
飲食店の開業を検討しているが、「どれくらいの期間が必要なのかわからない」「どのようなスケジュールで進めていけば良いのか…」とお悩みの方もいるのではないでしょうか。
目標の時期に開業するためには、段取り良く準備を進めることが大事です。
今回は、一般的な飲食店開業の流れと、開業に必要な手続きと資格について解説します。また、飲食店開業に利用できる補助金についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
一般的な飲食店開業までの流れ
まず気になるのが、飲食店の開業までにどれくらいの期間が必要なのかでしょう。
結論からお伝えすると、段取り良く進めば半年~1年で開業可能です。
今回は最短の半年で開業を目指したときの主な流れを紹介します。
お店のコンセプトを決める
開業するにあたり、最初に決めることとしては、お店のコンセプトではないでしょうか。
何を提供するのか、どういった客層をターゲットにするのか、価格帯はどうするのかなど、どのようなお店にしていくかを考えましょう。
半年後の開業を目指すなら、開業の計画が具体化してから考えはじめるのではなく、この時点である程度かためておく必要があります。
事業計画書の作成
開業5ヶ月前に行っておくと良いのが、事業計画書の作成です。
事業計画書の作成では、半年前に立てたコンセプトを基に具体的な収支の予測を立てる作業を行います。
売上げ計画を立て、その売上げに対して利益がどれだけになるかを考えるのです。つまり、材料費や水道光熱費、物件費、広告費、人件費などの費用を売上げから引いたら、どれくらいの利益になるのかを把握します。
事業計画書を作成することで、メニューの価格をどれくらいに設定すると良いかの判断もできるので、しっかりと作成することが大事です。
資金確保
4ヶ月前になったら、開業に向けた資金を集めましょう。目安としては800万円~1,200万円ほど必要です。
自己資金だけで足りない場合、親族から借りたり、金融機関で融資を受けたりして集める必要があります。個人から資金を借りる際は、利子をどうするかなどを決め、返済計画を作成して書類に残しておくとトラブル防止に役立ちます。
また、条件に適うようであるなら補助金を利用するのもひとつの方法です。利用できる補助金については、最後の項目で詳しく解説します。
物件探し
3ヶ月前には、お店のコンセプトに合う物件を探します。ターゲットとする客層が利用しやすい立地であることはもちろんのこと、予算も考慮の上、ぴったりの物件を探しましょう。
なかなか良い物件が見つからないと、「不都合があれば移転できるから、妥協しても良い」と考えるかもしれません。しかし、移転すれば良いといった気楽な気持ちで物件を選ぶのはおすすめできません。
移転にはお金も手間も時間もかかるため、物件探しは慎重に行うことが大事です。
実店舗の準備
2ヶ月前には、開店に向けて探した物件の施工に取りかかります。施工業者は、店舗の内装、外装工事で経験を積んだ施工業者を選ぶのがおすすめです。
いくつかの施工業者の実績を確認し、気に入った業者を選ぶと良いでしょう。また、事前に店のコンセプトをはっきりと伝え、施工内容のすり合わせをすることも大事です。
物件の施工に加えて、飲食店の開業に向けてメニュー開発や店舗で使用する調理器具などを購入するのも、この時期に行っておくと良いでしょう。
各種手続き
1ヶ月前になると、保健所などで各種手続きが必要となります。開店前で忙しい時期ではありますが、手続きに不備がないように済ませましょう。
飲食店の開業にあたって具体的にどのような手続きが必要となるのかは次項で詳しく紹介します。
スタッフ管理
求人をかけ、社員、アルバイトの募集、採用を行うのも主に開業1ヶ月前のタイミングです。
社員やアルバイトを採用したら、スタッフ教育を行います。調理スタッフには調理や盛り付けなどの指導、ホールスタッフには接客の指導を行い、開店準備を整えた上でオープンを迎えられるようにしておきましょう。
宣伝活動
開業2週間前になったら、SNSやチラシなどを通してお店の情報を知らせます。
宣伝手段は豊富にあるので、より多くのお客様にお店の存在を知ってもらうために、複数の方法を使って宣伝活動を行うと良いでしょう。
マニュアル作成
マニュアル作成も開業2週間前には行っておきましょう。
飲食店開業にあたり必要となるマニュアルは以下のとおり。
- 業務マニュアル
- 接客マニュアル
- 調理マニュアル
これらを作成し、スタッフに共有しておきましょう。
マニュアルの作り方については以下の記事もあわせて参照ください。
クックビズ総研:飲食店に必須!自店舗に合ったマニュアルの作り方のポイントを解説
開業時に必要な手続き・資格
飲食店開業にあたって必要な手続きを行い、資格を取得することも大事です。
開業手続きを行う場所
手続きが必要なのは、税務署・保健所・警察署の3ヶ所です。いずれも必須なので、飲食店開業のためにしっかりと行いましょう。
それぞれの場所で、どのような手続きが必要となるのか紹介します。
税務署
開業届の手続きを行います。この手続きは、開業後でも問題ありません。
所得税の青色申告の申請をする場合は、開業から2ヶ月以内に税務署で申請しましょう。
保健所
営業許可証の取得を行い、食品営業の許可を申請します。
警察署
警察署では「深夜酒類提供飲食店営業開始届」と「風俗営業開始届」のふたつの手続きが必要です。
・深夜酒類提供飲食店営業開始届
バーなど、深夜営業のお酒を提供するお店を開業する際に必要な手続きです。
・風俗営業開始届
キャバレー、パブ、クラブ、ラウンジなど深夜0時まで接待やダンスなどのサービスを提供し、お酒も提供する飲食店の開業に必要となる届出です。
開業に必要な資格
飲食店を開業するにあたり、取得する必要がある資格を紹介します。
食品衛生責任者
飲食店を営業するために必要となる資格です。飲食店を開業する場合、食品衛生責任者の資格を取得した人が1人は在籍しなければなりません。
資格取得は比較的簡単で、食品衛生協会が開催する6時間ほどの講習を受講するだけで取得することができます。受講費用は1~2万円程度です。
取得自体は難しくない資格ではありますが、ギリギリに取得しようとすると予約がいっぱいで受講できないことがあるので、早めに予約するのがおすすめです。
防災管理者
店舗内の収容人数が30名以上の場合は、防災管理者の資格保有者を配置しなければなりません。
資格は各地域の消防署で講習を受講することで取得できます。講習は1~2日で、費用は3,000~5,000円程度です。
講習の日程や費用は地域によって異なるため、事前に問い合わせるようにしましょう。
飲食店開業に利用しておきたい補助金
先述したように、飲食店の開業には多額のお金がかかります。自己資金で用意するのが難しい場合、返済の必要のない補助金制度を利用して負担を軽減できることがあります。
飲食店開業にあたって利用したい補助金を紹介します。
創業補助金
新規で開業する際に、国から事業規模などに応じて最大で200万円の補助金を受給できる制度です。
創業補助金を受給するためには、開業前に手続きをしなければなりません。事業計画書を作成して、審査を通過した場合のみ受給が可能となります。
機材の購入や内装工事などの費用が多い場合は、受け取れるケースが多いようです。
小規模事業者持続化補助金
日本商工会議所が運営する制度で、上限50万円が支給されます。受給できる条件は、就業員数が5人以下の小規模事業者であることです。
広告費や店舗のバリアフリー化にともなう工事費、ホームページの作成費などを目的として受給ができます。
補助金を申請するにあたっては、経営計画書や補助事業計画書の提出が必要です。わからない場合は、商工会議所に相談すると、指導を受けることができます。
編集後記
はじめて飲食店を開業するのは期待感がある一方で、不備はないかなどと不安に感じることもあるでしょう。しかし、きちんと計画して準備を進めていけば、最短半年で開業することが可能です。
飲食店開業に向けてやるべきことはたくさんあるので、できる限りスムーズに準備を進められるよう、この記事で紹介した流れを参考に段取りを組んでみましょう。
補助金は返済の必要がないので、受給できる条件に当てはまるようなら、申請すると出費を抑えることができます。