
「マーケティング」には多くの要素がありますが、一言で説明すると「売れる仕組みをつくる」ことです。製品やサービスをお客様に買ってもらうために、市場やニーズの分析から、コストや販路の決定、販売促進などさまざまな施策を立てます。
飲食店でもマーケティングを取り入れて集客をおこなっているケースが近年増加しており、経営戦略のひとつとして注目されています。
では、飲食店がマーケティングをおこなう際には、どのような手法を取り入れるべきなのでしょうか。
この記事では、飲食店でマーケティングが必要とされる背景や、マーケティングを成功させるために重要な手法やポイントについて紹介します。
目次
飲食店にマーケティングが必要な理由
飲食店にマーケティングが必要とされている背景には、いくつかの理由があります。ここからは、その必要性と目的について見ていきましょう。
飲食店は競合が多い
飲食店は店舗数が多く、競合する店舗が膨大な数にのぼります。数が多い理由として考えられるのは、飲食店が比較的ほかの業種よりも簡単に開業できるため、参入する際のハードルが低いという点です。
一方で、その分競合が多く、廃業が多いというのも飲食業界の傾向です。
中小企業庁の調査によると全業種において、開業率・廃業率ともに最も高いのが「宿泊業、飲食サービス業」であるという調査結果も出ています。
このことから、開業してから収益を上げ続けるためにも、マーケティングを強化して集客に力を入れようという動きが出ていると考えられます。
人によってニーズが異なる
飲食店は「人によってニーズが異なる」という点もマーケティングが必要とされる理由のひとつです。
「おしゃれな店」「早く安く提供してくれる店」などのように、ユーザーが求める店舗の雰囲気や提供されるサービスはそれぞれ大きく異なります。
人によって飲食店になにを求めているのかが違うため「すべての人から支持される店」をつくり上げることは困難です。
たとえば、同じ「20代女性」であっても女子大生ならおしゃれなメニュー、子どものいる主婦であれば子ども向けメニューやサービスが豊富な店、というようなニーズです。
ちなみに、以下の記事では30代女性のニーズについて詳しく説明しています。同じ女性でも、年齢によって求めるものが違ってくることもあります。ぜひ参考にしてみてください。
クックビズ総研「こんなお店が愛される!女性の集客に欠かせない3つのアピールポイント」
このように、単身者や子供連れ、年代、性別などによってもニーズは異なってくるでしょう。
ニーズは個人の好みに大きく左右され、一概に断定できるものではありませんが、ある程度決めておくことが大切です。
そして、その方向性に合わせてお店づくりをおこない、マーケティングにも反映していく必要があります。
飲食店で取り入れたいマーケティング手法
飲食店が自分の店舗を効果的にアピールして集客に活かすためには、どのようなマーケティング手法を取り入れる必要があるのでしょうか。
ここからは、飲食店だからこそ取り入れたいマーケティング手法と、その進め方について紹介します。
STP分析
STP分析とは、市場分析を行い、ターゲット層を絞り込んで、自分のお店で提供すべき価値を決定する分析手法です。
マーケティング戦略を立案するために、自分のお店の強みや、顧客のイメージを具体的に考えます。
「すべての人から支持される店」を目指すのではなく、特定の誰かに向けたお店を想定することで、集客方法やメニュー作成などの方向性も明確化していきます。
例として、外食チェーン「俺のフレンチ」のSTP分析を紹介します。
これまで、フレンチなどの高級料理店は高級食材を使用した料理を提供し、かつ長時間利用という特徴がありました。
これに対して、「俺のフレンチ」では今までになかった「高級料理を提供し、かつ短時間利用」というコンセプトを確立しました。
これを実現させていくためには、回転率を高くして利益を得る必要があります。そのため、店内の飲食スタイルを立食型(※)にして滞在時間を短くしたり、原価率を高めて低価格で高級料理を提供したりすることで、高回転率を維持しました。
※現在は全店で着席型になっています
期間限定のメニューやイベント
期間限定のメニューやイベントをおこなうのも、飲食店に効果的なマーケティング手法のひとつです。顧客が足を運びたくなるような方法を考えてみましょう。
例えば、お店が空く時間帯にお客様を呼び込むために「17時までならビール半額」といったようなハッピーアワーを設定しているお店はよく見られます。
また「限定」という言葉は特別感を与えやすいため、「1日〇食限定」のように数で演出すると効果的です。
雨の日は客足が遠のく傾向にあるため、どうにかしたいと考えている方も多いでしょう。そんなときには、「雨の日限定ドリンク一杯無料サービス」などの特典を用意するのがおすすめです。
雨の日の集客方法についてはこちらの記事でもご紹介しています。
クックビズ総研「雨の日こそ集客UPのチャンス!?飲食店の雨の日対策」
マーケティングにおいて、価格以上の価値があることを顧客に感じてもらうことは非常に重要な役割をもちます。
「思わず足を運びたくなる」「今を逃すとチャンスがない」など、特別感を演出して付加価値を付けてみましょう。
4段階の価格メニューの用意
戦略的に価格設定をおこなう手法のひとつに「松竹梅の法則」というものがあります。
「松・竹・梅」といった3段階の選択肢を提示されたとき、真ん中の価値のものを選択したくなる「ゴルディロックス効果」という心理を利用した価格設定です。
一方で、飲食店での「松・竹・梅」という3段階の価格設定では、実際には最安値が選ばれるケースも多いようで、狙いである中間価格帯の商品が思うように伸びない例も少なくないとのこと。
そこで、「松・竹・梅」に加えて「特上」のランクを用意して4段階の価格帯でメニューを用意します。
比較対象が増えることで、「一番下は品質が悪いのでは…」と避けたり、「ケチと思われるかも」という世間体を気にして見栄を張ったりする心理がより芽生えやすいからです。
このように、中間価格帯の商品を選ぶ人を増やす方法を取るのも効果的です。
インターネットを活用したマーケティング手法
マーケティングは実際に店舗のメニューや価格設定を工夫する以外にも、インターネットを活用しておこなう方法もあります。
ここからは、インターネットを活用したマーケティングの方法と、成功させるためのポイントについて紹介します。
SNSでの情報発信
飲食店では、SNSによる情報発信を取り入れている店舗が多くあります。
Facebook、Twitter、Instagram、LINE公式アカウントなどを運用しながら、情報発信や口コミ、情報拡散などをおこなう方法です。
ターゲット層によって情報発信を変えるために、複数のSNSを同時に運用している飲食店も多く見受けられます。
写真や動画を添えて目に留まりやすくすることに加え、フォローやリツイートでクーポンの進呈やデザートが無料になるなどのサービスを戦略的に付加していくこともできます。
飲食店におけるSNSを活用したマーケティングについては、以下のページでも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
クックビズ総研「バズる店になりたい!飲食店のSNS活用法」
グルメ情報サイトの活用
グルメ情報サイトに自分の店舗情報を掲載するのも有効なマーケティング手法のひとつです。
お店のホームページを作る必要がなく、グルメ情報サイトの種類によっては予約機能や口コミ・レビュー機能まで備わっているものもあります。
特に、グルメ情報サイトの口コミ情報を見て来店を決定する顧客は多く、良い口コミが増えれば集客に役立つでしょう。
動画の配信
動画は若い世代に受け入れられやすく、インターネットで配信をおこなうことで、より多くの人に自店の情報を認知してもらうことができます。
また、テレビやラジオ・CMなどと比べて費用が抑えられるため、広告掲載にかかるコストを削減できるのもメリットのひとつです。
動画撮影用の専門機器は豊富にありますが、近年ではスマートフォンひとつで撮影から編集・配信などをおこなうこともできるようになりました。
スマートフォンの普及によってインターネットで動画を視聴する人も大幅に増加したことから、集客にも効果的だといえるでしょう。
クックビズ総研「飲食店で動画を活用する方法は?動画を作るコツを解説!」
「ククロ」の活用
飲食店がマーケティングを活用して集客をおこなうのであれば「ククロ」の活用がおすすめです。
「ククロ」は飲食人向けのニュースアプリで、ほかの飲食店が取り入れているマーケティングの工夫などの情報収集をおこなうことができます。
マーケティングではターゲット層へのアプローチ方法が常に進化しているため、積極的に情報収集をおこなってトレンドを掴んでおくことが重要です。
「ククロ」であれば、ほかの飲食店の情報を随時チェックできるため、新メニューのアイデア抽出にも役立ちます。
飲食業界の状況や最新の情報をいち早くキャッチするための手段として「ククロ」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。
編集後記
飲食店の集客力を高めて収益アップを目指すためには、マーケティングの強化が必要不可欠です。
さらに、インターネットを活用すれば、店舗の近隣にいる顧客だけでなく、遠方からの集客にも役立つでしょう。スマートフォンひとつで情報が得られる時代だからこそ、ターゲット層に効果的なアプローチができるか否かはとても重要です。
今回の記事で紹介したマーケティング手法や「ククロ」を参考に、ぜひ自店の集客に活かしてみてください。