査だけでもかなり力を入れている印象ですが、プロのメイクアップの講習まで行なっているとはびっくりですね。従業員の意識を高く保つことが顧客満足につながるようです。
■お客様と話す。1回目の来店より2回目の来店での会話に力を入れる。お客様の顔と名前を覚える。お客様が前回何を食べたか覚えておく。メニューに飽きがこないようブラッシュアップやメニューチェンジを行う。(aks さん/運営店舗数6~10店舗)
お客様への愛が本当に伝わってきますね。1回目より2回目の接客に力を入れるのはリピートしてくれたお客様への感謝でしょうか。ここまで誠実な対応をしてもらえたら、絶対また行こうと思いますよね。
■日々の接客・従業員教育はもちろん、失敗やクレームを全員で共有し改善策を全員で考えている。「本日のオススメ」を一人一個以上は持ち、来店のお客様に勧める様にしている。(働くお父さん さん/和食・日本料理/運営店舗数16店舗以上)
■毎日売り上げなどの決算メールがアルバイトを含む全ての従業員に届きます。(さとこ さん/ウェディング・ゲストハウス/運営店舗数16店舗以上)
全員で振り返りを行うことで、従業員に当事者意識を持たせているんですね。会社を動かしている一員だと自覚させることは本人のモチベーションアップにもなります。
「繁盛店」と「閑散店」の違いとは?
■メディアの使い方の上手さ、リピーターを獲得できる料理の見栄えや味、パフォーマンスがある、口コミサイトの活用、限定・特別の使い方の上手さ(ぷらんちゃん さん/ウェディング・ゲストハウス/運営店舗数16店舗以上)
■お客様に飽きを感じさせない内容の新鮮さの更新、ターゲットを明確にした上での料理構成、サービス技術の展開、情報収集力(ハマグリシジミ さん/洋食/運営店舗数1~5店舗)
飲食店にもマーケティングは重要ですね。良いお店づくりと同時に戦略的に動くことも求められています。
■相手にとって言語化されていないが本当は望んでいる価値を発見・創造し、伝えられる能力があること。同時に、その能力やスキルを開発できる仕組み、そして、それが継続的に進化できるシステムを持っていること。そのシステムの繋がり、要素を「観る」ことができて、レバレッジをかけることもできる組織であること(てっちゃん さん/居酒屋/運営店舗数1~5店舗)
お客様は「こうして欲しい」となかなか言ってくれません。「相手にとって言語化されていないが、本当は望んでいる価値を想像・発見」して相手の欲しいものを先取りすることが重要です。
■味は当然ですが、居心地のいい店・接客が感じよい・掃除が行き届いているなど味以外の面も重要(miya さん/居酒屋/運営店舗数16店舗以上)
料理がおいしくても、接客態度が悪かったり、不衛生だったりしたら二度と行きたくなくなってしまいます。お客様は味だけを求めているわけではないことを忘れないようにしたいですね。
■繁盛店は、一時の賑わいでは無く他店には無いものが必ず存在し、口コミが途切れることが無く、細く永く伸び続けるお店。閑散店は、広告媒体を続けないと賑わいの無いお店(ぽんと さん/和食・日本料理/運営店舗数1~5店舗)
■料理の味は、もちろんおもてなしの心、決して手を抜かない、常に新しい発想、料理、サービス、これでいいと満足せず、向上心を持ち続け、そのための設備、管理、衛生、お客様にまた来たいと思われる期待感を持たせられるお店と、そうじゃないお店が多いと思います。(トッチ さん/ホテル・旅館/運営店舗数1~5店舗)
ドカンと売上をたてようと思うのではなく、堅実な店舗運営が成功のカギといえそうです。
いかがでしたでしょうか。
今回の調査で繁盛店になるためには奇抜な発想やテクニックより、堅実な店舗運営が求められていることがわかりました。
少し売上がたったとたん、初心を忘れてしまうのはよくあることです。店舗をOPENしたときと同じ気持ちを持ち続けられるかどうかが分かれ道になるのではないでしょうか。