飲食店は、チェーン展開すればするほど、職人魂が必要。

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藪ノ:集まってきたスタッフもみんな経験豊富な人材ばかりですよね。 「もっと高い料理を出したい」なんていう声はおきなかったのですか?

橘氏:なかったですね。社員の半数以上は私が公邸料理人をしていた時などの後輩なのですが、みんな僕の考えに同感、同意してくれています。
一流の店もすばらしいけど、その想いなら一緒にやりたい、と。本当に人には困らなかったですね、資金繰りに困ったけど(笑)。

藪ノ:そもそもは皆さん職人さんなんですよね。でも「ヴォーノ・イタリア」はチェーンオペレーションが大切な店。正直、現実との乖離はないですか?オペレーション化できない“職人ならでは”のことをしたい、とかいった声は上がりませんか?

橘氏:当然あります。でもそれこそが大切で、ヴォーノ・イタリアがどんどん進化している証拠なんです。

「まだまだやりたいことがやれてない」、「ほんとはもっとこんなサービスもしたいんだ」というカードを切りきっていない、その思いが成長に繋がる。
今のオペレーションでもっと料理に固執したいんだ!っていう人間がいればいるほど、いい店になる、そんな風に考えています。

藪ノ:なるほど!チェーンオペレーションに、職人の技術を足していく、そんなイメージですか?

橘氏:そうですね。そのかわり、研修にパワーはかかるようになるかもしれません。

今は一ヶ月で済んでいるOPEN時の研修ですが、将来はその期間が伸びる可能性も十分ありうる。
今後は人材育成には特にとりくんでいきたいので、きっとそうなるでしょうね。

既に南イタリアのピッツェリアなどに、研修先はもういくつか決めているのです。
三ヶ月や半年ほどの期間でスタッフを巡回をしていこうと。ホスピタリティの面でも、今年の秋から有名テーマパークが開催している研修も取り入れます。真のおもてなしのこころ、料理のスキル等アップしていきたいと思っています。

よりよい飲食店になるために、働き方の改善は必須。

藪ノ:不人気だと言われる飲食業界。これについてはどうすれば改善出来るとお考えですか?

橘氏:とっても難しいですが、私たちもIPO(株式公開)を念頭においているので、この7月末の給料支払いから、深夜・残業手当をよりきちんと見直す方向で進めてきました。

まずはムダな残業を減らすこと。

そして暇なら、お給料が少ない、忙しい(売り上げがある)とお給料も多い、という感じで、ちゃんと反映されるカタチにしていくつもりです。

藪ノ:変形労働時間制を定着させるには、数年単位でかかると言われていますが。

橘氏:そうですね。しかし今期からトライアルではじめます。上場を見据える今、絶対に対峙しなければならない問題がサービス残業の問題ですから。

教育方法も、広く浅い知識だけでなく、得手不得手も見ながら、得意なところを伸ばしていく、そういうスタイルにしていきたい。そのほうが結果的に生産性が高まって、お互い幸せかなと。

例えばこの子はホールが向いてる、この子はキッチンが向いている、と性格や経験によって配置したり。

新卒ならバイト経験も参考にします。基本は専門特化して働く。早朝出社してみんなで協力しながらしていた掃除も、衛生部を確立してそのスタッフにお願いする。
みんなが業務に集中することで、きっと生産性あがるはずだと考えています。

もっとお客様に向かい合う時間を増やして、業務に集中出来る、負荷を減らしてあげられる環境作りも、今後の課題ですね。

藪ノ:ところで雑貨部門とIT部門がありますね。異色な部門ですが一体これはなぜ?これもスタッフの業務集中のため?

橘氏:雑貨事業部は、カナダ時代の人とのご縁でたまたま始めた部門です。手作りの本等を作って販売しているのですが、手間もかかりますし、いまはそんなに注力はしていません。

ただIT部門は、自社店舗で使用する店舗運営に必要なシステム開発などをしていますし、このシステムは外販もしますのでかなり力を入れています。
POSレジや、タイムカード、受発注等の管理が出来るシステムが、ノートパソコンがひとつあればできるようにしているのです。

よく「ハンディ」っていう注文を聞く時の機械があるでしょ?フルスペックで導入すると、400万円ちかくするといわれてる高価な設備です。

でも私たちも始めた当初、そのコストが負担で、後輩のエンジニアに開発を頼んだのです。「もっとタブレットとかで使えるような簡単なシステムができない?」と。レジ開発から入ってもらった彼が、今うちのIT部門担当です。

藪ノ:これもお金がないから工夫してやり続けてた結果、自社のシステムを販売出来るくらい迄になったと言う訳ですね。

橘氏:そうですね。タブレットの金額をのぞけば、相場の1/3くらいでシステムが使えます。それが経費削減のポイントになりました。人件費自体2%くらい落ちていたりするので、本当に大きいですよね。

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