イメージ写真:カフェの店内でトレイを手に笑顔の女性スタッフ

飲食店においてお客様に満足していただくためには、「料理の味」や「お店の雰囲気」などさまざまな要素があります。そのなかでも忘れてはならない要素のひとつが「接客」です。
接客はお客様の店への印象を左右し、売上にも影響する重要な要素です。

では、接客の質を上げ、他店と差別化するためにはどのような工夫を行えば良いのでしょうか。飲食店の店長さんなどのために、お客様に好印象を与える接客のポイントを紹介します。

接客の重要性

イメージ写真:カフェ店内でお客様に商品を提供する女性スタッフ

飲食店の基本理念に「QSCA」という言葉があります。QSCAとは、

  • Quality(クオリティー)=品質
  • Service(サービス)=接客
  • Cleanliness(クレンリネス)=清潔
  • Atmosphere(アトモスフィア)=雰囲気

の4つの要素の頭文字から成り、多くの飲食店の評価指針として採用されています。

その中でもService(サービス)、つまり接客は店とお客様との関係を左右する重要な要素です。普段何気なくしているお客様への対応も、改善することで店に良い影響を与えられるかもしれません。業態や客単価、立地によって、お客様が求める期待する接客サービスは異なりますので、お店に合った接客サービスを追求することが大切です。

では、接客の重要性について確認しましょう。

顧客満足度が向上する

顧客満足度の向上のために、新規メニューの開発や目を引く外装や内装にこだわる店も多いでしょう。
しかし、いくら提供している料理の質が高く外装や内装がきれいでも、従業員が不親切だったり対応が遅かったり、接客の質が悪ければお客様は店に対して不満を抱いてしまいます。

反対に、従業員がにこやかで細かな気配りのできる店はお客様に「心地の良い店」という印象を与えられます。

接客の質は、料理の味や店の雰囲気などほかの要因をもってもカバーできない要素です。接客サービスの充実度は満足度向上につながり、ひいては売上にも直結します。

リピーターが期待できる

接客の良し悪しはリピーターの獲得にも影響します。気持ちの良い接客をすれば、お客様に「また来たい」と思ってもらいやすくなるでしょう。
いわゆる常連と呼ばれる店に親しみをもってくれるお客様がいれば、競合の店舗が周辺にあったとしても、優先的に選ばれやすくなります。
リピーターの獲得は、売上に直結するだけではありません。リピーターから良い口コミが広がることで、さらなる集客も見込めます。

好印象をもたれる接客

イメージ写真:居酒屋のお座敷でお客様に料理を提供する女性スタッフ

お客様から好印象がもたれる接客とは、どのような接客でしょうか。好印象を与える接客のポイントを紹介します。

正確

接客において重要な要素のひとつが、対応の正確さです。

オーダーを聞き間違えて別の料理を提供してしまう、お釣りの金額を間違えてしまうなど、正確さに欠けた接客はお客様の店への印象を下げることにつながります。

オーダー時はお客様が頼んだメニューを復唱し、聞き間違いのないようにしましょう。提供時は料理が注文通りかどうか確認のうえ、テーブルに置くようにします。

料理に関する知識は、店長や一部の人だけが知っているといったことがないようにします。たとえ従業員間で上下関係があったとしても、お客様からすればみんな等しくその店で働く従業員です。パートやアルバイトを含めたすべての従業員が正確な知識を身に付けるようにしましょう。

また、金銭の間違いは店の信用に関わる問題に発展しやすいため、お会計時のやりとりはとくに注意が必要です。お釣りの間違いが発生しないように、2重チェックの徹底や自動レジを導入すると良いでしょう。クレジットカードやICカード、スマホ決済などの導入も効果的です。

公平

すべてのお客様に対して公平な接客を行いましょう。

接客の順序は、先に来店したお客様や、注文をとったお客様から優先的に料理を提供します。

お客様の身なりやひととなりで対応を変えることはもちろん、常連のお客様だからといって過度にひいきにすることも控えましょう。

迅速

来店したのに、店員さんが伺いにきてくれない、などで待たされることに不満を抱く方の方が多いので、できるだけ迅速な接客を心がけましょう。

たとえば、お客様と目が合えばすぐに注文を取りに行けるように、店内では常に目を配りましょう。お冷のコップが空になっていれば、こちらから注ぐようにします。その他にも、食事が終わった食器が片付けられずテーブルに置かれたままになっていないかなどを常に意識しておきましょう。

また、提供に時間がかかる料理がある場合は、必ず事前にお客様に伝えておきましょう。メニューにも時間がかかる旨を記載しておくと安心です。

もちろん、ゆっくりと食事を楽しみたいというお客様もいます。対応が早すぎると「退店を急かされている」と感じさせてしまうため、料理を運んだり追加の注文を尋ねたりするときは、お客様の食事のペースに合わせるようにしましょう。

テーブルを除菌スプレーで拭くところ

清潔

店内の清潔さはお客様の店への印象を左右するため、店舗と従業員の両方の衛生管理が重要です。

まず、店内の清掃は万全に行いましょう。

すべての従業員が店内の清掃に取り組めるように掃除場所の担当割り振りなどといった清掃のチェックリストを設けます。また、箇所ごとに清掃マニュアルがあれば「掃除の仕方がわからず手を付けらない」といった事態を防ぐことができます。

同時に、従業員の身だしなみもチェックしましょう。制服に汚れがあったり爪が伸びていたりすると、「従業員の衛生管理が行き届いていない店」という印象を与えてしまいかねません。

爪は短く切り、制服が汚れている場合は新しいものに取り換えましょう。男性従業員は髭を毎日剃る、女性従業員はナチュラルメイクにするなど、お客様に清潔な印象を与えられるように指導します。

お客様をよく観察する

お客様が来店する理由は人によってさまざまです。一人で静かに食事を済ませたいという方もいれば、誰かと会話を楽しみたい方もいます。お客様の目的ごとに適切な対応を行いましょう。

お客様が店内でどのように過ごしたいのか観察し、考えて目的に合った対応を心掛けましょう。

立ち振る舞い

明るく笑顔で対応してもらえることは、お客様に気持ちの良い印象を与えます。「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」といった基本のあいさつは笑顔でハキハキと行いましょう。

お客様と信頼関係を築くには定型的なあいさつだけでなく、自らの言葉で接することも効果的です。「お足元の悪い中ご来店くださりありがとうございます」というように場面や状況に合わせてお客様を気遣う言葉をかけると、喜んでもらいやすいでしょう。

また、お客様と適切な距離感を保つことも大切です。

初めて来店するお客様に必要以上に接してしまうと、不快な印象を与えてしまうかもしれません。相手のパーソナルスペースに入らないように、近すぎず遠すぎずといった距離感を保つようにしましょう。

店を続けているうちに、常連やなじみのお客様ができることもあるでしょう。お客様と親しくなったとしてもフランクすぎる話し方は避け、敬語で接することは忘れないようにしましょう。

編集後記

質の高い接客サービスは、顧客満足度の向上やリピーターの獲得につながります。
好印象の接客を行うには、正確さや迅速さが求められます。しかし、マニュアルどおりの定型的な対応だけでは、お客様の心をつかむには一歩及ばないかもしれません。
お客様が来店する目的や求めていることを理解し臨機応変に対応することは、接客サービスの向上およびにお客様の満足度向上につながることでしょう。
お客様の満足度を上げる接客サービスについて、ぜひ改善点はないか探してみてください。