常識にはこだわらない、こだわるのは信念だけ。
藪ノ:今後は海外などへの展開は考えているのですか?
橘氏:考えてます。じゃどこから?っていうとまだ詰め切れていないんですが。中国から入るのか、シンガポールから入るのか。いずれにしても視野に入れたいと思っています。
半分冗談で言ってるがイタリアに行こう!なんて意見も。本場のイタリア人に認めてもらうような料理を作れたらいいね、それが事業の完成形だよねとはみんなで話しています。
藪ノ:逆に国内、もっというと地元の名古屋に対してはどんな思いをお持ちですか?
これからの事業展開にも名古屋、というキーワードは関係してくるのでしょうか?
橘氏:きっとありますね。「鉄」で言えば、八丁みそであったり、手羽先であったり、僕らが食べ慣れているものをひろめていきたい、っていう思いはあります。
なによりヴォーノ・イタリアにも、名古屋発のプライド、みたいなものはあります。
「さすが名古屋から来た企業さんだけのことはあるね」とは言われたいですね。
ただ、現状に満足することなく、今後もあたらしい「ヴォーノ・イタリア」を発信したいと常に思っています。
藪ノ:ヴォーノ・イタリア流の「あたらしい」のカタチをひとつを教えて頂けますか?
橘氏:テストランの話ですが、サラダバーをはずしたのです。
ずいぶん世間でもマストアイテムにはなってきているのですが、私たちはそこに固執しないでおこう、と。
お客様はおいしいピザとパスタが食べたいはず。サラダには手をかけすぎず、3人できていたら3人前の大きめのサラダをだせばいい。しかも食べ放題ではないので、ちゃんと原価もかけれる。それくらい信念を持って、とんがった明確なお店で良いと私は思うのです。
むしろ今後はテーブルに持ってきてもらう、というスタイル自体が増えそう。とりにいく、のではなくなる、そう考えるとドリンクバーも要らないのではと思ったりしています。
藪ノ:取捨選択ですね
橘氏:そう。つきつめていくと、街中にあるイタリア料理店が「ヴォーノ・イタリアが近くにきちゃったね!」と焦ってくれるくらいにならなければ。大手ファミリーチェーンは既に競合とは考えていません。僕らは独自路線を貫こう、といつも話しています。
藪ノ:これからもどんどん変わっていきそうですね。フランチャイジーはついていくのが大変かもですね(笑)
橘氏:そうなんですよ(笑)
たとえば急にサラダバーを外す、っていうっても設備的に難しいフランチャイジーさんもあるはず。なので、進化はするけど共存もするでしょうね。
サラダバーのある「ヴォーノ・イタリア」と無い「ヴォーノ・イタリア」が存在する。
でもそれは進化をとめないため。それが業態の寿命を延ばすことに繋がると思っているんです。
藪ノ:料理人にとっては、会社がおもしろい方向にいってると感じているでしょうね。ふつうのチェーン店だとマネジメントやファイナンスの部分を触れないと、「何しにきたんや?」となるけど、トラットリアの集合体となると必ずしもそうではない。「職人が活きる、チェーン店」ですね。
編集後記

橘さんとはこの日お会いするのが2回目。にも関わらず、昔から知り合いのような雰囲気が心地よく、懐の深さを感じます。そして素直で情熱的。この人間的な魅力が数々のチャンスを引き寄せる力となったのは疑う余地がありません。
変化の激しいこの時代において、トップがその業界の知識や技術に明るいというのは、会社を存続させていく上でマスト条件であると言われています。
そういう意味でも、元料理人で経営者感覚を持ち、チェーン展開をする橘さんはとても頼もしくあります。
今後も飲食業界という荒波に揉まれながらも、力強くその歩みを進めていくと感じたインタビューでした。
(取材:クックビズ藪ノ)