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そもそも、なぜ最近外国人労働者が増えているの?
日本で働く外国人労働者が増えているという話はよく聞くけれど、一体なぜ増えているのでしょうか。
まずはその大きな理由2つを説明していきましょう。
理由① 一億総活躍社会でも「全然足りない働き手」
国立社会保障・人口問題研究所が発表する日本の将来人口推計によると、日本の人口はここ数年間約1億2700万人ですが、2065年には8808万人まで減少するといわれています。
その中でも15~64歳のいわゆる「働き手」である労働人口は、現在の約4割減となる見通し。
すなわち、これからますます人手不足は加速するため、外国人を労働力として頼らなければ日本経済が回らなくなってしまうのです。
理由② バブル期を上回る「売り手市場」
さらに注目したいのは、有効求人倍率(ハローワークに登録されている「仕事の数」を「応募者の数」で割ったもの)です。
厚生労働省が発表した2017年4月度の求人倍率は、バブル期で最も高かった1990年7月の1.46倍を上回り1.48倍。
各事業所が人を欲しがっている状況、つまり職を探している人の方が有利な「売り手市場」なのです。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000165707.html
(出典:厚生労働省HP)
労働者の獲得が難しいこうした状況で、各事業所が積極的に行っているのが「外国人労働者」の雇用による人手不足の解消です。
厚生労働省が発表した2016年10月末現在の外国人労働者数は、108万3.769人。
前年同期比で17万5.873人(19.4%)増加し、4年連続で過去最高を更新しています。
外国人労働者増加の背景には、「募集しても人がなかなか集まらない」「アルバイトを確保しようと思ったら時給をかなり上げないと採用できない」といった、飲食業界全般における日本人の人手不足が影響しているようです。
また一方では、外国人観光客の増加に伴い「外国人の対応ができる人が欲しい」といったニーズの高まりもあるようです。
外国人労働者を雇用したいなら、必ず知っておくべき基礎知識
まず最初に、外国人労働者を雇用するときに事業所が必ず確かめたいのは「在留資格」です。
一般的に「就労ビザ」と呼ばれる在留資格を持っている外国人が雇用の対象になりますが、在留資格には27種類あり、それぞれの資格に定められた範囲で就労が認められています。
詳細は入国管理局のホームページで確認することができます。
ここでは、外国人労働者を雇用する際に必ず知っておきたい基礎知識を5つご紹介します。
基礎知識① 就労活動に制限がない在留資格もある
在留資格の中でも、次の4つを持っていれば、就労活動に制限がありません。
- 永住者
- 定住者
- 永住者の配偶者等
- 日本人の配偶者等
基礎知識② 外国人留学生をアルバイトとして雇うことができる
外国人学生の場合は、「留学」という在留資格を持っています。
この資格は「日本で勉強をする」という活動のための資格であり、働くことが目的の資格ではありません。
ただ、多少のアルバイトをしなければ生活できない場合もあるので、学業に支障のない範囲での就労が認められています。
そのため、外国人留学生をアルバイトで雇用する場合は就労時間に制限があります。
基礎知識③ 外国人留学生のアルバイトは週28時間の労働時間制限がある
「留学」の在留資格を持っている外国人留学生に認められている労働時間は、学業に支障のない範囲とされる「週28時間」。
日本で定められている週1日の法定休日が適用されるので、この28時間は1週間のどこから数えても28時間になる必要があります。
また、2つの事業所でかけもちをしている場合は両事業所の合算で28時間以内であること、残業代もこの28時間以内であることが定められています。
基礎知識④ 外国人留学生のアルバイトは学校の長期休暇中は週40時間勤務できる
「留学」の在留資格をもつ外国人留学生には、学校の長期休暇があります。通常は28時間以内の就労が定められていますが、この長期休暇の期間中には、1日8時間・週40時間までの勤務が認められます。
基礎知識⑤ 飲食業では「調理師」という専門職でのみ外国人労働者の正社員雇用が一般的
正社員として外国人労働者を雇用する場合、飲食業であれば27種ある在留資格のうち「技能」が該当します。
ただし、注意点として外国料理の調理師という専門職のみに該当するので、一般的にはホールスタッフなどで雇用することができません。
なお、専門職の雇用には次の2つのケースがあります。
(A)日本に住んでいる在留資格「技能」を持つ外国人労働者を雇用する場合
まずは面接で在留カードの有効期限を確認。雇用したい場合は、事業所が「技能」の在留資格の要件を満たしているか確認しましょう。
もし、在留資格の要件について判断がつかない場合は、入国管理局や費用が発生行政書士に相談すると安心です。
(B)外国に住んでいる外国人労働者を雇用する場合
外国に住んでいる外国人労働者を雇用する場合、雇用側が「技能」の在留資格申請を行う必要があります。
その場合、雇用したい外国人が調理師とし通算10年以上の経験があること、それを証明することが条件となります。
この申請には通常2~3カ月かかるので、雇用するまでにある程度の期間を設けておく必要があります。
外国人労働者を雇用するときに、しっかり確認しておきたいこと
外国人労働者を雇用する際には、事業所側がいくつか確認・管理する必要のあることがあります。
罰則を伴うものもあるので注意が必要です。
ここでは、気をつけておきたい確認事項を4つ紹介しましょう。
確認事項① 面接時は「在留カード」を必ず確認する!
外国人労働者の面接時には、必ず本人が所持する「在留カード」を持参してもらい、在留資格に間違いがないか、在留期間があとどのくらい残っているかを必ずチェックするようにしましょう。
確認事項② 「在留期間」は雇用側も管理する!
在留カードにはそれぞれ在留期間があり、更新時期のお知らせなどは労働者・雇用側に届くことはありません。
うっかり在留期間を過ぎてしまうと、「不法滞在者(オーバーステイ)」となり、労働者・雇用者ともに罰則される場合があるので雇用側でも期日を管理するようにしましょう。
確認事項③ オーバーワークは労働者・雇用者双方に罰則あり!
アルバイトの場合は週28時間、正社員の場合は日本で適用されている労働基準法に則り就業することが大前提になります。
この制限を超えてしまう「オーバーワーク」が発覚した場合、労働者・雇用者それぞれに罰則が適用されます。
◎雇用者に対する罰則
雇用者は不法就労助長罪が適用されます。3年以下の懲役、300万円以下の罰金またはその両方の対象となります
◎労働者に対する罰則
不法就労にあたりいわゆる強制送還の対象になる可能性があります。
過去強制送還になった外国人は最低5年間、日本に入国することができなくなります。
確認事項④ トラブルになりやすい「雇用契約書」の締結には慎重に!
外国人労働者と雇用側でよくあるトラブルが「評価」や「報酬」「昇格」などについての雇用条件に関すること。
外国人との雇用契約では、日本人の常識や商慣習の違いから誤解を招きやすいため、雇用契約書や労働条件通知書などの作成は非常に重要です。
また、締結する雇用契約の労働条件は、勘違いなく理解される状態にしなければなりません。
外国人の場合は日本語を理解できるといえども、日本人でも読み返さなければならないような難しい言語や回りくどい表現は避けて、できれば母国語の雇用契約書も用意しておくと安心です。
これからますますニーズが高まる外国人労働者の雇用。日本で働く外国人と外国人を受け入れる事業所がお互いにメリットのある労働環境を構築していくためにも、ぜひ参考にしてみてください。
いざという時に!外国人労働者に関連した書類作成やマネジメントなどの相談先
費用はかかりますが、行政書士や社会保険労務士に相談するのが最も安心です。
- 法的な手続きなどを請け負ってくれる「行政書士」。外国人労働者を雇用する際に必要な官公署に提出する届出書類の作成や、予防法務業務、各種コンサルタントなどは「行政書士」にご相談を。
- 社会保障の書類作成や労務管理を請け負ってくれる「社会保険労務士」。関連法令や社会保障法令に基づく書類等の作成代行等や、企業を経営していく上での労務管理や社会保険に関する相談、指導は「社会保険労務士」に依頼できます。
■ 外国人労働者に関連した法律についての取材協力・記事監修
法人名 | Links行政書士事務所 |
担当 | 所長 柏本 美紀さん |
住所 | 大阪市中央区内本町1-2-15谷四スクエアビル8F(BIZcircle内) |
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