
h,a,s!誕生。めざすは「働く女性」中心の経営
──田端さんはh,a,s!を2013年に立ち上げました。どんな会社ですか?
これまでと全く違うことをやろうと思いました。朝から営業していて、ランチが主体のカフェ業態です。
コンセプトは「働く女性」です。
「働く女性」というのは、女性が働く職場としての意味もあるし、主婦層をターゲットにして、店に来るお客様としての「働く女性」も意味します。主婦も「働く女性」なので。
女性が働いたり、過ごしたりできる店を、都心ではなく住宅街につくろうと思いました。行きたいカフェが都心にあっても、自宅から店までベビーカーを押して行くのは大変じゃないですか。
ターゲットである主婦たちのゴールデンタイムは、子供を幼稚園に預けたり、小学校に行っている時間帯の11時から14時あたりです。この時間帯に友達とカフェでランチをしたり、お茶をしたり。またはその時間を使って働きたいというのはあるんじゃないかなと。
──田端さんが「働く女性」を重視されるのは、これまで女性スタッフが多かったからですか?
そうです。実際に僕の周りはマネージャーやアルバイトスタッフなど働いている人も、お客様も、もう全員といっていいほど女性ばかり。男性なんて本当に僕一人なくらいで(笑)。
結局こんなにいっぱいいる女性の力を活用しない手はないわけです。
──カフェという業態だからでしょうか?
求人に応募してくる方のほとんどが女性ですからね。7:3の割合で女性従業員が多いかな。それで今、女性のメンタルヘルスや体調管理の勉強をしているんです。PMS(月経前症候群)などに対応した低用量ピルを会社の制度に導入しようと思っていて。
※低用量ピル=卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2種類の女性ホルモンを配合した薬。排卵抑制、子宮内膜増殖抑制、女性ホルモンのバランスを一定に整える効果が期待されている。
──福利厚生として女性の健康をテーマに低用量ピルを採り入れる企業もありますね。
1ヶ月のうちに1週間程度しか体調がよくないという女性の話を聞いたことがあるんです。僕も40歳になった頃から、若いころに比べて疲れが取れにくかったり、体調が良くない日も増えてきて。その実感があって、こんなシンドイなかで仕事をしている女性は、それはもうキツイだろうなあと。これで生産性を上げろとか、笑顔でいなさいとか…確実に僕だったら毎日鎮痛剤が必要になります。
──男性からの理解って大事ですね。
男性の理解が進まないと、なかなか成り立たないとは思いますね。
でも一方で、彼女たちを理解できているフリはしないでおこうとは思っているんです。「動物として違うもの」というのは絶対にあります。逆に男性である僕だから、メニュー作りや店づくりに関わる意味があるとも思っていますね。
ちょっと客観視したいというか。女性のためのものを女性がすべて考えるんではなくて、男性も一緒に考えるのがいいんじゃないかと思うんです。
女性スタッフの存在価値はめちゃくちゃ高い
──田端さんからみて、女性スタッフってどのような魅力がありますか?
主婦の方は本当に時間の使い方が上手です。段取り力が半端ないです。すごいなあと思いますね。
僕自身も含めてですが、40代、50代になってアスリート的に第一線で働く必要はないと思っているんですね。それにパートタイムの短時間であっても能力が高い人、ホスピタリティが高い人はいっぱいいます。
とはいえ、能力のある人たちは目立ちます。だから周囲からもてはやされるんだけど、一方で能力ある人たちを過剰にもてはやすこともしたくないと思っています。
というのも、ベテランのよくできるスタッフが、20代の若いスタッフに対して「それくらい平気平気!」と言ってしまうのは違うよと。それぞれ状況が違うし、猛者に合わせる必要はないんです(笑)。

「食堂カフェpottoタニタカフェ北花田」(大阪府堺市)では、子連れで楽しめるお座敷スタイルのキッズスペースを設置。
人を資本の中心にした時に、能力の中央値を上げれば生産性は高まるし、より利益も生まれるでしょう。そういったイケイケどんどんをついつい求めたくなるけれども、本来僕がやりたかったことではないなと。
──さまざまな人が一緒に働く難しさでもありますね。
そうですね。だから新店スタッフの募集は、アルバイトも社員もすべて僕が面接しています。
僕が面接する理由は2つあって、ひとつは、面接を通して労働市場の情報を得ることです。何を通じて応募したのか。なぜ応募したのか。他にどこに応募しているのか。労働市場は3ヶ月くらいで変動するので、データではなく直接話をして「今」を知りたいんです。

やき芋をベースに、さまざまなお芋スイーツを楽しめるカフェ「石窯 やき芋 きょうもいも」(大阪府堺市・北花田)。Instagramでは季節の新作を登場させている。
──もう一つの理由は?
もうひとつは、新店のオープニングメンバーは、思い入れを持って長く続けてくれるスタッフが多いんです。特にアルバイトスタッフ。社員は異動しても、アルバイトスタッフは地元に住んでいて、10年以上とかその店で仕事を続けてくれます。
そして、そのスタッフが“店の核”になるんです。この“核”に当たるスタッフとコミュニケーションをガッチガチに取っておくことが大事。それができれば、僕にとっては、オセロの4隅を獲ったも同然です(笑)。
核となるスタッフがどういう人かで、社員を配属します。この人だったら、この社員を育てられる。そこを押さえておけば、僕が“核”のスタッフにLINEで相談しても、さっと動いてくれるんです。
──アルバイトスタッフが社員を教育してくれるんですね。
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トリップアドバイザーで“すごい”賞を受賞!失敗してもいい。数字を目標にしない。SNSで<地方創生>成功のカギ
<インタビュー・記事作成:峯林 晶子、撮影:久岡 健一、画像協力/株式会社h,a,s!、株式会社SU-BEE>
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