尊敬すべき人からの言葉は「年商250億円企業で、外食業界を語るな」
藪ノ:飲食業界は離職率が高い。このインタビューのテーマでもある「メンター」、つまり目指したい人が近くに居なくて、厳しい仕事を頑張れない人が多いと思うんです。松村さんは、どうやって飲食業界の離職率を改善すべきだと?
松村氏:労働環境が悪すぎます。うちも含めて、もっと魅力的な会社を作らないといけないと強く思います。若い人が「入りたい!」という会社にしないと。
「この業界は20年以上変わっていない」と業界の人ともよく話します。離職率はずーっと悪いまま。とにかく環境が悪いんです。店舗ごとに分かれていると風通しも悪くなる。そういう意味で、社内報とかも大事ですよね。当社はやっていませんでしたが、やっぱり大事だと思います。一体感!というか、人とのつながりを意識させるのは離職率を下げるには大切な要素だと思っています。
藪ノ:松村さんのなかで「メンター」といえる方ってどなたですか?
松村氏:それはもう、焼き肉チェーン「牛角」創業者の西山知義社長しかないですね。ほかにももちろん甲乙つけがたい素晴らしい方々がいますが、西山社長は外食でも一番じゃないか、そう思います。私と年齢は近いですが、実力や能力や人間性とか天と地(笑)、全然違います。何でも聞けば教えてくれますし、応えてくれます。だから、こちらからどんどん会いに行っていますよ。
藪ノ:メンターである西山社長は「熱狂宣言」にはどんな評価をされていましたか?
松村氏:作ったあと相談したら「熱狂宣言」に対しては否定的でした(笑)。というのは、西山社長が唱えるチェーンストア理論じゃないですから。10番をつけて点を決めに行く、というスタンスも「言うのは簡単だけどやってみろ、大変だぞ」とおっしゃっていました。外食のマーケットは25兆円。うちの年商は250億円、つまり0.1%です。西山社長には「その程度のシェアの企業が外食を語るな」って言われますよ(笑)。確かにそうだな、と。もちろんご本人は、ご自分のことも含めて謙虚におっしゃっています。ちょっと成功すると勘違いしている人が多いんですよね。いや、すごいですよ、西山社長の経営理論は。私も会うたびに気が引き締まります。
藪ノ:その他に交流のある方はいますか?
松村氏:たくさんいらっしゃいますが、中でもお付き合いが長いのは、学生時代にアルバイトしていたサイゼリアの正垣泰彦会長でしょうか。今でも親交がありますよ。まだサイゼリアが8店舗くらいしかなかった時、私は大学生でアルバイトをしていたんです。当時はまだ規模が大きくなかったから、私は厨房で生牡蠣を剥いていました。今では全国規模のファミレスチェーンなのに不思議でしょう?基本はイタリアンですからね。今では包丁も使わないほど組織化された大企業ですけど、当時は厨房でそんな下処理作業をしていました。今でも時々、正垣会長のもとにいろんな飲食業界の経営者が集まるんです。みんなヒントをもらいにきてるんですよね。
藪ノ:みなさん社長になっても学ばれてるんですよね。私たちクックビズは人材サービス業なんですが、飲食業界だけに特化しているので、今はただのいち業者かも知れませんが、「飲食を人気業界にするんだ!」っていうミッションを持ってみんなで頑張っているんです。皆さんのように勉強し続ける企業様と一緒に頑張って、飲食を人気業界を出来たらいいなあと、本当に思います。
松村氏:私も目指される存在にならないといけないと思いますね。でもその反面、よく分からない企業でもいたい。例えば、野球をやるところで格闘技をやってるとか、サッカーの試合をやるところでアイスホッケーやってる、とか。それが僕らのスタンスだから。わからないことが競合優位性になる、いやわかってもらっちゃ困るというか。
藪ノ:確かに、私も先輩経営者の方々からよく言われますね、どこで儲けているか分からないようにしろと。他社がわからないことは競合優位性に繋がるんですね。
“わからない”存在で有り続けるためには、考え続けること。
藪ノ:いつも私たちが分からない、つまり思いつかないような面白い構想をお考えだと思います。最後に、いま一番オススメの面白いネタを教えて下さい。

松村氏:4月にオープンする店があるんですが、1967年生まれの社長が3人集まって企画しているすごい店舗です。なんといってもコンセプトは「東京中のいいオンナを集めろ」ですから(笑)。詳しい内容はまだお話しできないのですが、かなり注目されていますし、期待大です。
藪ノ:ものすごい大きな坪面積のお店になるとか?
松村氏:そうなんです。スケールの大きさもすごいんですが、関わっているメンバーがすごく面白い。“総監督”はゼットンの稲本健一氏、内装は、業界の人なら知らない人はいないインテリアデザイナーのグラマラス・森田恭通氏、そしてわたし、ダイヤモンドダイニング松村厚久の3人。みんな1967年生まれなんです。運営はうちがしていて、億単位の出資はしているけれど、実は丸投げ番長ってほかの二人からは言われたり(一同爆笑)。要はまず面白いことを考える、まわりが分からない事をいち早くアウトプットしなきゃ駄目なんですよね。
さらに「焼鶏 しの田 麻布十番」もオープンします。コンセプトは「日本で一番高い焼き鳥屋」。2月25日にオープンなんですが、「しの田」は、長年「今井屋」の総料理長をしてきた人物の名前なんです。単価は15,000円くらいでしょうか。焼鶏割烹、というイメージのお店です。これも私がコンセプトだけを考えました。形にしてくれる周りの優秀な仲間に感謝し、これからも面白いコンセプトを考え発信し続けます。「熱狂宣言」を体現する当社、ダイヤモンドダイニングを楽しみにしておいて下さい。
編集後記

社員総会で「熱狂宣言」を発表されたばかりの最高のタイミングでお話を伺うことができ、嬉しくも大変緊張してインタビューに臨みました。
しかし、取材の間、常に場を楽しませようと時に情熱的に、時にジョークを交え、場を盛り上げて下さる松村社長に、生粋のエンターテイナーだと感じました。また、場を盛り上げるだけでなく、私にお薦めする本を自らセレクトして頂いたりと細やかな気配りもとても印象的でした。
(取材:クックビズ藪ノ)
1 2