「無形文化財である和食の技術、おもてなしの文化を世界中の方々に届けていくこと」を、使命に掲げる会社があります。
それが、2017年創業の株式会社パッションギークス。90年続く老舗の食材卸業を行う中庄商店が、その食材を最大限に活かし、多くのお客さまにお届けしたいという想いから始めた飲食事業を行う会社です。
鰻、神戸牛、高級淡水魚、ジビエなど、全国数多くの有名店にも卸している高品質な食材を、誰もが気軽に利用できるようにコンセプト設計したお店にて提供をしています。
経営している店舗の一つ、「うなぎ四代目菊川」は老舗卸問屋の確かな目利きがあるからこそ出来る、徹底した素材へのこだわりが特徴のお店。「日本の高品質な鰻を世界に届けたい」という思いのもと、注文が入った時にお客さまの目の前で調理する”一本鰻”はここでしか食べられない一品です。
そんな「うなぎ四代目菊川」で採用責任者も務める代表取締役 阿部 翔悟さんに、お店の魅力や一緒に働くスタッフさんへの思いについて伺いました。
正直に実直に、お客さまと向き合うお店
──自己紹介をお願いします。
株式会社パッションギークスで代表取締役を務めている阿部です。具体的には、店舗の開発や運営の統括をしています。また、新店舗開拓のために週2、3回は出張をして、常に情報収集をすることを実務として行っています。
採用責任者も務めているので、飲食店舗の「うなぎ四代目菊川」「うなぎの中庄」の店舗スタッフ、食材卸業を行う「中庄商店」の人材募集から面接まで、幅広く採用に関わる業務も行っています。
──「うなぎ四代目菊川」はどんなお店ですか。
「うなぎ四代目菊川」の始まりは、鰻の卸問屋を行なっていた「中庄商店」からでした。多くの高品質な鰻を取り扱う中で“このサイズの鰻を、この焼き方で焼けば、美味しくなる”とずっと考えていたんです。「うなぎ四代目菊川」は、せっかくなら多くの人にこの美味しさを体験してもらいたい、という思いを形にしたお店です。
特徴としては、オープンキッチンにして職人の調理の様子が見える内装です。鰻は高温の炭火で焼いているのですが、目の前で焼かれている様子を見れば、味だけでなくライブ感も楽しんでいただけると思います。
また、商品に「一本重」というものがあります。卸問屋をやっているからこそ素材を活かすことに着目して、鰻を切らずに丸々一本焼き上げています。見た目のインパクトだけではなく、切らずに焼くことによって中の脂を逃がさずふっくらと焼き上がるんです。
鰻はハレの日に食べることが多いと思うのですが、だからこそ一本重で鰻の贅沢感や満足感を味わってほしいですね。
高品質の食材を調理する責任とやりがい
──そんなこだわりの鰻を取り扱うスタッフさんのお仕事内容を教えてください。
先ほどお話しした「うなぎ四代目菊川」や、カジュアルブランドの「うなぎの中庄」では、キッチンでの仕事とホールでの接客の仕事、それを統括する仕事があります。
キッチンでは鰻を捌いて串を打ち、焼いたり、天ぷらを揚げたり、う巻きを作ったり調理をする仕事がありますね。ホールではお客さまが満足していただけるような、おもてなしのサービスを心がけています。統括する仕事では、販売促進方法を考えたり、年間の運営計画を立てて、より良いお店作りを行えるように全体をまとめています。
──焼き場についているスタッフさんの中には若い方もいらっしゃいましたね。一般的に“焼き一生”と言われている鰻の焼き場を早く経験できるのには理由があるのですか。
やってみないと上手くならないので、まずはやってもらうようにしています!
通常は鰻を捌くのに失敗してしまうと数千円の損になってしまうため、なかなか経験させてもらえないことが多いです。しかし、私たちの会社では卸売業もやっていて、扱う鰻の数が多いため、捌きを多く経験することができるんです。
だからといって闇雲に数をこなすのではありません。最初は少ない量から始めて、まずは綺麗に捌けることを目標にします。捌きも美味しさに影響しているので、綺麗に捌けるようになったら徐々に量を増やしていくようにしています。
──阿部さんが思う、この仕事の魅力ややりがいについて教えてください。
鰻ってすごくシンプルなんですよね。フレンチやイタリアンでは、覚える食材や調味料がとても多い。それに対して鰻は、“米と鰻とタレ”しかありません。鰻の調理も“捌いて、串を打って焼く”というこちらもシンプルな調理工程なんです。シンプルな分奥が深く、没頭できるところが魅力です。
鰻も時期によって、脂ののりや身のかたさが全然違うので、それを職人が調節するんです。“焼き一生”という言葉が先ほど出てきましたが、焼きを覚えればそれで終わりではなく、一人前になっても追求していけるのがこの仕事の面白いところだと思います。
どんどん挑戦していく、情熱のあるチーム!
──お店にはどんな人が向いていると思いますか。
チームに大切なことは「コミュニケーション」です。
役割に没頭してもらうことも大切ですが、目指しているのは、力を合わせて来てもらったお客さまに喜んでもらうこと。話すことが好きである必要はなく、相手や自分の役割を理解して、双方向のコミュニケーションを取ることができる人に働いてもらいたいですね。
──店内でも声かけをし合って連携が取れていることが伝わりました。現在働いている方はどんな方がいらっしゃいますか。
職人のように口数が少ない人もいれば、喋るのが大好きな人もいるなど、さまざまです。
しかし、大切にしていることはみんな一緒。
どんな方法でもお互いにコミュニケーションを取り合って、お客さまに喜んでもらう姿を想像しながら全員で仕事をしています。
働いているスタッフには会社が用意した環境を使いながらどんどん成長して、魅力的な人間になって欲しいです。
──チーム力で『鰻』という日本の文化を継承しているんですね。
職人が焼いた鰻ってどんどん高級になっているんですよね。職人が減っており、個人でやっているお店が多い中、若い職人が入ってこない時代になっています。そうなると、質や調理法にこだわった鰻は段々食べられなくなってしまいます。
私たちはその現実を知ってもらうこと、そして職人を育成することに重きを置いています。
ここで働くということは、足を運んだお客さまに幸せになってもらって『ありがとう』を直接聞けることが醍醐味であるのとともに、無くなっていきつつある『鰻』という日本の文化を守って、後世に伝えていくということ。
私たちはそれが使命であり、誇りなのです。
まとめ
美味しい鰻を提供するだけではなく、文化を継承することも大切と話してくれた阿部さん。言葉の端々から会社の事業に誇りを持っていることが伝わってきました。
実際に食べた鰻は、お店が掲げる“パリッ、ふわっ、とろっ”の食感そのもので、食べた人全てに幸せを与えてくれる味わいでした。今後も日本の食文化の素晴らしさに向き合い、とことん追求していく株式会社パッションギークスの躍進が楽しみです。