公平感、達成感、連帯感があれば、会社は必ず強くなる。

藪ノ:人材採用・育成面について、何かこだわっていることはありますか?

新田氏:経験や実績よりも、この業界が好きかどうか。知識や技術よりも、どれだけ情熱を持っているか。採用面ではそこを重視しています。僕たちの仕事はお客様に喜んでいただくこと。ただそれだけで、そんなに難しいことだとは思いません。だから、やる気があれば老若男女、学歴問わず採用していますね。

ジェイグループ インタビュー

藪ノ:その点、他社と比較して定着率83.5%と非常に高いですよね。

新田氏:なんというか、結婚みたいなものじゃないですかね。お見合い結婚と恋愛結婚とあるけど、お見合いのほうが離婚率が低かったりする。会社だって、入ってみたら意外と良かったって(笑)

と言いつつ、会社としても精一杯社員を大切にしてきたつもりなので、その結果でしょうか。

藪ノ:では、従業員満足とは、どうあるべきとお考えでしょうか?

新田氏:基本的な考えとして、公平感、達成感、連帯感が満たされているかどうかだと思います。これらの3つの要素があれば、企業は必ず強くなると僕は信じています。公平と平等は違いますから、みんなを同じように昇給させ、同じように給与を上げる必要はありません。上司と部下の立場が逆転するなんてこと、うちでは珍しくないですからね。大切なのはそれが妥当かどうか、みんなが納得できるかどうかということです。

業界の社会的向上なくして、優秀人材の活躍なし。

藪ノ:新田さんは飲食業界で唯一の社会人硬式野球部を設立されました。他にも、社員に向けたセンチュリー会やGM制度など、ユニークな仕組みもたくさん作ってらっしゃいますね。

新田氏:硬式野球部は、連帯感を高める目的で作りました。幼少期からずっと野球をやってきた子は、負けてみんなで泣いた、勝ってうれし泣きをしたという経験をしています。そこから、連帯感がなければチームは強くならないということを学び、卒業までやりきることで達成感を味わう。連帯感と達成感が体に染み付いているわけですよ。

彼らはお店でも、「一緒に頑張ろう!」「楽しんでやろう!」というのが上手です。場を盛り上げ、連帯感と達成感をもたらしてくれますね。部長や店長でなく、普通のいちスタッフであってもですよ。だから、硬式野球部が必要なんです。

ジェイグループ 新田会長インタビュー

藪ノ:GM(ジェネラルマネージャー)制度は、役員以外の社員も店舗運営のチャンスが得られると伺いました。これは、具体的にはどのような基準で選んでおられるのでしょうか?

新田氏:社員が自由に立候補できます。過去に、一つのお店に複数名が立候補したときは、くじ引きで決めたり、ジャンケンにしたこともあります(笑)。もちろん、1年目の社員がGM制度に選ばれることもあります。そこで活躍すれば、去年店長だった先輩より給料が上回りますからね。若い人たちに下克上の機会を与えているわけです。「若いヤツ、出てこいや!」って。極端な話、本社の社員だって、自信があれば手を挙げてもいいんです。

藪ノ:医療互助の制度(センチュリー会)があると、安心して病院に行けますね。飲食業界では、福利厚生や保険そのものが整っていない企業が、まだまだ多いとされていますが・・・。

新田氏:業界の社会的地位向上なくして、やる気のある良い人材は入ってこないですよ。ダメな人がいっぱい入ってきて会社を作ったって、良い会社になるはずがない。そのためには、週休2日制にしなければならないし、保険などの制度も確立しなければならない。休みなんて多いに越したことはないでしょう?ボーナスだって払うべきだし。企業が儲かったら還元しなければならない。それは、外食だって同じですよ。うちだけじゃなく、業界全体がやらなければならないことです。

ジェイグループ 新田様インタビュー

失敗といわれても諦めなければ、成功への途上。

藪ノ:インタビュータイトルが「食のメンター」ということで、新田さんにもどなたか師匠となる存在はいらっしゃいますか?

新田氏:僕は外食に参入する前、全盛期のディスコ業界にいました。そこで、人として尊敬できる人にたくさん出会いましたね。特に大きな影響を受けたのは、ディスコ時代のグループのオーナーです。当時にして年商30億円を超えるグループ会社の社長に、まだ24歳だった僕を大抜擢してくれた本当にスゴい人です。

残念ながらもう亡くなってしまったのですが、「地位が人格をつくる」とおっしゃたその言葉が、「若い人にチャンスを与えたい」「社員の数だけスターを作りたい」「自分たちの仲間の可能性を強く信じていたい」という僕の考えのベースになっているんだと思います。

藪ノ:新田さん自身、失敗や挫折をした経験はありますか?

新田氏:一切なし。失敗なんか思ったことないもん。すべて成功(笑)。今まで何をやってもうまくいったと思っています。周りの人からすれば、「これはあり得ないでしょう」っていう失敗はいっぱいあったけれど、僕自身にとっては成功。失敗って、途中で諦めるからそうなるわけであって、諦めずにいれば、それは成功への発展途上。世の中って、失敗するより、諦める人のほうが多いわけでしょ?「こうしておけば良かったな」と思うことはあります。でもそれは、次の成功へのバネになります。

藪ノ:経営者としては大変なことも多いと思うのですが、立ち直りは早いほうなんですか?

新田氏:立ち直りは早い。というか、気にしてない。「うまくいったら周りのおかげ。失敗したら自分のせい」って思っていれば格好いいし、本当にそう思えたらそんな素晴らしい人生はないと思います。でも、僕は絶対に自分の失敗を認めない。

ジェイグループト 新田様インタビュー

藪ノ:最後に、今後挑戦していきたい分野はありますか?

新田氏:分野を問わず、外食であろうがなかろうが、チャンスがあれば何でもやっていきたいと思っています。だから社名に、「ダイニング」とか「テーブル」とか、外食を連想させる言葉をつけなかったんですよ。可能性があったら服屋さんだってやるし、エンターテインメントにも興味があります。こうなったらプロ野球球団でも作ってしまおうかな(笑)。

藪ノ:本日はありがとうございました。

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編集後記

新田社長とお話していると、「従業員満足度の追求」という、今まさに外食企業に求められている本質的な存在価値に、長年アプローチを続けてきたことがうかがい知れます。
その上で、外食の魅力は独立にあると言い切るところがジェイグループホールディングスの強みです。

今までの飲食店経営は、独立・開業の修行・経験が出来るからと、薄給で労働環境が悪くても通用する時代がありました。

ただ、同社は、独立・開業の夢も達成できて、更に企業としての環境整備もされていると。まさに鬼に金棒です。
これからもジェイグループホールディングスの採用優位性は持続していくでしょう。
(取材:クックビズ藪ノ)

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