世の中には、似ているけど意味の異なる用語や言葉がたくさん存在します。なんとなく違うということはわかっていても、細かくその定義を知らないというものも多いですよね。今回は、和食に関連する言葉について調べてみました。意外と知らなかった‟食のトリビア”を楽しく学び、まわりの方に教えてあげましょう。

「懐石」と「会席」の違い

玄米と味噌汁の画像

懐石料理」は、お茶を楽しむためのもの。
「懐石」とは、禅寺で修行僧が空腹や寒さをしのぐため温めた石を懐(ふところ)に入れた故事に由来します。

つまり、茶の席で出す空腹をしのぐための一時的な軽めの食事のことを「懐石料理」といいます。「懐石」という言葉には”料理”という意味が含まれているため「懐石料理」とするのは間違いという説もあります。

豪華な刺身の盛り合わせの画像

会席料理」は、お酒を楽しむためのもの。
会席料理の献立は、一汁三菜(吸い物・刺身・焼き物・煮物)が基本。さらにお通し・揚げ物・蒸し物・和え物・酢の物などの酒の肴(さかな)が加えられ、最後に飯・味噌汁・香の物、水菓子となる。日本料理でいうところの正統な料理形式のひとつです。

「割烹」と「料亭」の違い

魚を捌いて調理している様子の画像

割烹」とは、日本の伝統的な調理方法や、調理そのものを指す言葉。また、その調理法でつくった料理を提供するお店そのものを指すことも。

料亭」とは、おもに個室の座敷において日本料理を提供する高級飲食店舗のことをさします。
接客を専門とする仲居がいたり、外から芸妓を呼ぶことができたりするのが一般的。企業の接待や政治家の会合、著名人の宴席など、ハイクラス層が利用する場合が多い。調理場は客席とは別スペースになっています。

料亭のお座敷のイメージ画像

「寿司」と「鮨」の違い

にぎり寿司の8貫盛合せの画像

「すし」の語源は、「すっぱい」を表す「酢し」からきているといわれ、酢と調味料をまぜ合わせたごはんに魚介類や野菜を取り合わせたものをいいます。「すし」の最も古い表記は「」で、元々は塩や糟などに漬けた魚や、発酵させた飯に魚を漬け込んだ保存食を意味しています。

鯖寿司の画像

「鮓」の次に古い表記は「」で、中国では「魚の塩辛」を意味するもの。「鮓」「鮨」の当て字として誕生したのが「寿司」で、江戸時代に縁起担ぎで作られた当て字です。すしの種類に関わらず使えることや、縁起担ぎの意味からも現在では「寿司」が最もポピュラーな表記となりました。

「お刺身」と「お造り」の違い

さしみの盛り合わせの画像

お刺身(おさしみ)」と「お造り(おつくり)」はいずれも、新鮮な魚介類などの食材を生のまま切り身にし、醤油などの調味料で味を付けて食べる日本料理のこと。魚介類の切り身を生食する文化は、江戸時代に醤油が大量生産され始めたことに伴い、関東を中心に発達。当時、「切る」という文字は縁起が悪いとされ、「刺身」と呼ばれるようになりました。

霜降り馬刺しの画像

その後、全国へ広まると、京都では「刺す」も縁起が悪いということになり「(お)造り」という言葉を使うように。「お造り」には、ただ切り身にしただけではなく、大根や大葉などのあしらいや昆布で締めるなど、切り身にひと手間加えて‟造った”もの、という意味も込められています。現代では、牛や馬などの肉やこんにゃくなどの加工品も含め、新鮮な切り身全般の呼称として「お刺身」が使用され、船盛りのように盛り飾られた魚介類を「お造り」と呼ぶ傾向にあります。

まとめ

似てはいるけど、意味は同じ?それとも違うの?そんなわかりづらい言葉をいくつか紹介しました。意味を知ってるつもりだったけど間違っていた、という言葉はありませんでしたか?ここにあげたのは、ほんの一例。また機会があれば、第二弾をお届けしたいと思います。

<参考資料>

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違いがわかる事典