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中途採用者に期待するのは、社会人としての経験値
───イコン様では、飲食業界未経験の方を積極的に中途採用していこうという動きがあるそうですね。
稲生さん:当社では、「2019年50店舗出店」という目標を掲げています。単純に計算すれば、年間6店舗。つまり店長が6名必要になってくるんです。そういう役職を担える人材の採用・育成が課題となっています。 経験者はもちろん、飲食の経験がない方にも間口を広げることで、優秀な人材により多くアプローチしたいと考えています。
稲生さん:店舗での業務はアルバイトスタッフでも充分できることが多いため、行動自体は飲食経験がなくても身に付けられます。こう言うとアルバイトの延長と捉えられてしまうかもしれませんが、正社員に求められるものは実際のところまったく違うんです。
───と言いますと?
稲生さん:社員に求めるものは、「チームを作る力」「戦略性」「企業ビジョンへの共感」「売上管理能力」など。これらが、実務遂行能力以上に必要になってきます。そこに、飲食以外の経験が活かされる余地が大きいんです。
───活かせるのは飲食業界の経験だけとは限らない、ということですね。
稲生さん:飲食経験者が経験に縛られてしまう、ということもあります。ですので、当社では経験重視ではなく人物重視です。柔軟性があって、目標に向かって成果を出してくれる人がほしいですね。
重視するのは「会社に対する共感度合い」と「ワクワク感」
───イコン様の採用活動は、新卒・中途含め、稲生様がすべてご担当されているそうですね。選考書類はどの程度参考にされますか?
稲生さん:ほぼ見ないですね(笑)。選考書類を読み込みすぎると、面接時に先入観を持って見てしまうから。ただ、写真の第一印象は大事ですね、やはり接客業なので。
───面接で重視していることは何ですか?
稲生さん:会社のビジョンが、求職者の想いや将来像とリンクするか?つまり、会社に対する共感度合いを重視しますね。もうひとつは「ワクワク感」です。
───「ワクワク感」とは?
稲生さん:当社で働くことを考えて、面接中からワクワクしている人は、姿勢や顔色でわかるんです。そういう人は必ず活躍してくれます。ワクワクした「ふり」、共感した「ふり」はすぐ見抜けますよ(笑)。
仕事を通して大きく成長できるかどうかは、心がけ次第
───ところで、稲生さんご自身も、飲食未経験でご入社されたそうですね。
稲生さん:私の場合は、組織マネジメント力を身につけたいと考えて、イコンの店長候補に応募したんです。入社後は早々に20人くらいのスタッフを任され、正直ビックリしました(笑)。でも、1年ほど現場を経験したとき、自分でもすごく成長したと感じましたね。
───店長職はスキルアップできるのはもちろん、人間的にも成長できる仕事だというお話はよく聞きます。
稲生さん:そうですね。ただ、自分が成長しようという強い想いがあっての話です。
店長は、店舗では手を抜こうと思えばいくらでも抜けるんです。そうなるとアルバイトスタッフや周りから「あいつはダメだ」とレッテルを貼られ、お客様は離れ、売上がダウンし、お店がつぶれる…の悪循環が生じます。
───心がけ次第で成長もできるし、逆もありうると。
稲生さん:私の経験では、上にゴマをすって下にえらそうにする人は、確実に手を抜きますね! 逆に、アルバイトの目線に合わせて対等に話をしようという人は伸びます! そういう店長はビジョンを持って行動しており、スタッフから尊敬されます。店長自身も、「理想の自分にならなければ!」「自分を高めよう!」というモチベーションができる。そうなれば、短期間で人生が変わりますよ。
飲食経験者としてではなく、社会人として「即戦力」であることを期待します
───新卒採用と中途採用の違いはどんなところですか?
稲生さん:中途採用者にはやはり即戦力となってもらわなければ困りますね。飲食未経験でも、他業界の経験者として、考え方が即戦力となりうるかどうか。転職は、回数を重ねるほど次が難しくなります。「1回1回が勝負」と思っていれば、入社直後から必死に仕事に取り組むはずです。新卒と大きく異なるのはそこですね。 理想は、入社半年で店長になってほしいと考えています。
───最後に、転職を考えている方にメッセージをお願いします。
稲生さん:今までは「飲食じゃないとダメ」という人を中心に採用していましたが、今後は変えていくつもりです。他業界の優秀な人が、「飲食ってこんなに成長できるんだ」と思って入社してくれたら、きっと活躍できると思います。 「今までやってきたから」という理由だけで飲食を選ぶのではなく、成長しようと思って選んでほしい。そういう人に、育成コストをかける価値があると感じますね。
───ありがとうございました。
編集後記
店長からスーパーバイザーを経て、人事担当になられて日が浅い稲生さん。自社の状況はもとより、他社の採用活動や内定者研修などについても熱心に研究されています。現場をよくご存知だからこそ見えてくる人材採用の課題もあるそうです。
「フランダース・テイル」副店長の山下さんとは、スーパーバイザー時代、週1回ペースでお話をされていたとのこと。「彼は期待以上の活躍をしてくれ、半年で店長になってくれました。採用の成功事例ですね」とおっしゃっていたのが印象的でした。
会社・店舗紹介
【飲食事業から外食産業へ。店舗経営から企業経営へ】というビジョンを掲げるイコン株式会社。
「居酒屋 小間蔵」「炭火ごろ焼き&Beer ごきげんえびす」「Tapa-shabu BeNe(タパシャブ ベーネ)」「Cinderella Charming(シンデレラチャーミング」など、“これまでにない”発想のオリジナルブランドを多数展開。
設立以来12年で20店舗出店を達成し、【2019年50店舗】を次なる目標に掲げて、躍進を続けています。
- 企業名:イコン株式会社
- 設立:2002年
- 事業内容:外食・飲食事業(自社ブランド店舗、フランチャイズ店舗の運営)9業態21店舗