
2019年の末に発生した新型コロナウィルスは、国内の飲食店に深刻な打撃を与え続けているため、さまざまな生き残り戦略を実施していく必要があります。
この記事では、現在のコロナ禍においても有効とされている、売上アップの基本的なアイディアや対策についてまとめています。
本記事で取り上げるアイディアは、すでに多くの店舗が実施している内容をお伝えすると思いますが、多くの飲食店にとって踏ん張りどころの時期だからこそ、現在実施されている取り組みを基本から振り返ってみませんか。
目次
コロナ禍に負けない!飲食店の売上アップのアイディア
新型コロナウィルスの発生により、消費者の意識は大きく変化しました。
飲食店側は、消費者の変化に合わせて経営上の工夫を行う必要があるといえるでしょう。
既存の施策も多いと思いますが、新たな発見や改善点のためにも飲食店の売上アップの代表的なアイディアを列挙していきます。
テイクアウトを実施
テイクアウトの実施は、コロナ禍においてポピュラーな売上アップを狙った取り組みのひとつだといえるでしょう。
飲食店に対するテイクアウト需要は、現在も増加傾向にあります。多くの消費者の外食機会が減少し、在宅時間が増加したことが大きな要因だといわれています。
テイクアウトを実施することで、今まで来店しなかったファミリー層などの新たな客層の獲得が狙えます。
テイクアウトによる新規顧客の獲得に成功すれば、消費者数増加にともなう売上アップを期待できるでしょう。
デリバリーサービスの展開
お客様の自宅へ料理を提供するデリバリーサービスです。
テイクアウトと同様に来店しない客層をターゲットにできるので、新規顧客の獲得と売上アップを狙えます。
最近では、「Uber Eats」をはじめとした総合型デリバリーサービスが普及しています。特別な資格や条件がなくても加盟店に加わることができるため、宅配のノウハウを持っていない飲食店であっても、低いハードルで始めることができるでしょう。
ただし「Uber Eats」は初期費用として5万円、サービス手数料35%と比較的高い価格設定です。
そのほかにも、初期費用が無料である「LINEデリマ」や「menu」などがあります。また「楽天デリバリー」であれば、初期費用が5,000円、サービス手数料が10%と低価格に設定されているため、高い利益率が見込まれるでしょう。
数あるデリバリーサービスの特徴を理解し、お店にとってメリットの多いサービスを選ぶことをおすすめします。
業態の変更
現在の飲食店を、別の業態へと変更する経営戦略です。
たとえば、固定店舗の飲食店がキッチンカーなどの移動物販へ業態転換する、居酒屋が弁当販売へ業態転換するなどが挙げられます。また、居酒屋でデリバリーサービスを運営するといった複数業態などもこれに当たります。
業態の変更は、前述したテイクアウト実施と同様に、今までとは異なる客層へのアプローチを可能にするでしょう。
業態によっては常設型店舗よりも感染症対策が容易になります。
また、業態変更よりも規模は小さいですが、現在のメニューを変更したり新メニューを追加したりすることも、売上アップにつながる有効な方法です。
経営状況やリスクをふまえたうえで、最適な戦略を実施しましょう。
期間限定メニューを開発
緊急事態宣言が開けてから、期間限定のキャンペーンの実施は売上アップが期待できるアイディアの一つです。期間限定の割引サービスや独自性のあるテーマに沿った期間限定メニューがおすすめです。
例えば、期間限定で通常ディナーで出しているメニューをランチの時間帯に提供するなどがあります。
「期間限定」というキーワードを見ると、購買意欲が刺激されてしまう消費者は多いです。ぜひ積極的に新しい発想でメニューを開発していきましょう。
テイクアウトメニューを開発
デリバリーサービスをはじめると同時に、テイクアウトでしか提供できないメニューを開発してみるのも良いでしょう。
「スタッフのまかない料理」や「特殊なトッピング」など、実店舗では出されていないメニューを提供してみることも、売上アップのアイディアです。
消費者はその珍しさから「試してみたい」という心理がはたらき、好奇心から注文をしたくなります。
SNSなどで口コミが広がれば、その話題性から集客アップにつながることも期待できるでしょう。
家賃の減額交渉
売上アップの方法は利益を上げるだけではありません。固定費の削減も有効な戦略といえます。
とくに固定費の中でも、「店舗の家賃」が占める割合は大きいので、これをうまく削減できればお店の利益に大きなプラスとなるでしょう。
SNS・自社メディアで宣伝
飲食店に限ったことではありませんが、あらゆるビジネスにおいてSNSを使った広告戦略は当たり前といえる時代になりました。
Twitter、Instagram、Facebookなど、主流のSNSをうまく活用すれば、コストをかけずに大きな宣伝効果を生むことも可能です。
最近では、Instagramの「ストーリーズ」に料理を注文できる機能が追加され、投稿内容から注文ページが出てくるようになっています。この機能を活かして、お店の情報や新メニューの宣伝などを継続的に行えば、テイクアウトの注文が増えるだけでなく、ユーザーへの認知が高まることが期待できます。
また、Twitterにおいて、テイクアウトした人限定で、ハッシュタグをつけて注文したメニューを投稿したら、お得なキャンペーンに参加できるといった取り組みをしてみるのも良いでしょう。
POSレジの導入
販売情報をデータ管理できる「POSレジ」を導入すれば、業務効率化が期待できます。
会計業務が簡略化されるだけでなく、商品管理や会計ミスの防止にもつながるでしょう。
近年では大規模チェーン店だけでなく、小規模な飲食店でもPOSレジを導入するケースが増えています。
業務効率化はもちろん、POSレジに蓄積されたデータを分析することで、売上アップの戦略立案も行いやすくなるでしょう。
飲食店の売上アップのための施策を行う上での注意点
ここまで基本的な売上アップのための取り組みをご紹介してきました。
最後に売上アップを図る取り組みでの注意しておきたい点について紹介します。
やみくもに割引をしない
メニューの割引は販売の促進に効果的である一方、やみくもに行ってはいけません。
一見すると、数字上の売上は上がっているものの、最終的な利益率が上がっていなければ、本末転倒となってしまいます。
割引による売上アップ戦略は、利益を考慮したうえで計画的に行うようにしましょう。
適切な価格設定を行う
メニューによって原価率や売上頻度は異なるため、それらを考慮して適切な価格設定を行うことが大切です。
原価率が高くて経営を圧迫しているメニューなどあれば、価格設定とメニューそのものを見直す必要があるでしょう。
売上予測のシミュレーションを行う
家賃、水道光熱費、材料費、人件費など、飲食店経営では毎月さまざまなコストが発生します。
自店の適切な売上額を判断するためにも、月の売上予測を出したうえで、シミュレーションを行う必要があるでしょう。
売上予想は「来客数(座席×平均回転率)×客単価×営業日数」で算出することができます。
(平均回転率の計算式は「回転率=1日の来店数÷客席数」)
上記で導き出した売上予測から、家賃をはじめとした固定費を差し引いた額が、1ヶ月の利益となります。
これらを踏まえたうえで、現在のコストが適切であるかどうかを判断します。
堅実な事業計画を立てるために、常に売上予測を把握し、シミュレーションを行うようにしましょう。
編集後記
今回は、現在のコロナ禍においても有効とされている、飲食店の売上アップのアイディアをまとめました。
業態の変更やSNSの有効活用など、大掛かりな方法もあれば低コストで実行できるツールなど、その方法はさまざまです。
業界全体が苦しい状況に置かれている現在、飲食店が生き残るためには、あらゆる方法を柔軟に実践することが大切だといえるでしょう。