東京・大田区。JR京浜東北線「大森」駅から徒歩12分、第一京浜から一本入った静かな住宅街の一角に静かに佇む「まき村」は、あたたかなおもてなしで知られる懐石料理の名店。白漆喰を基調とした落ち着きのある店内には、ゆったりとした檜のカウンター6席とテーブル個室が1室。お客様と向き合い、吟味した旬の素材の持ち味を最大限に生かすことに情熱を燃やすオーナーシェフの牧村氏。27歳で初めて自身の店を持ってから、ミシュランガイド東京で三ツ星を獲得するまでの料理人人生、そしてこれから目指していきたい料理と店のあり方について語っていただいた。

インタビューのポイント

point.1 最終ゴールとして目指したいお店の姿は「一日一組」。店を小さくしていく、という発想。
point.2 理想の「日本料理の味」に近づくための不断の努力と熱意。
point.3 「お客様を喜ばせたい」という気持ちが根底にあれば、日々の小さな積み重ねが大きな進化に繋がる。

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TVドラマで見た板前のカッコイイ姿に憧れて料理の道へ

料理人を志したきっかけは?

牧村氏:
実家は神奈川県の川崎大師のあたりなのですが、寿司屋をやっていました。代々続くような寿司屋ではなくて、母親が店舗を借りて、寿司職人を雇って切り盛りするような小さな店でした。猫の手も借りたいくらいの忙しさだったので、小学生のころから飯台を洗っていました。勉強するんだったら出前に行けっていつも言われて、店を手伝わされていました。

小さいころから和食は身近にありましたが、料理人になりたいと思った一番のきっかけは、『前略おふくろ様』(※1)というTVドラマでした。萩原健一が演じる主人公が板前で、その職人姿がカッコイイなって。足袋に雪駄に白衣姿。料理が大好きだから料理人を目指したのではなく、ただ単純に見た目の格好良さに憧れただけなので、不純な動機だったと思います。

※1『前略おふくろ様』
1975年から1977年まで日本テレビ系列の金曜劇場で放送された人気ドラマ。東京の下町・深川の料亭を舞台に、萩原健一演じる、照れ屋で臆病で人見知りの青年が、板前の修行をしながら成長していく姿を描いた。倉本聰脚本、萩原健一主演。

とにかく自分の店を早く持ちたかった修行時代

料理人としての修行はいつスタートされたのですか?

牧村氏:
高校卒業後、服部栄養専門学校に1年通いました。当時は今の専門学校に比べると実習も少なかったので、調理もあまりやらなくて。1年間の学生生活だけではあまり何も身につかなかったというのが正直なところ。料理人としてのイロハは、お店に入ってからすべて身につけていきました。

 

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