厨房から発生する残飯や油脂を分離するグリストラップ(油脂分離阻集器)は、定期的に清掃しないと排水管の詰まりや悪臭・害虫の発生源になります。また清掃時に発生する油泥や残渣(ざんさ)は産業廃棄物となるので、排出者は適切に処理することが求められています。
通常は飲食店従業員が実施しているグリストラップ清掃ですが、これを請け負っているのが「株式会社ダイキョウクリーン」です。従業員の負担軽減、排水管の漏洩事故予防、コンプライアンス(産業廃棄物の適切処理)といった点からも注目されている、グリストラップ清掃サービスをご紹介します。
目次
広域(関東・関西14都道府県)を自社で一括対応
グリストラップ清掃を主たる事業とする「株式会社ダイキョウクリーン(以下ダイキョウクリーン)」は、兵庫県伊丹市より委託され一般廃棄物の収集運搬を行う「株式会社大協」から2016年に分社しています。もともとは「株式会社大協」の事業のひとつとしてスタートしたグリストラップ清掃ですが、そもそも着目したきっかけは何だったのでしょうか。
「事業系一般廃棄物を回収していた飲食店様から、グリストラップの清掃と合わせて、油泥残渣を回収できないかと聞かれたのがきっかけです。グループ会社に汚泥の中間処理施設があったことも、問い合わせいただいた理由だと思います。弊社には廃棄物を収集運搬する車両はありますが、抜き取りに必要な専用のバキューム車は所有していませんでした。当時は一般廃棄物の収集運搬以外の事業を模索していた時期でもあり、要望があるならと必要な器材を整え、2010年にサービスを開始しました」
グリストラップ清掃は、一般的には4〜5人規模の事業者が多く、ダイキョウクリーンのように営業部隊を持ち、組織的な体制を整えている会社は数社ほど。ダイキョウクリーンはグループ企業を含め広域でサービスを展開できることが差別化ポイントになり、チェーン店を展開する大手飲食店を中心に支持を広げてきたのだとか。
「大手飲食チェーン様では、A店はしっかり清掃しているけど、B店は心配な部分がある、と差が出てしまうことも。産廃処理も個々の店舗がそれぞれの業者に依頼していました。弊社ならば、A店にもB店にも同じクオリティ、同じ価格でサービス提供できます。そんなところが重宝されたのでしょうね。
手間がかかるグリストラップ清掃を外部の業者に任せることで、従業員は本来のサービスに集中できているというメリットもあるようです」
ダイキョウクリーンはもともと関西を拠点にしていましたが、広域で事業展開する飲食チェーン店から関東での清掃仕事も依頼されるようになり2015年に東京オフィスを構えました。現在、関東・関西の14都道府県をカバーし、主要取引先には「日本マクドナルド(株)」「(株)すかいらーく」「スターバックスコーヒー・ジャパン(株)」といった大手飲食業者が名を連ねます。
プロの清掃業者だからこその「手作業」
一般的なグリストラップ清掃の頻度の目安は
- 排水に含まれる残飯を取り除くバスケットの清掃は毎日
- グリストラップ内に浮いている油脂の除去は週1回
- グリストラップ内部に付着した油脂を全てきれいにする清掃は2〜3カ月に1回
とされています。
グリストラップ内部の清掃は大変な作業ですが、そのまま放置すると悪臭が発生し、排水管が詰まる原因にもなります。特に老舗飲食店は排水管が詰まって漏水トラブルになることを心配しているそうです。
「トラブルを起こせば、一度で何十万円もの損害が出てしまうこともあります。過去に漏水トラブルなどを経験した飲食店様はそのことを知っていますから、弊社のサービスを利用することで発生するコストを<予防コスト>として捉えているようです」
ダイキョウクリーンが提供するグリストラップ清掃は、最新機材とローテクがミックスしています。油泥残渣を抜き取るバキューム車が入れない高層階や複合施設用にはポータブル機材を導入する一方、実際の清掃作業は作業員が手作業でブラッシングしています。
「お客様は手作業をしているのを見てとても驚かれますが、これが一番確実で失敗しない方法なのです。手作業といっても、作業手順・洗剤・服装など、さまざまなノウハウの蓄積があります」
一般的なグリストラップ清掃であれば、かかる時間は20分程度。作業の早さとクオリティを知ってしまうと、専門業者に依頼することのメリットを感じる飲食店があるのもわかります。
コンプライアンス上の安心感がメリットに
グリストラップで発生する油泥残渣は産業廃棄物なので、排出事業者が適正に処理する責任があることが法律で定められています。ダイキョウクリーンは産業廃棄物の収集運搬許可を取得しているので、処理を依頼する排出事業者の法令遵守も徹底できます。
「大手の飲食店様はコンプライアンス(産業廃棄物の適切処理)を重視する傾向が強くなっています。グリストラップ清掃と合わせ、弊社のような許可を取得している事業者が適正に産業廃物を処理することに安心感を持っていただけるようです」
産業廃棄物処理業者は都道府県知事の許可が必要です。店舗がある地域の業者に依頼することもできますが、チェーン店のようにいくつものエリアをまたがって展開している場合は、広域で許可を取得している業者に依頼するのが安心。ダイキョウクリーンの強みがいかされているようです。
サービスは排水管清掃・排水槽清掃にまで拡大
グリストラップ清掃からスタートしたダイキョウクリーンの事業は、現在思わぬ方向に発展しています。
グリストラップの次は、排水管の清掃も頼まれるようになっているのだとか。グリストラップ清掃でこれまで培ってきた知識は、排水管を詰まらせないための定期清掃や万が一のトラブル対応にとてもいかされているといいますが、排水管清掃には高圧洗浄車やポータブル洗浄機、配管内をチェックするカメラスコープという、今までにはない設備投資が必要になります。
ですが、ダイキョウクリーンは積極的です。
「グリストラップ清掃をスタートした時と同じです。お客様の要望があるなら、設備投資も惜しみませんよ(笑)」
グリストラップ清掃や排水管清掃などを長年請け負って、コツコツ積み上げてきた信頼や実績が、さらなるサービスのリクエストへとつながることもあるようです。
「グリストラップ清掃のために、閉店後の店舗に鍵をお借りして入ることもあります。信頼関係ができてしまえば、いろいろなことを頼まれる業者になりうるのです。グリストラップ清掃に限らず『お客様にとってなくてはならない業者』そんな存在でありたいですね」
現在では、排水管にとどまらす、ビルや商業施設の地下などに設置されている排水槽の清掃や発生する汚泥(産業廃棄物)処理を依頼されることもあるそうです。
ビルイン型店舗でもOK
実際、厨房や店舗など、目に見える部分の清掃業務を請け負うサービスは多くありますが、目につきづらいグリストラップ清掃や廃棄物処理、排水管に関するサービス提供は、業界でもまだそこまで認知されていないかもしれません。
また、グリストラップ清掃を「外注」できるものだと知る飲食店はまだ一部かもしれません。こうした専業のプロに委託するメリットは、飲食店経営の効率化、従業員サポート、排水管トラブルなどの予防、コンプライアンス(産業廃棄物の適切処理)管理の安心感など、多数ありそうです。ダイキョウクリーンの強みとして商業施設や駅ビルに入居している店舗でも対応可能なことがあげられます。
今後も飲食店運営の影のサポート役として、任う役割は大きくなりそうです。
企業名 | 株式会社ダイキョウクリーン |
本社住所 | 兵庫県西宮市鳴尾浜2-1-16 |
TEL | 0120-496-901 |