
飲食店の印象を左右する重要な業務のひとつが清掃業務です。清掃業務を効率よく行うために、飲食店ではさまざまな工夫が取り入れられています。
清掃マニュアルを作成するのも工夫のひとつで、清掃業務を自分の店舗のスタッフで行う場合に効果的です。
では、飲食店で清掃マニュアルを作るメリットにはどのような点があり、具体的にどのようにしてマニュアルを作成すれば良いのでしょうか。
この記事では、清掃マニュアルを作成する際に押さえておきたいポイントや作成手順について解説します。
目次
飲食店で清掃マニュアルを作るメリット
飲食店における清掃マニュアルとは、店内清掃の目的や流れ、ポイントや確認事項などを文書化して明記したもののことを指します。
飲食の店舗経営に必要なマニュアルのひとつで、業務フローを明確にする目的で活用することが一般的ですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここからは、飲食店で清掃マニュアルを作成するメリットや効果について紹介します。
顧客満足度を高める
飲食店では、清潔な環境を保ち衛生管理を徹底することで、食の安全とお客様の健康を守る必要があります。
清潔感ある店内は衛生状況にも気を配っている印象を与えるため、安心して食事を楽しんでもらうことができます。清掃状況は店の評価だけでなく業績をも左右する重要なポイントです。
清掃マニュアルを作成することで、常に清掃が行き届いた店内を維持でき、顧客満足度アップにつながるメリットがあります。
効率よく清掃ができる
清掃マニュアルを作成しておけば、効率よく店内を清掃することができるため、いつもきれいな状態を維持できるのもメリットのひとつです。
どうしてもお店が忙しくなると、お客様対応や調理などを優先し、大切だとわかりながらも優先度が低くなってしまい、いつか掃除自体が行われない状態にもなりかねません。
また、「気がついたスタッフが率先して行う」といった、いわばスタッフのホスピタリティに頼った状態はいつかスタッフ内での業務量の偏りに対する不満が発生してくるリスクも生じてきます。
そのため清掃作業を業務の流れの一部として組みこみ清掃マニュアルを作成することで、後回しにならず、スタッフ全員でスムーズに清掃を済ませることができます。
また、頻繁に汚れるお手洗いなどの清掃作業は1時間に1回など時間を決めてチェックすれば、清潔な状態を保てるでしょう。
清掃作業を業務ルーティーンの一部に入れてしまうことで、流れ作業のようにスピーディーに清掃を完了することができるようになるのも清掃マニュアルを作成するメリットです。
店の清掃目的やルールをスタッフで共有できる
店の清掃目的やルールをスタッフで共有できるため、清掃の質を一定に保てるほか、安全な食品を提供でき、衛生管理を徹底化できるメリットもあります。
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スタッフによって清掃状態に差がでないよう新人教育に清掃マニュアルを取り入れるのもおすすめです。
また、どの部分に汚れが溜まりやすいか、この汚れはこの手順で清掃するとよく落ちるなど、スタッフ間でコツを共有することもできます。
結果的に清掃自体のクオリティ向上にもつながるので、常に店内の清潔感をキープできるのではないでしょうか。
飲食店で清掃マニュアルを作る際のポイント
清掃マニュアルを自分の店舗向けに作成する場合、どのような点を意識して内容を決定していけば良いのでしょうか。
ここからは、清掃作業を効率化させ、どのスタッフが清掃を行っても一定のクオリティを維持できるようにするための清掃マニュアル作成におけるポイントについて紹介します。
1.写真や絵を盛り込んでわかりやすく作る
飲食店で清掃マニュアルを作成するポイントのひとつが、写真や絵を盛り込んでわかりやすく説明を記載することです。
マニュアルは、はじめて業務を行うスタッフにも理解できるものでないといけないため、具体的な表現方法を取り入れる必要があります。
写真や絵を活用して、細かい部分の清掃方法やどの道具を使用するのか、手順なども含めて明示しておきましょう。
見本があることで清掃のレベルをそろえやすくなるので、新人スタッフでもマニュアルを見るだけで清掃作業ができるようになります。
使用する道具の説明や清掃の手順、どのような状態になれば清掃完了だと判断できるのかなどの基準を盛り込むと良いでしょう。
最初に1日の清掃作業の流れをすべて書き出しておけば、時系列に沿って実際の清掃業務に落とし込みながらマニュアルを作成することができます。
2.注意書きを記載する
注意書きを記載して特に注意すべき場所やミスが多い箇所を盛り込み、作業中に意識できるようにするのもポイントのひとつです。
掃除のポイントやどの程度の清潔さが求められているのかがわかりやすくなるうえに、注意喚起になるのでしっかりと取り組むことができます。
たとえば、接客サービスの一環である最終バッシング(お客様が退店された後の片付け)時にテーブル下やソファも確認するなど、見落としがちな清掃ポイントを明記しておきましょう。
具体的な注意書きとして以下を参考にしてみてください。
<例>
- 調味料トレイの汚れを確認すること。
- 椅子や座席周りに汚れを確認すること。
- 窓や照明の傘などにホコリはないか確認すること。
注意書きとして記しておきたい部分については、文字色やフォントサイズを変えて一目でわかるようにしておくと効果的です。
3.チェックリストを活用する
チェックリストを活用して効率よく清掃作業を行うことに加えて、掃除の抜け漏れを防ぐ工夫も有効です。
百貨店や駅などのお手洗いで、時間やサイン(もしくは押印)がしてある表のようなチェックリストが掲示されているのを見た経験がある方も多いと思います。
お手洗いはとくに定期的なチェックが必要になる場所なので、チェックリストによって確認や清掃時間・清掃スパンの記録にも活用できる点がメリットです。
また、チェック項目をクリアすることを意識しながら作業を行うことができるため、効率よく清掃作業を進めることができます。
清掃の習慣化にもつながることから、掃除忘れを防ぐのにも役立ちます。店内清掃の質も維持できるので、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
サインする場所を設ければ、誰が清掃したのかを確認できるため、スタッフ一人ひとりが見られていることを意識した清掃を心がけるようになるでしょう。
また、掃除箇所のチェック項目に加えて、清掃用具の残量チェックの項目も設けておけば、消耗品補充のタイミングを図ることもできます。
具体的なチェックリストとして以下を参考にしてみてください。
<店舗の入口>
- 看板に汚れがないか?
- 入口周辺にゴミ、落ち葉が落ちていないか?
- 入口周辺に砂、泥汚れはないか?
- ドアのガラスがくもっていないか?
- 傘立てに水分が残ってないか?
- 灰皿は清掃できているか?
- ゴミ捨て場周りの清掃ができているか?
4.店の清掃方針を明記する
店の清掃方針を明記して、清掃時の意識向上につなげるのも清掃マニュアル作成時のポイントです。
清掃の手順だけを記載するのではなく、お店の客席とキッチンでの清掃目的や心がけて欲しいことを記載しておきましょう。
清掃する理由や目的が明確になることで、作業を行うスタッフが積極的に取り組めるようにすることが大切です。
スタッフが自然にお店の理念を意識して行動できるようになるため、清掃作業だけでなく業務全体における責任感の強まりにも結び付きます。
また、実際に理念や目的に沿うように、きれいに清掃ができているスタッフを評価してモチベーションを引き出すのも良いでしょう。
5.持ち運びできるサイズで作る
清掃マニュアルは、いつでも手に取って見ることができるものが理想です。
そのため、持ち運びできるようなポケットサイズのノートのように作成したり、重要なことはスタッフルームに掲示したりして随時確認できる状態にしておきましょう。スタッフのアイデアを書き込めるような自由記入スタイルにするのもおすすめです。
また、制服のポケットに入るようなメモ帳サイズであれば、スタッフ全員に配布することもできます。
6.定期的にマニュアルをブラッシュアップする
マニュアルは作成して完成ではなく、定期的にブラッシュアップを行う必要があります。重要なのは実際に清掃作業を行うスタッフに確認してもらうことで、わかりにくい部分があれば見直して記載方法をその都度変更しましょう。
飲食店の営業スタイルや方針は、時代の変化や流行に合わせて変化していくものです。
そのため、完成したマニュアルを定期的に見直して改善し、効率アップにつながる道具なども新たに取り入れるべきか検討すると良いでしょう。
古いマニュアルを使い続けることはおすすめできません。清掃作業であれば、老朽化に伴って慎重に作業すべき場所や、長年の汚れが蓄積して取れにくい場所なども出てきます。
月に1回や年に3回など、清掃マニュアルそのものを見直す時期などもルール化して設定しておくことで、常に新しいマニュアルに準じて作業できるようになります。
編集後記
飲食店では、接客マニュアルや調理マニュアルなどを含め、さまざまなマニュアルの種類があります。
清掃マニュアルもそのひとつとして作成すれば、清掃と接客を分けることなく、全体の業務における作業のひとつとして取り組めるようになるでしょう。
清掃して店内を清潔に保つことは、お客様に気持ちよく飲食を楽しんでもらうための「接客のベース」でもあります。
また、手が空いた際に簡単に清掃作業を行うなど、常に清潔に保てるようにスタッフ全員が意識することで、より清掃が行き届いた店内を実現することができるのではないでしょうか。