竹かごに色とりどりのトマトが盛られている写真

日本人にも馴染みの深い野菜であるトマトですが、一口にトマトと言ってもその種類は実に豊富。世界には約8,000種を超えるトマトの品種があるとされていて、日本でも120種を超える数のトマトの品種が登録されています。

品種改良なども年々進んでおり、今ではスーパーや八百屋さんなどの小売店でさまざまな種類のトマトが販売されているのを見かけるようになりました。
生のまま食べても過熱しても美味しく食べられる野菜として、真っ先に赤いトマトを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

タキイ種苗株式会社の行った「2017年度 野菜と家庭菜園に関する調査」では、子どもの好きな野菜の第1位にトマトが選ばれたという結果もあります。

今回は、そんな野菜界の人気者であるトマトの魅力に迫り、最新形トマトの人気品種も紹介していきます。

トマトってどんな野菜?

まずは、トマトについての基礎知識と食用の歴史について解説していきましょう。

トマト(学名:Solanum lycopersicum、英語: Tomato)は、南アメリカのアンデス山脈高原地帯(ペルー、エクアドル)原産のナス科ナス属の野菜です。緑黄色野菜の一種で、昔の日本語では唐柿(とうし)、赤茄子(あかなす)などとも呼ばれていました。

トマトが世界で知られるようになったのは、16世紀のヨーロッパが始まりだといわれています。
当時のヨーロッパでは鮮やかな赤色をしたトマトを「食用」ではなく、「鑑賞用の植物」として栽培・販売していました。

今でこそトマトの赤色に違和感を持つ人はいませんが、16世紀のヨーロッパの人々はその真っ赤で派手な色を見て、トマトを有毒植物だと思い込んでいたようです。

ボウルに水に浸ったトマトが入っている写真

トマトが食用として世に広まるのは、18世紀に入ってからのことです。
イタリアでトマトを食用にしようと考える人が現れ、200年にも及ぶ開発と研究を重ねた結果、ようやく一般的に食用される野菜として普及していきました。

ヨーロッパの中でもイタリア、ポルトガル、スペインの地中海地域では特にトマトが好まれ、南イタリアでトマトソースが作られるようになってから、フランスなどの西欧諸国でもトマトを食べる習慣が広く認知されるようになっていったと言われています。

次に、日本におけるトマトの食用の歴史について紹介していきましょう。

トマトが日本に伝わったのは17世紀の半ば頃ですが、日本でも最初はトマトを食用ではなく観賞用として珍重していました。
徳川四代将軍・家綱のおかかえ絵師である狩野探幽という画家がトマトを「唐なすび」と呼び、1668年にはトマトのスケッチも描かれていたようです。

トマトが食用として日本で認知されるようになったのは明治以降のことで、キャベツ・にんじん・玉ねぎなどの西洋野菜と一緒にヨーロッパなどから改めて輸入され、その時から日本でもトマトを食すようになったと言われています。

トマト農園で色づきつつあるトマトや熟したトマトがなっている写真

トマトは今も進化中!最新形トマトの魅力とは?

日本ではトマトの品種開発や研究が、海外に比べて盛んに行われています。その結果、今ではより美味しく・より甘く・より栄養価の高いトマトが日本で数多く登場しています。

トマトが苦手な方でも食べられる甘いフルーツのようなトマトから、従来のトマトの何倍も栄養が詰まったトマトなど、進化が止まらない最新形のトマトたちを調べてみました!

甘さが際立つ「 フルーツトマト」

「フルーツトマト」 はその名の通り、フルーツのような甘さが特徴です。一般的な大玉のトマトと比べると甘みがとても高く、トマトの独特な酸味や青臭さが軽減されているため、トマトが苦手な方でも食べやすいと人気を集めています。

普通のトマトの糖度(甘味)が約5度という値に対して、フルーツトマトの糖度は8度以上もあります。なかには糖度が10度を超える「高糖度トマト」と呼ばれるものも。糖度が高くなるほど味わいもうまみも濃くなるのだとか!

そんな人気のフルーツトマトの中でも、注目のブランドトマトを紹介していきましょう。

透明な器に盛られたカラフルなミニトマトの写真

「アメーラトマト」

栽培時に水の量を抑えることで果実に糖度や旨味が増すように作られたのが、フルーツトマト「アメーラ」です。生産地は静岡県や長野県。静岡の言葉で「甘いでしょう」という意味の「甘(あめ)えら」から「アメーラ」という名前が付けられました。
栄養素が濃縮している「アメーラトマト」は、スッキリとした酸味の後に驚くほど強い甘みを感じることができます。果肉は肉厚でしっかりしており、歯触りの良いシャキシャキとした食感を感じられます。

おすすめの調理法

果肉がしっかりとして食感も良いので、サラダに加えればアメーラ持つ強い甘みと歯触りの良い果肉を楽しむことができます。また味とうまみが強いアメーラを使ったトマトピューレは、パスタソースやディップソースにも使える万能調味料として重宝しますよ。

「とみさかトマト」

フルーツトマトの故郷と言われる高知県で生産されている「とみさかトマト」。
水分を極限まで減らして果実に甘みと栄養を蓄えさせる栽培方法に加え、全国的にも日照時間が長いという自然環境を活かして太陽の光を果実全体に行き渡らせる「立体栽培」も行われています。
「とみさかトマト」は糖度が10度以上のものもある高糖度トマトで、普通のトマトに比べて「甘味」「コク」「酸味」がとても強い味わいとなっています。水分を減らして栽培しているため皮が固く感じられる場合があります。

おすすめの調理法

皮を湯剥きしてからサラダに加える他にも、そのままミキサーにかけてトマトジュースにして楽しむことができます。

「宮じいのフルーツトマト」

愛知県田原市は渥美半島が産地で、子どもにも大人気のミニトマトが「宮じいのフルーツトマト」。
この「宮じいのフルーツトマト」は、ココナッツのヤシガラなどを使った培地に作物を植えて苗と土を隔てて栽培する、隔離栽培(バック栽培)システムで生育されています。バック栽培によって余分な水を与えないように生育させることで、旨味を凝縮した濃い味のトマトが出来上がるんです。
また「宮じいのフルーツトマト」には赤・黄・オレンジ・ピンク・緑・茶という6色7品種のミニトマトがあり、見た目の華やかさもさることながらそれぞれに違った味わいを楽しめるのも人気の理由です。

非常に濃い旨味・コク・酸味を持つ肉厚な「赤」、果肉も柔らかくて甘いフルーツのような味わいの「黄」、カロテンを多く含んでとろけるように滑らかな果肉を持つ「オレンジ」、色からは想像もできない甘さを持つ「緑」、トマトの風味が強い「茶」、甘味と酸味のバランスが良い「ピンク」というように、色によって異なる味わいを持っているんですよ。

おすすめの調理法

見た目の華やかさを活かすために、生のままサラダに加えて食べるのがおすすめです。またオリーブオイルやビネガーに漬けてマリネにすれば、カルパッチョなどの付け合わせなどにも使えますね。

ユニークな個性を持った「変わり種トマト」

甘味と酸味が注目されがちなトマトですが、品種開発が進んだ現在では従来のトマトとはまた一味違った全く新しい個性を持つトマトも登場しています。

トマトが積まれており、断面がカットされたトマトがみずみずしく輝いている写真

「塩トマト」

熊本県の中でも土壌に塩分が多く含まれている干拓地などで栽培される、特別栽培なトマトが「塩トマト」です。「塩トマト」という名前ですが糖度は8度以上もあり、果物並みに甘いながらもしっかりした歯ごたえを持っています。

また「塩トマト」は、フルーツトマトの元祖とも言われているようです。
塩を含んだ海岸の干拓地などでトマトを育てると水分が吸収されにくい分、トマトにうま味が濃縮されていきます。塩トマトのゼリー部分を食すとほのかな塩味を感じることができ、甘み・コク・うま味も従来のトマトに比べて強いんだとか。

最近では東北大震災の津波の影響で塩害農地となってしまった宮城県の岩沼市でも「塩トマト」が栽培されていて、「塩トマト」を通じて被災地の農地復興に繋げる試みも行われているようですね。

おすすめの調理法

果肉に微かな塩味を感じられる塩トマトは、少し冷やしてそのまま丸かじりするのが一番美味しい食べ方です。また塩トマトは旨味とコクが強く果肉の歯触りも良いので、冷製パスタなどに用いても美味しく召し上がれますよ。

栄養素を高めた「高機能トマト」

生産方法・品種改良などのさまざまな技術によって、含有栄養素をさらに高めた野菜のことを「機能性野菜」と言います。現代人の野菜不足の食生活が問題視され、健康志向が強まる中で、この機能性野菜は大きな話題となっています。

そんな機能性野菜の代表とも言える野菜が、実はトマト!現在ではたくさんの種類の「高機能トマト」が販売されています。

続いて紹介するのは、栄養をたくさん含んだ最新の高機能トマトです。

真っ赤なフルーツトマトが竹かごの上に置かれている写真

「高リコピントマト」

トマトケチャップのメーカーとして知られる「カゴメ」が開発した、リコピンを豊富に含んだ 真っ赤な高機能トマトが「高リコピントマト」です。
大型菜園で養分を含んだ水で育てる養液栽培という栽培方法で作られ、「糖度、酸度、旨みの3つのバランスがとれたおいしさ」を保ちつつリコピンの含有量を高めたことで注目さ

おすすめの調理法

「高リコピントマト」は生のまま食べてももちろん美味しいですが、リコピンは熱に強い成分のため、炒めたり煮込んだりしてもその成分は減少しません。トマトソースやシチューのベースにするなど、加熱調理に用いると効率良くリコピンを摂取することができます。

「アイコトマト」

アイコトマト」は種苗会社「サカタのタネ」が開発した品種で、特殊なフィルムを用いて水や農薬をコントロールする、アイメック(フィルム農法)という栽培技術で育てられる高機能トマトです。大きさはミニトマトと同サイズ。卵型のフォルムをしていて、肉厚な果肉と強い甘みを持っているのが特徴です。

おすすめの調理法

「アイコトマト」は加熱すると濃厚な旨味が引き出されるので、パスタソースやスープの材料に向いています。
また、ミニサイズでありながら強い味と甘みを持っているアイコトマトはドライトマト作りにも向いています。長期保存にも適しています。

お気に入りがきっと見つかる!トマトをもっと楽しもう♪

話題のフルーツトマトや高機能トマトなどをご紹介してきましたが、今回ご紹介した種類以外にもトマトにはまだまだたくさんの品種が存在しています。

そして現在でもトマトの新しい品種が次々誕生しています!最新品種のトマトには、特に甘みを追求したトマトが人気を博しているようです。
さらには昨今の健康志向の高まりによって、付加価値を持ったトマトにも大きな注目が集まっていますから、今後はさらに「甘み」と「豊富な栄養」を兼ね備えたより付加価値の高いトマトの品種が登場し、トマトの新しいトレンドとなっていくことでしょう。

色鮮やかなトマトが集まった写真

トマトの鮮やかな色味は、今では料理に欠かすことのできないものです。食べやすいサイズのプチトマトやミニトマトも人気があるようですし、赤・黄色・オレンジ・緑などの鮮やかな色で料理に華を添えてくれることも、トマトが愛される理由のひとつではないでしょうか。

今後のトマトのさらなる進化が楽しみになってきますね!

みなさんもたくさんのトマトの品種を知って、さまざまなトマトの味わいに出会い、まだ知らないトマトの世界を楽しんでみてはいかがでしょうか。
そして、甘くて美味しいフルーツトマトや栄養抜群の高機能トマトなどから、ぜひあなたのお気に入りのトマトを見つけてみてください。